6.16.2013

Mick Ronson Interview - Part 3

INTERVIEW BY STEVE ROSEN, DEC 1976
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——ボウイのバンドへ参加するのを決めた理由は?
MR:ボウイとはロンドンで初対面した。彼もバンドでの活動を模索してて、丁度そんな時に僕がウロウロしてた、ってことだね。試しに一緒に音出しをすることになった。で、『世界を売った男』を録音し終えたあと、一度ヨークシャーに戻ったんだけど、その後また再び呼び戻されて、バンドに参加することにした。最初のころは、サウンドももっとメロウで静かなカンジ(QUIETER STUFF)だったけど、やっていくうちにどんどん大音量で歪んだものに変わっていった。『世界を売った男』は十分に歪んでいるけど、それ以降の作品はまずシンプルで静かなものだった。アンプも小さなものを使用したり、ね。
——『ハンキー・ドリー』のサウンドはそうやって決めていったの?
MR:シンプルで静か、でしょ? 『ジギー・スターダスト』を作り始める頃から、どんどん大音量で歪んだサウンドに変化していった。アンプもどんどん大きなものへ、照明機材もどんどんデカくなって、PAシステムも、ってカンジで。


※67年製の、初期型マーシャルMAJOR、通称「PIG」。インタビュー中ではロンソンは間違って100Wと言ってますが、もちろん「200W」です。しかし、とても興味深いことに、この初期型MAJORは実は「回路の理論上200Wのパワーを出す事ができない」という回路を持った特殊なアンプなのだそうです。これはAKIMA & NEOSのアキマさんから教えていただいたことですが、その辺のことは是非アキマさんに当方のアンプをバラしてもらって検証して頂きたいなあ、なんて思っています。
——ボウイとやってた時期、どんなアンプを使ってたの?
MR:マーシャル。もうずっと長いこと、マーシャルの100W(註:もちろんこれはロンソンの言い間違いで、200WのマーシャルMAJORを指します)とキャビ1つっていうセットを使ってる。スタジオでどのアンプをどう使ったか、は覚えてないなあ。スタジオの中になんかアンプが転がっていれば、それがどんなアンプなのか、どんな音が出るか、とかたいして考えもせずに、とりあえずプラグインしてみたものだから。使えるものなら何でもいい、と思ってたんで、どんなアンプかは重要なことではなかった。でも、つい最近やったソロ・ツアーではフェンダーのアンプを使ったんだけどね。
——フェンダーの、どのモデル?
MR:わかんないな。ツインよりもっと小さなヤツで、10インチのスピーカーが2つ入ったアンプ。「PRO」かな? そのあたりのアンプだと思うけど、あまり歪まなくて、なかなかいいカンジなんだよね。もちろんマーシャルは今でもスタジオで使ってて、そっちは本当にパワフルな音で、いつもクランクさせて使うけどあの歪みがいいんだ。
——ギターは何を使ってるの?




※ロンソンのサブ・ギターは、サンバーストのレスポール・デラックス——ただし、ピックアップがノーマル・ハムバッカー、エスカッションも黒というカスタムオーダー仕様。ラージヘッド、3ピース・トップ、パンケーキ・ボディーで、71年NYのSAM ASH GUITARSの特注品、と言われているものです。このギターはデヴィッド・ボウイが「THE JEAN GENIE」のPVで演奏してるギターそのもの。また、このギターはモット在籍時〜ハンター/ロンソン・バンドでも使用されています。
MR:今はスタジオでレスポールをレンタルしてもらって、それを使ってる。前に使ってたブロンドのレスポール・カスタムは58年製(註:この時ロンソンは実際に「58年製」と発言していますが、これもあきらかに間違えてます。もちろん68年製です)。もう1本もってたレスポール(※別項参照)は、何年製かちょっとわからないな。カスタムよりはもっと新しいモノ、で間違いないんだけど
——そこからギターを変えたのは、何か理由があって?
MR:いや、見たらわかるけど、持ってたギターの片方は、ネックにヒビが入ってしまって、もうチューニングすら合わせられない。もう1本のほうも、ピックアップがイカレてしまって、ブリッジも曲がってしまってオクターブ・チューニングが合わせられない。この2本をなんとか(使えるように)しようとは思ってるんだけど、でも今は新しいストラトが欲しいんだよね。ショップをあちこち見て回って、お店にぶら下がってるギターを物色して、何本か試して、そして店を出る、みたいな。……可愛らしいでしょ?(笑) 試奏してても、このギターを買うかどうするか?って考え始めると、もう演奏する手も止まっちゃうんだけどね。実際に何か1本購入するまではわからないんだけど、でもとにかくストラトを求めてるんだ。…あー、ネックの折れたギターでツアーやったのを、今思い出したよ。


