11.08.2013

Robert Fripp 1974 Interview - Part 4

INTERVIEW BY STEVE ROSEN, MAY 1974
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※当ブログでも既に何度も掲載しましたが、74年のフリップ先生のペダルボード。詳しくは別項にて記載したいと思いますが、この時点での使用ファズはギルドFOXEY LADYで、中身はトライアングルBIG MUFFとまったく同じもの。またワトキンスCOPICATを2台使いしてますね。フリップ先生はギターのインピーダンス変換のためにギター本体のツマミではなくボリューム・ペダルを活用してます。インタビューには出てきませんが、上の写真では西独シャーラー製のボリューム・ペダルを使用。
——ピックとか弦は、どんなのを使ってるの?
RF:三角(オニギリ型)の鼈甲ピックで、あまり固くないもの。私にとってピッキング・ワークこそが重要なものなので、ハードなプラスティック製のピックは私には使えない。弦は、ジョン・アルヴェイ・ターナー(註:イギリスの老舗弦メーカーで、主にアコギ用の弦、バンジョー、マンドリン等の弦を取り扱うブランド)のライトゲージを使うが、3弦の部分だけはミディアムゲージの2弦用を用いる(註:当時はライトゲージでも3弦は巻弦でした。それをいやがって、3弦でもプレーン弦を用いたという意味)。殆どのギタリストが重要視することではないが、細い弦だとあまりにも緩いテンションのために正確なピッチを紡ぎ出すことが難しい。しかし私は3度や10度といった和音を多く使うものだから、どうしてもセットのままでの3弦を使うことが許せなくなったんだ。昔は、弦高もなるべく低くしよう、と考えてたものだが、最近ではもっと高く、中の上、というくらいになったね。
——どんなペースで弦は交換してるの?
RF:大抵の場合は、2度ライヴをやった後に。昔は1週間くらいは放ったらかしにしていたが、時間とともにどんどん弦のエッジがなくなっていくと気付いてからやめるようにした。キング・クリムゾンで、もしくは熱意をもって取り組めるスタジオ・ワークでプレイする際には、私は2日おきに弦を変える。
——アコギとエレキの場合では、大きくかわるもの?


※既にご承知のとおり、フリップ先生はアコギの名手でもあります。ただし74年当時はアコギに活路を見出していなかったのでしょうね。後にフリップはクリムゾン解散後に「ギタークラフト」というアコギ学校を開設(生徒は全員オベーションのアコギを使用して授業に参加しています)。まあ、そちらも「演奏ではなく、精神修養の場」とのことなのですが(笑)。
RF:アコギで私が夢中に演奏できたのは、マーティンだけだ。そう、(エレキギターとは)まったく違った楽器といえる。なんといっても全く違う時間感覚を操る楽器だから。エレキギターの場合はコンテンポラリーな楽器で、電気の力を使うことで、それこそ未来へと繋がる楽器だ。しかし、未来においてアコースティックギターがどんな立ち位置にいるのかは判らない。また、演奏する上においても技術的にはまったく違った体系を持っている。もしアコギ・プレイヤーがいれば、彼にとって最初の課題はどんな「音」を出すか、だろう。ロック・ギタリストがアコギを弾く場合の音は、いつも酷く堪え難い程に貧相な音だ。アコギを弾くという行為は、それだけでアートと呼べるようなものなんだ。ただシンプルに、アコギでローポジションを使ってCメジャー7を寂しげに鳴らす、それだけでもう明白に理解できるハズだ。しかしエレキギターの場合がどうかと言えば、寂しげもクソもあったものではない。少なくとも同じようには響かない。アコギには1つか2つ、とても興味深い側面があって、それはそのアナクロ主義、なのだ。既にもうコンテンポラリーな世界に存在する楽器ではない。今日的な効用を考えればエレキギターこそがやはり創造性を保持した楽器なのだ。
——アコースティック・プレイヤーの音楽はあまり聞かない?
RF:ジュリアン・ブリーム(イギリス出身のクラシック・ギタリスト)は好きだよ。
——いつもトーンとスイッチはどういう位置に定めてるの?
RF:音楽がどんな音を必要とするか、による。ボリューム・コントロールのために、私はフット・ペダルを使う。ギターのボリュームをフルにした時に初めて正確な出力インピーダンスというものが得られる。その場合私はギターのボリュームはフルにしたままだ。10、という意味だな。しかしそこには例外があって、ギターのインピーダンスを変えることによって、私はエレキギターを使いながらもまるでアコギのようなサウンドを生み出し使うことがある。その場合、ギターのボリュームは6〜8といったポジションにする。8.5といったポイントを越えれば、インピーダンスは一気に変わる。そのインピーダンスの跳ね上がりこそが、サウンドのバラエティーを生み出すのだ。そのために、ギターではなく、フット・ペダルにてボリュームを操作する。


