11.28.2011

J Mascis - Part 5


INTERVIEW BY KIT RAE. AUGUST 2, 2011
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An image of J from FUZZ: The Sound that Revolutionized the World. DVD available from Brink. Image © Brink Films, Inc.
JM:あ、そうなんだ。BIG MUFFのコピー品で好きなものはどれ?
KR:んーーーーー、6ヶ月ごとに趣味が変わるんだよね(笑)。ホントに「やたらと」試しているんだ。言うのは難しいなあ。好きになれない、っていうモデルはそんなに多くないし(笑)。やっぱりどれもこれも「違う」ペダルだからね。でも、そうだな、僕の73年製ラムズヘッドをクローンしたSTOMP UNDER FOOTのものとか、BYOCのLARGE BEAVERとか、ピート・コーニッシュのP-1、あと最近見つけた古いホーナー製のTRI DIRTY BOOSTERとか、FOXEY FUZZとか、そんなところかな。いいのは沢山あるよね(註:インタビューの直後、Jは速攻でSTOMP UNDER FOOTのVIOLET RAM'S HEADと'73 RAM'S HEADをオンライン注文した。また、ほどなく彼のお気に入りであるラムズヘッドBIG MUFFを送ることにもなったようだ。最終的にSTOMP UNDER FOOTにてそのラムズヘッドのクローンを、TYM GUITARSのクローンペダルよりも小さな筐体に収納して製作してもらい、3ケ程購入することになりそうだ、とのこと)
JM:どこが製作してるの?
KR:FOXEY FUZZはMJMっていうメーカーが作ってる。あ、僕が一番多く使ってるのは、ROYAL BEAVERっていうモノで、これはBIG TONE MUSIC BREWERYっていうところが作ってる。ここの人が、さっき僕が言ったBYOC(BUILD YOUR OWN CLONE)をやってるんだよ。なんていうか、BIG MUFFのトーン生産工場、っていうかな。歪み、ミッド・トーン、EQ、っていう3つの独立したゲイン・ステージが1列に並んでいるんだ。それぞれのゲイン・ステージを自分でカスタマイズできるようになっていて、ようはいろんなバージョン/種類の歴代BIG MUFFのサウンドを、それ1つで再現できる、っていうカンジ。おおまかに言えば、ね。あまりレンジが広いわけじゃないし、見た目はダサい(笑)。でも楽しいペダルだよ。
JM:おー、そうなんだあ。
KR:もういろんなブツがいろんなブティック・メーカーで出てるから、今から(クローン選びを)どれにしようかな、なんて考えてたら、そりゃ混乱するよね。もはやBIG MUFFは「FUZZ FACE化した」とも言えるのかも。FUZZ FACEクローンなんて、一体今いくつあるのか誰もわからないだろうしね。エフェクト・ビルダーなら誰でも一度は必ず作るし。今やBIG MUFFに関しても同じだね。でも、知っての通り、音は全部ちょっとずつ違う。オリジナルのBIG MUFFがそれぞれ全部違うサウンドを出してたんだから、それをトレースしてクローンを作って、各々が小さなモディファイを追加してたりしたら、違う音のペダルになって当然だけど。最近ではミッド・コントロール・ノブを追加したものも多くなってきてるね。通常のトーン回路を、例えばトレブルとベースとか、そういう2つにスプリットして、それぞれ2つのノブでコントロールするっていうモディファイなんだけど、それは最近のトレンドって言えるだろうね。ごく最近のトレンドだね。たしかにこうすると、ユニークなサウンドを作る事が出来る。でもなんとなく、中域にクセのあるトラディショナルなBIG MUFFのサウンドはやや失われてしまうっていう傾向にある。あのキャラが失われるのは、ちょっとね。
JM:ああ、わかる。それは「正解の」サウンドではないんだろうね。いつも僕は、小さくで、頑丈な、持ち運びしたすい、っていうモデルを探してるんだけど。
KR:FUZZ MUNCHKINが出たら、どうするの?


(写真左)TYM GUITARSのFUZZ MUNCHKIN試作品と、JのオリジナルBIG MUFF。(写真右)限定版となる、Jのアートワークが施されたもの。FUZZ MUNCHKINが製造されたことにより、Jはやっと自分のお気に入りのBIG MUFFサウンドを、小さな筐体に入ったもので実現でいたことになる。しかしティムはJに少数生産で、市場にはあまり出回らない、と伝えていた。それゆえ大量生産されることはなく、TYM GUITARSのウェブサイトを通じて少量だけが販売された。製造数はトータルで300ケ。ティムが言うには、Jは最初「どうせいつもフルにしているんだから」ということで、ゲインとボリュームのコントロールはなくてもいい、と思っていたようだ。しかしティムとしては、それだとコントロールの幅があまりにも少なくなるので、同レプリカ・ペダルの売れ行きを心配してそれらを排除することは結局しなかった。Photos © Tym Guitars