※ロンソンは74年の2月から4月まで、ソロ・ツアーを行なっています。全15公演を行ないましたが、その後モット・ザ・フープルに参加、ハンター/ロンソン・バンド、ディランとのツアーを経て、76年の年末に再びソロ・ツアー(5公演のみ)を行なっていますが、恐らくギターが壊れた云々のエピソードは74年のツアーでの話と思われます。
——それはボウイと演ってた時のツアー?
MR:いや、僕のソロ・ツアー。何度かコンサートをやった時のことだ。その時3本ギターを持ってたんだけど、全部壊れちゃってね、慌ててガムテープを買いにいって、それでネックを全部グルグル巻きにした。そのガムテ・ギターを持ってステージに立ったんだけど、ネックの裏側は全部ガムテープで何重にも覆われてて、ね。まったくもって今考えたら馬鹿げた話だよね。後で周りの皆は、それを見て大笑い、だったよ。笑い死にするぞ、っていうくらいの大爆笑。その後、ツアーの別な日に、一度アール・スリックからギターを借りて使ったんだけど、プラグインするや否や「ア、コレ最高だ!」ってすぐ思ったね。だってそのギターはチューニングも合うし、ネックの裏はスベスベだし。
——そんなに壊れたギター相手に無理な格闘しなくてもいいのに(笑)
MR:それまで演奏してた自分のプレイよりも、急に上手くなった気がしてね。「ウワッ、なんだこりゃ?」って感じたよ。いつも自分のギターにはなにかしらの問題を抱えていたから、そんなにチューニングもフィーリングも合うっていう経験をしたことがなかった。それに気付いたら、皆にまた大笑いされてね(笑)。それまでは多少僕のチューニングが狂ってることを笑う連中がいても、馬鹿にしたりぶん殴ったりしてたんだけど。そんなに(音が狂ってることを)気にはしてなかったんだ。そんなこともあって、新しいギターを手に入れて、プレイするのを心待ちにしてるよ。だから今、いいギターを手に入れたい、今度のは大事に扱うぞ、っていう熱意が蘇ってきてるね。放り投げたりするためのギターではなく、音楽を演奏するためのギター、ってことだね。
——他にいろいろなギターを試したりは?
MR:これからいろんな店に実際に行って、なんかギターを買って、ていうのが今凄く楽しみで仕方ない。そんなことここ何年も全然やったことなかったしね。何か欲しいものがあるときってそんなモンでしょう?「アレが必要だ、コレも必要だな」ってなってから、実際に買い物をする、っていう。今は、ポケットに金を押し込んで、とにかく外出して、楽器屋の前に立って、アレコレと選んでみたい、そんな気分なんだ。その場で現金でスパっと払うぜ! そんなのここ最近は何年もやったことがないけど。
——どんなタイプの新しいギターを試してみたい?
MR:決めてない。なんでもいい。新しいギターなら、なにかしらいい所があるだろう、と思ってる。ずーっと長い間、まったく同じサウンドを出し続けてきたから、そろそろ飽き飽きしてきた頃だしね。
——ボウイと一緒に演ってた頃、エフェクト・ペダルは使ってた?
MR:ああ、ファズと、ワウペダルを使ってた。
——フェイザーとかは使ってなかったの?
MR:使ってない。フェイザーはない。ステージでは使ったことがないね。スタジオ作業の中では、2度ほど試したことがある。スタジオに置いてあった機材で、まだイーヴンタイド(EVENTIDE)とかが出回る前だったと思う。たしか青い鉄製の筐体に入ってたんだけど、その小さな青いボックスを使うと、例の「シュワーーー」(註:フェイズ・サウンドを口で表現している/青いペダル式のフェイザーで、76年以前にあったもの、といえば、おそらく74年に発売開始された IBANEZ PT-999 PHASETONE で間違いないと思われます)っていう音が出たね。スタジオではその後すぐにもっと沢山のフェイズ・サウンドを生む機材を導入したんで——本当に、そのすぐ後に導入されたんだけど——6年前とかには、そんなサウンドを必要とする機会とか、そんな仕事なんてほとんどなかったしね。
——使ってるピックと、使ってる弦について教えてくれるかな?
MR:ピックはなんでもいい。でもあんまり柔らかいのは好きじゃないなあ。固めのほうが好きなんだけど、でも誰かがくれたら、何でも使うよ。「ねえ、ピック持ってない?」っていつも聞いてるんだけど、そう言えば誰かしらがピックをくれるんだ(笑)。あ、でもアコースティック・ギターを弾く場合は、柔らかいピックのほうが好きかも。その方がアコギでリズムを刻むときはいいサウンドになるような気がしてる。(ピックだけでなく)僕は爪もよく使うんだ。もちろん、ピックも使うし、アコギでもなんでも、いつでもそんなカンジ。アコギには柔らかいピックのほうがいいかな、とは思うけど、いつだってどんなピックだって使うよ。
——弦はどう?
MR:好きな弦は、いつも使ってるロトサウンドの弦。でもセットものを使うことはないんだ。いつも違うゲージの弦を混ぜて使ってる。1弦は.009、2弦は.011、3弦は.015、4弦は.026、5弦は.038、6弦は.046。これが今僕が使ってるゲージ。時と場合によっては、少しずつ変えてもみるんだけどね。いつも変えたりしてるんで、一定で定まったことはないね。もっとヘヴィーなものがいい、と思う時もあるし、もっと細いほうがいいと思える時もある。まあそれでもたいていの場合は、なんだかんだ試しても、さっきのゲージに落ち着いてはしまうんだけど。


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