※なんと、こんな恐ろしい写真が登場しました。こちらは伝説的、というかペダルボード制作の第一人者ピート・コーニッシュが自身のフェイスブックにアップしていた写真で、1973年のロバート・フリップのペダルボードのアップ画像です。まず一見してわかるのは、ペダルは全部外部フットスイッチでオンにするようになっていますね。おそらくトゥルーバイパスにするためかと思います。上のボードは一番上で掲載した74年のTVライヴでも使われていたもので、ファズがFOXEY LADY、真ん中のボリューム・ペダルが(おそらく)FARFISAのもの、左がワウ。ワウはおそらくCRYBABYだと思われるのですが、筐体の塗装がはがされており、ラバーの形から推測すると67年英国製のVOXワウ(グレーハンマー塗装)の可能性もあります。ただしピート・コーニッシュが何らかのモディファイを施した可能性もあるので、何とも断言できません。©2008 PETE CORNISH

※下の写真は翌74年に制作されたサブのボード、とのこと。ファズは同じくFOXEY LADYで、真ん中のボリューム・ペダルはディアルモンド製、左のワウはCRYBABYなので、ほぼ同じセットを用意していたことがうかがえます。©2008 PETE CORNISH

——そのボリューム・ペダルはどんなもの?
RF:私の知る限り、一番安いモノだよ。そして私が使った限りでは全ての面で納得のいく効果を生み出すものだ。たしかFARFISA(by CMI)のペダルだったと思う。私が使った中ではベスト・ボリューム・ペダルだね。完全に音をオフにできて、しかも可変幅もワイドに操れる。素晴らしいペダルだよ。ステージ上では、私は3つのペダルをボードに設置する——ボリューム・ペダルと、ファズと、ワウ。まあファズとワウはゴミみたいなものだが、ワウはどんな種類のものなのかはわからない。最も素晴らしいと思ったファズは、バーンズのBUZZAROUNDだ。イギリス製で、もう既に6年程前に廃盤となってしまったペダルだ。私は2ケ持っているが、今ではもうそれをペダルボードに組み込むことはなくなった。ペダルを増やそうとすれば、ケーブルもどんどん長くなり、それにつれて音は劣化し、音量も小さくなる。ゲインも減少する。ここで重要なのは、ワウとファズはノックオフ・サーキットにすることだ——言い換えるならば、通常演奏するときは、ボリュームはフルの状態で信号が送られ、そしてファズとワウを使うサウンドに切り替える場合は、別のラインを通じてファズとワウに繋がるようにするのだ(註:ようはABボックス、もしくはスイッチャーのような機能を使って、エフェクトOFFのときはペダルを経由させない、という意味)。ファズやワウを使わない時は、サーキットにそれらの回路を関与させない。そうすることで信号の経由もシンプルに短くなり、信号のレベルもキープできる。私はワトキンスのCOPICAT(テープエコー)も使用するが、まあなかなか悪くはないのだが、取り立てて素晴らしいという機材でもない。私が望む機材としてはそれで十分なのだが、それほどテープエコーに関しては種類が豊富なわけでもなく、エッジが失われないことはいいことだ。ステージの上で、特にホールで演奏する場合の出音というものは得てしてデッドに鳴りがちだからね。ファズに関しては、どんなものでもそれほど構わない。他に気にするポイントが山のようにあるから。
——でも、あなたのサウンドと同じサウンドを欲しがる人にとっては、どんなファズを使っているかは重要なんじゃない?
RF:いや。私はどんなファズを使用したとしても、同じようなサウンドを出せるのだから。それは機材の問題ではない。
——ライヴ盤『アースバウンド』ではそれほどワウを使ったプレイをしていないようだけど、なぜ?
RF:ワウを使ったプレイというものが、すっかり「普通で退屈な行為」になってしまった。私にとってはくだらないものに映ったからだ。