JM:決めてない。ティムはそんなに沢山アレを作るつもりはないだろうし、作ったとしてもティムが自分用に持ってるだけだろうね。
KR:たしか300ケ作る、ってことだったと思うけど(註:初回生産分300ケはすでに完売している)
JM:そうだね。
KR:ティムはJのアンプとかペダルとかを調整したりリペアしたりすることは?
JM:あるよ。何かしらオカシな症状が出てしまったモノが常にあるんで、オーストラリアにいるときはティムにそれらの面倒を見てもらってる。
KR:以前、アナログマンのマイク(・ピエラ)に調整とかやってもらってたよね?彼が大量のエレハモ・ペダルをJのために弄ってたのを知ってるよ。

(写真)2003年と2009年、J所有のいくつかのBIG MUFFが、アナログマンによって修理されているところ。映画「FUZZ〜」の中で、アナログマンのマイクがプロデューサーの質問に答える形でJのMUFFコレクションに関して喋っている。この撮影は2007年に行われた。Photos © Analogman

JM:そうそう。ところで、BIG MUFFのリペアをやってもらうなら、誰が一番いいと思う?
KR:クローンを製作してるビルダーの何人かは、もちろんいいと思うんだけど、でも彼らはMUFFの修繕・修理というよりは、むしろ自分の仕事、クローンを作って販売することのほうに執心してるからなあ。回路を追っかけていって、ダメなコンデンサを見つけて、別のパーツに取り替える、みたいな作業にあまり魅力を感じてはいないんだよね。僕の場合は、簡単な場所であればもう自分でやっちゃうことにしてるんだ。でも僕も、そういう調整とかに時間をかけるよりは、「使えるペダル」の棚の中からペダルをガっと掴んでそれを使っちゃう、ってタイプなんだよね。まあ僕も誰かいいリペアマンがいないかな、といつも探してるところなんだけど。
JM:ロジャー・メイヤーはどうかな? なかなかいいBIG MUFFのクローン・ペダルを、以前僕のために作ってくれた事があるんだけど。
KR:え、ホントに?
JM:もうなくしてしまったんだけど、あの例の宇宙船みたいな形のモノで。ノブは2つ。彼は「ボリューム・ノブなんていらねえだろ」っていう人だったからね。「どうせそこはフルアップで使うんだろ?知ってるぞ」って言われた(笑)(註:もちろんロジャー・メイヤーはジミ・ヘンドリクスのためにデザインしたファズ、特にOCTAVIAファズで有名な人物のこと。後に彼が製作したペダルの大半は、宇宙船のような筐体に収められている)

これがJがなくしてしまったというロジャー・メイヤー製カスタムBIG MUFF? ……いや、写真は実際にはロジャー・メイヤー製OCTAVIAで、Jはこのシェイプの筐体のことを指して「宇宙船」と言っている。
KR:うわ、それスゴイねえ。もう持ってないの?
JM:多分、なくしちゃったと思う。たまにロジャー・メイヤーが作ったMUFFクローンをeBAYで探してみたりもするんだけど、もう数千ドルとかになっちゃっててね。「あ?ありえねえよ」とか思っちゃう。間違いなく以前は持ってたんだけどねえ。
KR:あー、でも確かにビンテージのBIG MUFFも値段はどんどん上がっていってるねえ。トライアングルBIG MUFFが、何度も2000ドル以上の値段でeBAYで売られてたのを見た事あるよ。最近ではラムズヘッドも2000ドル・オーバーっていう世界になってきた。
JM:最近も青のラムズヘッドが売ってたね。1600ドル、だったかな。
KR:eBAYで?
JM:そう。
KR:多分、それを売りに出した人は、僕に以前「どのくらい価値ありますかね?」ってメールで質問してきた人だ。その時はだいたいの落札相場を教えたんだけど、でも最終的な値段、価値を決めるのは、結局お金を払う人次第だからねえ。僕はそんなに破格の値段を払ったことは一度もないんだけど。だって「もっといいものがもっといい条件であるかも」って思って待っちゃうタイプだから。
JM:うん、そうだよね。わかるよ。僕が持ってる赤のラムズヘッドは、全部500ドル前後だし。
KR:今なら500〜600ドルってあたりがラムズヘッドのだいたいの落札相場の平均値かな。まあ上下はするけど。
JM:そうだね。以前、赤のラムズヘッドで、下のほうに小さな丸いロゴが書いてあるものを落札したことがあるんだ。ほら、紫とかブルーのラムズヘッドにある、小さい円のロゴ。あれが赤なのにあるっていう。
KR:ウワー、それすっごくレアだよ。あ、でも紫がJのお気に入りのカラーなんだよね。紫でそのサークル・ロゴのものも、もう結構集めてるんじゃない?


