3.15.2024

『ヴィンテージ・エフェクターの真実』

 
 箱も用意した。トリセツも書いた。オリジナル・ファズに関しては「あとは売るだけ」という状態になってます。で、次のポストで販売を開始するんですが、その前に当方からある宣伝をしなければなりません。ヴィンテージ・エフェクターに関する本を一冊作りました。すでに発売中ですが、これを紹介させてください。

  リットー・ミュージックから『ヴィンテージ・エフェクターの真実〜結局ヴィンテージ・サウンドを超えるものなんてないんだ』という本が発売中です。著者は、本ブログではもうお馴染みのアキマツネオ氏。なお、5年ほど前に発売し、話題となった『ギター・アンプの真実』(アキマツネオ著/同じくリットー・ミュージック刊)という本がありますが、それに続く「真実シリーズ」の第2弾ということになりますね。過去に氏が雑誌に連載していた、ヴィンテージ機材のコラム原稿を元に、新たに本人が改定・増補し、装いも新たにヴィンテージ・エフェクターのコラム集としてまとめたものです。

  実際にアキマ氏が実機をチェックし、発売に至る歴史、構造、使い勝手を、プレイヤー目線、そして電気の専門家としての目線の双方から評価する、という原稿が並んでいます。ヴィンテージをうたっているわけですので、当然ふっるーいエフェクターばかりで、しかもアキマさんは「使わないんだけどねー」とか言いながらご自宅にはとんでもないレアなエフェクターを持ってたりもするので、そういうのも全部お披露目してもらっています。どうです? もう面白そうでしょう?(笑) 画像にて目次ページを載せたので、どんなタマが載ってるか、そちらを参照してください。
 んで、当然ながら60〜70年代の機材の話が中心になるわけで、ファズとワウとテープエコー、なんていう初期の時代から、時代とともに徐々に新製品が登場し、そして時代の要請で新しいエフェクト効果のニーズが増えていく、なんていう背景が、全体を通して読み取れると思います。

 とか言いながら、第1章は「FUZZ」でスタートします。実は本書の3分の1くらいはファズの話です(笑)。でもしょうがないんですよ。なんといってもギター・エフェクターっていうのはファズ・ペダルから始まってますから。それをアキマさん本人がいろんなペダルの特徴とともに紹介しています。もちろんマーシャルSupa Fuzz(←アキマさんはこれをお持ちです)も含めて、Tone BenderはMK1からMK3までは全部、Fuzz Faceも当然掲載。ファズの開祖というべきマエストロFuzz Tone(←アキマさんは今でもこれを「すごく画期的」とべた褒めします。「ただしシングルコイルで使うならね」との注釈も入りますが)、Big Muffもトライアングルからラムズヘッドまでを紹介(←アキマさんは今回トライアングルの魅力を再発見した、と書かれています)。
 実はアキマさんご本人はあまりワウをお持ちではないそうです。それは単純に「自分であまり使わないから」という理由なんですが、それでも一番最初のワウからその後のワウまで、いろいろお詳しい方です。勿論日頃から修理の相談なんかもされてるそうですし、なんつってもアキマさんはクラプトン大好きだしね(特にクリームの頃)。で、ヴィンテージ・エフェクターを語る上で外せない「ワウ」の項目は、アキマさんのお弟子さんでもある、Funk Ojisanのケンケン氏との対談を新規収録し、掲載しました。結局皆が持ち込んだたくさんのヴィンテージ・ワウを片っ端から試奏して、ああだこうだと専門的な解析をしたわけですけど。つまり、ワウに関してもこの対談文献は貴重な証言となっています。

 ヴィンテージ・エフェクターは高値でマニアが所有する骨董品になった、という現状をみな熟知しつつ、アキマさんは「それでもヴィンテージ・サウンドにかなうギター・サウンドはない」と言います。ここ、注目です。ヴィンテージの現物が偉いのではなくて、ヴィンテージのサウンド、その美しさこそが偉いんですよね。現在発売される新製品の多くが「往年のヴィンテージ・サウンド」を下敷きにしている点からも、それは明白です。音が出なくなったオリジナルのポットを後生大事に抱えてるワウにはなんの意味もなくて(笑)、使えよ、ちゃんと使えば最高の音が出るから、っていうことを啓蒙する本でもあります。だって実際にジミヘンもクラプトンもマーク・ボランもミック・ロンソンも、今聴いてもその音カッコいいからね。

 というわけでマーク・ボランの紹介もちゃんとありますよ。マーク・ボランが自分で(ステージ上で)ギターのジャックをガッキーンと指した時のその音が、とても高級感があって憧れた、というエピソードも語っています。パーツやら回路構成やら、専門的なむずい話もまあ乗ってはいるんですが(笑)、そんな電気のウンチクだけで音楽は1曲たりとも成立するわけもなく、もっと「ギタリストはどんな音をどう出すべきか」の指標ともなる内容です。ぜひ、興味を持たれた方はポチッとしていただければ幸いです(アマゾンのリンクに飛びます)。

 上の方で「この本は『真実シリーズの第2弾だ』と書きましたが、実は第3弾となる書籍も発売予定があります。まだ全然完成してないので、ご紹介はもうちょい先になりますが、そちらもお楽しみに。


(下の紹介文、縦書きなので右のほうから呼んでください)