※正確な年代が不明ながら、69年か、70年、と思われるスタジオ写真。バーンズBUZZAROUNDが見えます。また、この時点で既にハイワットのスタック・アンプを使用していることも確認できますね。
——自分の音楽が、楽器/機材(の流行)のせいでなにかしらの犠牲を支払うことになってしまった、と?
RF:まあ、そうとも言える。あー、いま君が言ったように感じることも確かにあるよ。もしだれかが陳腐な音楽を演奏をしてたとして、その演奏者が「よし、もっとエキサイティングにしてやるぞ」と感じたときにワウを踏む、なんてことはしばし見る機会があるだろう。だがそれは「逃げた」と言えるのではないか? もしそう思ってワウを踏んだら、それは「逃げ」だ。時によっては、私も演奏力の足りない部分を補うために、機材を使っているが。
——アンプはハイワットのスタックだよね。
RF:いろんな多面性をもったアンプだからだ。私がサウンドを変えたい、と思った時とても有用なアンプだとも言える。また、エレキギターには本当は真空管アンプは不向きだ、とも考えている。キャビネットはエレクトロ・ヴォイスのスピーカーをセットした、新しいものをカスタムメイドしてもらったのだが、これには感動したね。昔はマーシャルも使用したのだが、まあその時はマーシャルでもよかったのだけれど、ハイワットを試してからは、よりそちらの多面性に興味を持つようになった。ライヴで轟音を鳴らす、というだけならまあマーシャルでも十分だと思う。ここ最近は皆が一様にマーシャルを使うわけでもなくなったよね。今後は皆、ハイワットのような音に移行するんじゃないかな。


※実は検索しまくったのですが、FARFISAというブランドのボリューム・ペダルで、フリップ先生の足下にあるものと同じ形のものを発見できませんでした。もしご存知の方がいらっしゃれば、ご教示いただけれると嬉しい限りです。写真は同ブランドのボリュームペダルですが、別の形、ですよね。同社はオルガン用のボリュームペダルを多数発売していたり、トレモロ機能付きボリュームペダルなんかもあったりするのですが、詳細は不明です。ギターの歪みをボリュームでコントロールする場合、入力/出力インピーダンスの数値が重要になりますが、インタビュー文から察するに、おそらくフリップ先生の音のキモはそこ(ボリュームペダル)なんじゃないか、と睨んでいます。
——アンプとギターの接続は、どんなカンジ?
RF:アンプはブリリアント・チャンネルにプラグインしている。そして、ノーマル・チャンネルにもジャンプさせる。言い換えれば、ブリリアント・チャンネルの信号をノーマル・チャンネルでも鳴らすことになる。これでボトムの成分を追加することができる。ハイワットは、ブリリアント、ノーマルの両方のチャンネルでボリュームをコントロールでき、さらにマスター・ボリュームで全体の音量を調整できる。もしクリーンなサウンドを出すという場合は、チャンネルのボリュームを控え目にして、マスター・ボリュームを上げる。トーンをハッキリと変えたい、という場合は、2つのボリュームの中間にあるレシオ(トーンつまみ)で変化を付ける。歪んだ音が欲しい場合は、各チャンネルのボリュームは共に上げて、マスターボリュームを下げる。これで、小さな音量であっても十分に歪みを得られる。また、ギターのボリュームをフルにしていたとしても、歪み量を調整することができる。
——あなたのギターは、ピックアップ・カバーが3つとも外されてるよね?
RF:グレッグ・レイクが教えてくれたんだ。そっちのほうがいい音になる、と。私本人にはどっちがいい音なのかいまだに判ってはいないのだが、一度外してしまったものだから、以降そのママにしてある。戻すのが面倒くさいだけだ。


INTERVIEW BY STEVE ROSEN, MAY 1974
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2 comments:

  1. 素晴らしい記事、共有するためのありがとう!

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  2. Thank you write this article for me see, I asked permission to write on the website diakui.com wish you deign to allow it.

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