4.25.2011

JMI - Tone Bender Professional MK2 (Mullard OC75 Limited)

 
 前回、JMIの最新商品となる「MK2/ムラードOC81D」をご紹介しましたが、その直前に発売された、JMIのPROFESSIONAL MK2/ムラードOC75版を今回は取り上げたいと思います。当ブログでも以前から何度か告知をしたこともありますが、日本に入ってきたのはやっと先月から、ということになります。こちらも入荷がなんだか遅れに遅れておりまして、ご期待いただいた皆様にはご迷惑をおかけしますが、なんとかご理解を賜りたいと思います。

 右に掲載した同製品の広告画像にもあるように、実はこの限定モデルは「20ケ限定」での製造となっており、カラーリングもグレーハンマートーンのものと、金色のもの、の2種類があります。トランジスタ以外の外観の仕様に関してはは前回とカブるので、その詳細を省きます。

 本来こういう商品紹介をする際には前回との「差別化」を判りやすくするために金色のブツを載せるべきなんでしょう(既に金色のもグレーのも両方日本に入荷してますのでどちらを撮影しても良かったのですが)。が、あえてグレーのほうにしてみました。ご覧のように、外見からはなかなか判別できねえぞ、というのを逆にご理解いただけるのではないか、と思われます(笑)。

 ここでひとつ、実は既に当モデルをご購入されたお客様からのご指摘が契機となって本国JMIに確認し、そこで判明したことがありますので、それをご報告します。こちらのムラードOC75版の裏蓋にあるナンバーは「029」となっています。オイちょっと話が違うんじゃねえか?20ケ限定なのに、なんで29番なのよ?という疑問です。

 それに関してそのまま本国にぶつけてみました。以下解答です「ウチの製品シリアル・ナンバーはバッチ(一括処理)・ナンバーを採用している。だからそれは、各モデルに付けられるモノではなくて、ビルダーそれぞれが通し番号で使うナンバーなんだ」。
 それを「シリアル・ナンバー」として採用してる、というのだから、こちらとしては、あら、そうなのね、と言うしかありません。我々日本人はシリアルと言われればモデルごとにNO.1からスタートするもの、という考えが働きますが、シリアルはたしかに「直列で/連続する」という意味なので、間違いではないんスよね。それを裏付けるように、現在ウチに在庫されてる2ケのMK2と2ケのMK1.5は、全部ナンバーが連続しています。全部ニック・ブラウニング氏がビルドアップした製品です。

 さて、その中身ですが、やはりこちらも気になるのはトランジスタ、ということになります。上記した英文の広告で、メーカーから公言されていますが、パーツはNOSの英国ムラード製OC75(ブラックキャップ)が3ケで、その歪み値は70から100のあいだのモノ、という回路です。

 まず掲載した写真は、上でも撮影したNO.29の実機の中身で、トリムポットが採用されていることと、トランジスタの文字が結構判読するのに難しいくらい劣化してることが見て取れますよね。ですが、ちゃんと確認してみれば、これは本物の英国製、ということがわかります。

 NOSパーツといえば「未使用」なのだからキレイなモノ、という頭が働くのも、ある意味当然ではありますが、何度も書いているようにだいたい英国製のムラード・トランジスタなんてものがもう殆どこの世にはないんで、あってもこういう状態のブツしかない、という点では納得するしかない、ということでしょうね。

 自分で撮影したこの画像がちょっと悔しい(笑)てワケではないんですが、本国JMIがこの製品のプロモ用に撮影した同機種の写真を貰ったので、それを掲載します。
 お、なんだよこっちのほうは文字もキレイだな。やっぱ悔しいなー(笑)。そしてこちらの写真のブツでは、トリムポットがありません。つまり、バイアスのマッチングには苦労せずにアッサリと出来上がった、ということなのでしょうか。
 ですが、皆様ご承知のように温度や環境(つまり使用する国とか季節)に、ゲルマニウム・トランジスタというのは敏感に反応します。いつも同じ音が確保されることはありません。なので、むしろトリムポットを使ってくれた方がプレイヤー的にはありがたい仕様かと思います。
 で、その音に関してですが、前回の「ムラードOC81D版とムラードOC75版の比較」とダブリになりますが、完結に申せばOC75版はオープンで、高音、低音、ともに伸びがあります。歪みもガラガラと猛々しい印象があり、OC81D版のような密度の濃いイメージはありません。
 とはいえ(何度も言いますが)これはMK2回路ですので、例えばMK1とかMK1.5とはまったく違うファズの歪みです。パリっとしたコンプ感、分厚い音像、そしてオープンで豪快なボトム等はやはりMK2独特の音、といえます。

 まったくドーデモいい話ではありますが、ひと言で「英国製ムラード・トランジスタ」とは言っても、同じ銘柄/規格のトランジスタでも、その時期/もしくは製造工場によってプリントに細かい記載方法の違いがあったりします(とはいえ、その時期/もしくは場所を特定することはできないんですが)あるブツには「MADE IN GREAT BRITAIN」と書いてあり、また同時期の別のブツにはただ「GREAT BRITAIN」とあり、また他のブツには「BRITISH MADE」とプリントされていたりします。しかもいずれも1960年代のパーツで、です。正直そのポイントは音にはまったく関係のない話ですが、それでもやはり「見た目」には重要なポイントといえるのかもしれません。

 ムラードOC81D版ほどではありませんが、こちらもかなり高額なエフェクターとなってしまっております。あと数ケ、日本に入れる予定ですので、準備が出来次第こちらも当サイトでの販売を開始しますので、ご期待下さい。
 それから最後に、英国製ムラードのNOSトランジスタを使用したJMIの復刻品TONE BENDERには、かならず本体と認定書に「MULLARD」の文字があります。もし当稿を参照して、TONE BENDERを買おうかな、という方がいらっしゃいましたら、その確認をしていただくようお願いいたします。もし店頭でご購入を検討されるのであれば(可能なら)中身を実際に見て確認することをオススメしたいと思います。なんと言っても、ご覧のようにパッと見だけではなかなか判別しにくいことは否めませんので。(ちなみに、当方を経由してJMI製品を販売してもらってる、横浜のCRANE GUITARSさんと岐阜のKSOUNDさんには、十分に商品内容を理解いただいていることも付け加えておきます。なんといってもメッチャこういうのに詳しいお店ですので。)



追記:スンマセン、すっかり忘れてました。えーと、イギリスJMIはこのムラードOC75版PROFESSIONAL MK2のデモンストレーション動画を新たに作成し、すでに公開しております。この動画でご覧頂けるのは金色のブツですが、上記したように、もちろんグレーハンマートーンのモノも同じ音です。エフェクトを音にする直前の音から、ギターはハムバッカーで、アンプの音もちょっと歪み入ってるくらいのクランク具合であることが伺えますが(おそらくここで使用されているアンプは、いつものごとくJMIのAC30レプリカかと思われます)、この機材と動画にあるようなセッティングだと、このファズはこのくらいの歪みとコンプが掛かるぞ、というのがお判りいただけるのではないかと思います。
 

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