6.27.2013

Mick Ronson Interview - Part 7

INTERVIEW BY STEVE ROSEN, DEC 1976
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——あなたのソングライティングに関してだけど、ボウイから影響を受けたとは思う?
MR:ボウイと一緒にやってた時は、僕は曲を書かなかった。その頃は作曲に興味がなかったから。
——でもボウイの曲の中で、プロデューサーだったり、アレンジャーとしてもクレジットされることがあったよね?
MR:うん、アレンジとか。でも作曲は、全部ボウイの仕事。
——それがフラストレーションになったりしなかった?
MR:いや全然。僕は他の人が書いた曲を演奏するだけ。他の人の曲を演奏するのが大好きなんだ。
——自作曲を演奏するよりも?
MR:もちろん自作曲も好きだけど(笑)。
——こんな曲はどう?ってオファーしてみたことはないの?
MR:ないね。それほど作曲することに没頭したってことがないから。人の書いた曲を演奏するのを、エンジョイしてたんだ。そのほうが簡単だし。だから自作曲にこだわったことがない。ファースト・アルバム「十番街の殺人」を作るまで、作曲なんてのはやったこともなかった。あれが初めての作曲体験なんだ。酷いナマケモノなんで、なるべく沢山の時間をダラダラと過ごしたいタイプだし、椅子に座ってじっくり作曲しようなんて考えた事もなかった。女の子の側で一緒に遊ぶってのならじっくり座るけどね(笑)。まあいずれにせよ、じっくり座って作曲、なんて僕には向かない仕事だね。
——その習性を、変えてみよう、と思ったことは?
※右上の写真は74年の米音楽雑誌「CREEM」より。同誌74年の読者人気投票で、ミック・ロンソンはベスト・ギタリスト部門で2位になった。ちなみにこの時の1位はジミー・ペイジ、3位はエリック・クラプトンだった。
MR:街で何かを観察してみるとか、そういうのが好きな人は見たものをすぐにメモしたりするんだろうね。でも僕はやったこともなかったし、僕には簡単なことじゃない。今は周囲を観察するようになったんで、何か面白いことがあればメモに記したり、とやり始めてみたところだけど。きっかけは、誰かが何か言った時に「オッ、そりゃすごい、メモメモ……」って急に思いついたんだけどね。今までは「メモらなきゃ」とかそんなのを気にするギタープレイヤーなんているわけねえだろ、って思ってたんだけど。
——それはやっぱり、ボウイとかディランのような人達と仕事してきたから、なのかな?
MR:作詞なんて興味もなかったし、本を読むのだって好きじゃない。そういうことだよ。本なんて今までの人生で2冊くらいしか読んだ事がない。ひとつは「トム・ソーヤーの冒険」で、もう1冊が何だったかは忘れたけど。とにかく読書は嫌い。何も読まない。だから言葉を使う方法、ってのが元来苦手なんだ。言葉で表す、なんてしたこともない——言葉よりも、音楽で表現することの方が沢山自分を伝えられるし、それが僕に出来る唯一の表現方法なんだ。でも今、言葉でも自分を表現でしてみたい、と思い始めたところ。今ちょうど勉強を始めたところだよ。他の人達が既に学んで知っていることを、ね。だから作曲に関しては、今までと違う方法で、よりいい曲が描けるようにならないか、試してみようか、と思ってる。
——ソングライターとしてのキャリアも積んでみよう、と?
MR:いやいや、ちょっとそっちの方面にも旅してみる、ってだけ。自分に何が出来るか勉強してみてるだけ。でも自分に何でも出来ると妄信するようにはなりたくないし、いつも色んな本を持ち歩いてみて、誰かが言った興味深い部分を、ホントにチョットだけ書き留めてみる、っていうだけ。あと、テープレコーダーを持ち歩いて、色んなところで誰かが言ったものを録音してみたりとか。そんなことばっかりやってるのも好きじゃないんだけれど、たまに、オッいいね、これは残しておきたい、と思ったらいつでもメモできるように、ね。いままでよりはメチャメチャ忙しくなったけど、基本的に僕は怠け者なんで、そんなに仕事のことばかりバリバリ考えたくはなかったんだけどな。でも自分で学んでみたい、と思ってしまったのも事実で、じゃあ実際に自分でやるしかねえよな、と(笑)。楽しんでやってるし、いいライターになれたら嬉しいよね。僕がやりたいことってのは、違う仕事をいろいろやってみたいってこと、ひとりで朝起きられるようになること、明日も朝が来るだろうって期待すること。
——いま、期待してることは?
MR:本心をいえば…… スタジオワークをもっとエンジョイしたいね。スタジオの中にいるのが大好きなんだ。またスタジオで仕事できるのを期待している。スタジオ中毒とかそんなことではないんだけど。スタジオで仕事があると、いつも早く行くようにしてる。30分は早く着いちゃうね。昨晩は夜の7時からスタジオ入りだったんだけど、それまでの時間、日中がもう長く感じちゃってイライラしたね。スタジオにいるのが好きだし、そこで仕事するのがまた楽しいんだ。結局僕は、その「楽しい」ことをやりたい、っていうだけなんだよね。スタジオに向かって移動する、それさえ大好きだもんね。
——あなたのソロ・アルバムでは、エレキギターだけじゃなく、アコギとかキーボードとか、いろんな楽器を演奏してるよね。
