11.22.2012

The Effector Book Vol.18 - Tube Driver Special

 
 今月も月末にはシンコーミュージックからTHE EFFECTOR BOOK最新号が発売になります。「4回くらい出せればラッキーっしょ」なんて言いながら始まったこの本も、なんと開始から4年をゆうに過ぎ、VOL.18という前人未到の領域に達しております。そりゃあ当方も年を取るワケです(笑)。

 てなワケで、その中身をご紹介します。VOL.18は真空管エフェクター特集。真空管はもちろん増幅回路に使用するテクノロジーですから、プリアンプ、オーバードライヴ、ディストーション、そういったゲイン稼ぎ系のエフェクターが沢山紹介されていますが、今回の特集ではむしろ製品の特徴と同時に「さて、真空管てなんぞや?」というアカデミックな記事も豊富です。
 真空管のブランド、製造国、製造工場、型番による音の違い、とかそんな話も盛り沢山です。コワイですね。そんな話で本ができてしまうのですから(笑)。もしかして、いつか将来「シリコン・トランジスタ特集」なんていうことになったりするんでしょうか?(笑)。
 真空管の魔術師、ともよばれ、フェンダーCHAMPの伝説でも有名な技師、ポール・リヴェラのインタビューとか、本編の特集とは別のブランド特集としても、真空管を使用したゴツいエフェクターも沢山出している真空管アンプ・ブランドBLACKSTARの特集とか、そんな記事も掲載されています。

 そしてベテラン・アーティスト・インタビューのほうでは、元ボアダムズ、現在人力トランスのユニットROVOで勢力的に活動されている山本精一が登場。また、「お前のペダルボードみせろよ」のコーナーでは、出ました、ダイナソーJRのJマスシス登場です(註:当方は、まあどっちでもいいんじゃね? というスタンスなので、こう書いていますが、シンコーミュージックでは彼の名字表記を「マスキス」に統一しているそうです)。
 ダイナソーの新作の発表に伴い、こないだバンドで来日したJを急遽捕獲、おそらく日本一Jの機材に詳しいTHE EFFECTOR BOOK編集長が、突撃インタビュー&機材撮影を敢行しています。今回の来日で、Jが受けたインタビューはこのEFFECTOR BOOKのもののみだったそうで、その理由は単純に「時間がまったくなかった」からだそうです。結局、公演直前に20分だけ時間を貰い、「さあ喋れ、ホレ喋れ、機材のことだけ喋れ」みたいなカンジで進められたインタビュー、なかなか面白いモノになっています。

 編集長から許可を貰い、以下彼の発言の一部を先だし披露します。というのも、編集長も「えっ!マジすか? いやあどうしよう」とアセった、と言っていた重要な発言が飛び出したからです。
 Jマスシス「知人にRANGEMASTERとTONE BENDER MK1を一緒にしたようなのを作ってもらったんで、それを使ってる。あと、それを作ってくれた同じビルダーが作ってくれたTONE BENDER MK1のリメイク・ペダルもあって、ここ数作のアルバムではかなりの割合でそれを使ってるんだ。最近のレコーディングではBIG MUFFは一度も使ったことがないよ。TONE BENDERはいっぱい使ってるけどね」。

 そりゃあダイナソー・ファンであればBIG MUFFラムズヘッドこそがキモ、と思いますよねえ。当方もそうでした。でも、スタジオではほぼMUFFは使わない、てことは以前のインタビューでも言ってましたが、そんなにTONE BENDER使ってる、とは新発見かもしれませんね。
 これも以前ご紹介したことがありますが、もちろん上記の発言ででてくる「知人」とはBUILT TO SPILLというバンドのギタリストでもあるJIM ROTH(JERMS)氏で、最初に作ってもらったTONE BENDER MK1クローンに加えて、TONE BENDER MK1にトレブル・ブースター回路をブっこんだ新しいカスタム・ファズ(右の写真の、金色でノブが4ケついたブツ)も作ってもらったようですね。特に後者は今回のライヴでも使用していて、ソロ・ノートになったときにオンにすることが多い、とのことです。

 最近も世界中でヒッパリダコの人気もののJさんですが、今年の夏イギリスの音楽誌のインタビューで「昔、カート・コバーンから2回くらいニルヴァーナに入ってくれと誘われたけど断ったんだよね」なんていうブッチャケっぷりを発揮する彼ですから、それに比べれば小さなネタですが、TONE BENDER専門ブログ、を標榜する(笑)当ブログとしてはこっちのほうが重要発言、となるわけです。

 それから、小ネタをもうひとつ。今回のTHE EFFECTOR BOOKの新製品レビューには、以前こちらで紹介したROTOSOUND社製のTONE BENDER MK3回路の復刻ファズ・ペダルFUZZ RFB-1の製品レビューが掲載されています。まだ店頭で見かけた事がないので、当方も現物をみたことがないのですが、編集部に現物が届いた、ということなので、写真をお借りしました。

 今回その中身をやっと確認することができたワケですが、基本的に回路はMK3回路をそのまま踏襲しているようです。が、ご覧いただけるようにプリント基板で、トランジスタは日本製の東芝のゲルマ・トランジスタ(AC128)のNOSパーツが使用されているようです。東芝のロゴが入ったAC128。ちょっとレトロで素敵ですね(余談ですが、こないだ『タモリ倶楽部』で「自作ファズ特集」というとんでもない内容が放送されたわけですが、ひらがなの文字が印刷された東芝製のゲルマ・トランジスタが紹介されていて、個人的にもグッときちゃいましたね。笑)。

 回路基板には2つの内部トリマーも設置されていて、やはりバイアスの調整は個々のパーツで苦労させられそうですね。ちょっと短めですが、サンプル・デモ動画があったので、貼っておきます。

 とまあそんなワケで、今回はTHE EFFECTOR BOOK最新号絡みのことだけで全部費やしてしまいました。他にもジムダンが出した「ジミヘンのトリビュート・シリーズ」の紹介とか、M.A.S.F.がシンエイのファズを弾き倒す、という動画連動企画とか、雅-MIYABI-のペダルボード紹介、等いつも以上にマニアック情報テンコ盛りの雑誌です。月末発売です。ご期待下さい。
 

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