(写真)こちらもJのBIG MUFFコレクションの一部。初期バージョン2で、レアな丸いロゴのラムズヘッドのものは73〜74年の製造、と思われる。特にこのロゴでインクが赤のものは貴重。右のほうにある個体のチキンヘッド・ノブはオリジナルではないが、それ以外の個体のノブは全てエレハモ・オリジナルのノブ。エレハモ社は(写真の左にあるような)例の大きく黒いDAKA-WAREのノブを採用する以前は、様々な形状のノブを採用していた。Photo © J Mascis

JM:いや、2ケだけだね。何度か見かけて、4度くらいだったかな、買うチャンスもあったんだけど、実際に買ったのは2ケのみ。
KR:ホントにレアなんだよね、それ。eBAYだけじゃなくて、掲示板で売りに出してる人も含めて、1年に1〜2度くらい見かけるかどうか、ってカンジ。
JM:掲示板?どこの?
KR:いくつかあるんだよ。THE GEAR PAGEもそのひとつだけど。イギリスで、誰かがD.A.M.の掲示板の中でトレードを持ちかけてたっていうのも見た事がある。あともちろんエレハモの掲示板とか。今じゃ有名なコレクターの人達は、みなどこかの掲示板で告知だして、あとは直接メールでやりとりする、っていうカンジ。もしくは僕に「こんなコレクション売りたいんだけど」っていうメールをよこすこともある。でも一番メジャーな方法はeBAYで売ることだろうね。
JM:やっぱりね。ところで一番最初のトライアングルBIG MUFFで、ON/OFFスイッチがなくて、ロータリースイッチになってる、っていうモデル、持ってる?
KR:ちょうど今、2ケ持ってる。今僕が持ってるトライアングルBIG MUFFのほとんどはもちろんスイッチ付きなんだけど。超初期のモノはプリント基板じゃないんだよね。PERF基板にハンドワイアードで配線されてて。場所によってはPtoP配線だった。
JM:そう、それ。
KR:あれって、モノにもよるんだけど、ゼッンゼン違う音するよね。
JM:そう。僕は1ケだけ持ってるんだけど、でもどんな音だったかは今ちょっと思い出せないなあ。
KR:10年前なら、あの超初期モデルって、100〜200ドルとか、そんなモンで買えたんだけどね。
JM:僕の友人もアレを1ケ持ってるんだけど、なんとかして彼からソレを買えないかなー、っていつもツツいてみたりはするんだけどね(笑)。今はもう熱心に探しまくる、ってカンジではなくなっちゃったんだけど、もし紫で安く入手できるのであれば欲しいな。もしくは、自分が全然知らないようなペダルで、でも持っておいた方がいいかな、っていうものがあれば買うだろうけど。
KR:わかった。Jのために僕がかわりに目をヒン剥いてチェックしとくよ。えーと、沢山質問させてもらって、ホントにありがとうね、J。すっごく貴重な時間だった。Jのファンも、これを読めば喜んでくれると思う。これからも頑張ってね。
JM:オッケー、嬉しいよ。それじゃ、ね。

Thanks to Amy at Red Light Management. Thanks to T for proofing. Article written in 2011
Interview by Kit Rae. Translated by Tats Ohisa. ©2011 Kit Rae / Buzz the Fuzz

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Shown above: J Mascis' massive vintage Electro-Harmonix Big Muff Pi collection (Photo © J Mascis)
 Jマスシス・インタビュー、いかがでしたか? 個人的にも『GREEN MIND』とその後の初来日公演(もう何年前のことかさえ忘れてしまってますが)にエラく感動したことをフツフツと思い出しますねえ。長文にも関わらずおつき合いいただいた方、有難うございます。慣れない英語、しかも口語の翻訳というのもとても疲れましたが、一応全文を(省略なく)訳してますので、皆様の今後のファズ人生(笑)に役に立てたら幸いです。ていうか、さすがにこれだけ語られてしまったら、誰でもBIG MUFFにも興味持ってしまいますよね。当然ですが当方も同じでして(笑)。んー、なんか1ケくらいラムズヘッドのクローンが欲しくなってきたな、なんて思った方は、おそらく当方だけではないだろうと思うのですが。あ、そういえばスペインのMANLAY SOUNDには、俺があげた2N5133がまだ余ってるハズだな…… あそこに作ってもらう手もあるなあ(笑)、などと勝手極まりない妄想がまた膨らんでしまいます。

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