MR:たしかにいろんな楽器を演奏してる。そんなに上手くないけどね。でも自分で演った。どんな音にするか、自分で取捨選択するわけだから、どんどん難しい作業にはなるんだけど。スタジオで、卓の後ろに座るのも好きなんだけど、スタジオのブースに出て行くのはもっと好きだし、ギターの弦と戯れるのはもっともっと好き。そういうひとつひとつの小さな作業を何もかもやるっていうのが大好きなんだ。ひとつの業務だけを全うする、てのができないんだ。だから、少しずつだけど、徐々に自分を開発していってる、っていうカンジだね。僕はいろんなことを学ぶっていうのを止めることができない。それは一生そのままだろうね。でも、それでいいと思ってる。
——ジェフ・ベックとセッションしたよね。あれはどうだった?
MR:オー、すっごく楽しかったよ。本当に楽しかった。ある時僕等のライヴに彼がやって来たんで、僕がデヴィッドに言ったんだ。「一緒に演奏しないか、ってジェフに聞いてみようよ。簡単なセッションで」ってね。で、ジェフにそう聞いてみる事にした。実はその日はジェフの誕生日だったんで、ジェフはバーで何杯か飲んでた。面白いよね。ジェフは「ああいいよ。演奏するの好きだし」って。最高だろ(註:発言が正しければ、このやりとりがあったのは73年6月24日、英クロイドンのフェアフィールド・ホールでのライヴ会場と思われる。実際にセッションをやったのは73年7月3日、英ハマースミス・オデオンでのジギー・スターダスト引退ライヴの場だった)
——ジェフ・ベックからは、影響を受けた?
MR:ああ、そりゃもちろん。彼は僕のヒーローだから。
——他に、強く影響を受けたのは?
MR:沢山いるんだけどね。キース・リチャーズはいつだって大好きだ。彼のプレイが好きなんだ。それから、ジョージ・ハリソンとエリック・クラプトンも。その2人は一段下がる、ってカンジだけど。
——今までスケール練習とか、ランニングノートとか、やったことある?
MR:いやいや(笑)、いつも僕は同じようなフレーズを適当に繰り返してるだけ(笑)。たまに、やっときゃ良かったなって思うこともあるけど。きっと僕は、聞いたことあるような同じようなフレーズを何度も何度も繰り返す、っていう方法だけで終わるんだろうね。でも聴こえ方は毎回変わるハズだけど。
——練習は、しないタイプ?
MR:しないね。(部屋の隅にある、レスポールがしまい込まれたギターケースを指差して)ギターはケースにしまいっぱなし。明日スタジオでケースを開けるまで、ギターはあのままだろうね。いや、でも少しは練習することもあるな。でも覚えるのは遅いんだ。そういうのを毎日毎日積み重ねるのは僕には無理。考えるのも無理。まあ少しは練習しようとは思ってるんだけど。ギタリストとしての僕を支えてるのは、人と会ってセッションすることだから。誰かの演奏を見るだけで、すごく僕の参考書になる。それが僕の「練習方法」だね。いい練習になってるよ。
——今、いろんな面で上手くいってる、と感じる?
MR:いままでと違うタイプのソングライティングをすること、今まで聞いた事のなかった新しい音楽に挑戦すること、どれもこれも、最近急にやり始めたばっかり、っていうものだ。そういう新しいものを吸収することで、僕もリフレッシュできるんだ。今まで演奏したこともないものを、どうやって演奏するか勉強してみる。いままでと違う演奏方法でね。凄いリフレッシュになるんだよ。かといって、今まで既に僕がやってきたものを全部捨てるっていうワケじゃないんだ。それはそれで、価値があるものばかりだから。
——あなたのギター・プレイに関して、何か聞き忘れたことってあるかな?
MR:いや、バッチリじゃないかな。なにかあれば、6ヶ月以内にまた質問してよ。……どう? 最後にそう書いとけば、上手く「オチ」になるんじゃない?

Interview by Steven Rosen in 1976. / Article written in 1976, revised in 2013.
Translated by Tats Ohisa. ©2013 Steven Rosen / Buzz the Fuzz

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 上手いオチかどうかはともかく(笑)インタビューは以上になります。とても万人にとってタメになる文章とは思えませんが、もしお楽しみいただければ、幸いです。余談ですが、このインタビューはローゼン氏がミック・ロンソンとサンタモニカの西にある、トロピカーナというちょっとデカいモーテルのレストランで、ランチを食べながら行なわれたインタビューです。同じ表現、同じ話題が何度か繰り返されてしまうのは、メシを食いながら行なったQ&Aを、そのまま(取材テープに録音されたそのまま)書き起こしているからです。文章としてはやや読み辛い点があるのは承知の上ですが、そのまま再現しました。ご容赦いただければと思います。
 文末にサンクス・クレジットを入れてませんが、もちろんこのインタビュー原稿をライセンスしてくれたスティーヴ・ローゼン氏に感謝を。そして今から37年も前の古くさい文献で、しかもやたら長文で、拙い翻訳と註釈で、という3重苦のインタビュー文ながら、最後までおつき合い下さって完読していただいた方には、最大限の感謝を。
 

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