8.29.2012

JMI - Tone Bender MK1.5 (Mullard OC75 Limited)


 新製品のご紹介です。先日チラリと「JMIの新製品がありますよ」と書いたことがあるのですが、やっと手元に届きました。その経緯を含めて書いてみたいと思います。

 簡単に言えば、TONE BENDER MK1.5です。基本的に今までのものと変わりありません。が、なぜ新製品かといえば、トランジスタが違うからです。今回はイギリスのMULLARD製の古いOC75を使いました。
 以前からMK2のリイシュー品ではこの英国MULLARD製のOC75を使ったものが(金色と銀色の2種類で)出ている事は書いてきましたし、現在も手元に在庫もあるので絶賛発売中、ということになりますが、そのMK1.5版、ということになります。

 「ねえ、まだMULLARDのOC75て残ってるの?」「ああ、あるよ」「じゃあそれでMK1.5作らない?」「ああ、いいね」そんなやりとりを英国JMIとしました。たしか春ごろのことだったと思うので、もう半年くらい前のことですが。えへへ、つまり、今回の新製品も当方のワガママから出来上がった、ということになりますねえ(笑)。

 そういうワケで、回路自体はこれまでのMK1.5と変わりありません。筐体も、シルヴァーグレイのバージョンを使用しており、パっと見た目は以前と変わりありません。が、裏をみるとちょっと違いますね。ゲイリー・ハーストのサインがプリントしてあり、「TONE BENDER INVENTOR(開発者)」とのクレジットが、そして「THE CLASSIC BRITISH EFFECT」という文字も入っています。

 ここでまた余談になりますが、当然ゲイリー・ハーストは今もJMIと仲が良くて、いろいろと協力関係にもあるわけですけど、JMIのボス、ジャスティン・ハリソンが「ゲイリー・ハーストていうブランドでTONE BENDER出そうかなあ。サインをババンと入れて。どう思う?」と当方に聞いてきたことがあります。
 で、こう答えました。「ああ、いいかもね。でもサインを表にババンと入れるのはやめてよね。見た目は昔(60年代のオリジナル)と全く同じにしたほうがいい、と思うから。だからサイン入れるならバックパネルか筐体の中か、どっちかにしてほしい」。結果、サインに関してはそうしてくれた、てことになりますね。ゲイリー・ハースト・ブランドがどうなるのかはまだ決まって無いようですが。

 閑話休題。トランジスタはとても貴重な大昔のOC75ですから、そんなに状態(見た目での)がいいわけではありません。それでもしっかりMULLARD/GREAT BRITAINの文字が残っているのは幸運、というしかないですが。同様に、どんな数値でも選べる、というほど豊富なストックなぞあるわけでもないので、当然のようにバイアス・コントロールのための内部トリム・ポットを採用しています。

 早速音を試してみました。んー、通常の(無印OC75を使った)JMIのMK1.5とそんなには変わりませんね(笑)。細かい違いを探ろうと思ってしばらく弾き続けて、感じたことを以下に書いてみます。MULLARD版のほうが、飽和するポイントが少しだけ早いようです。なので、通常版よりもツマミの位置決めをするときに慎重になりますね。
 ギターのボリュームには十分に(他のMK1.5製品と同様に)ビンビンに反応しますが、その滑らかさ(歪みの深さではなく、そのグラデーションのかかり具合、という意味です)はやや違いました。ギターのボリュームを増やしていくと、MULLARD版のほうが、一気にグワっと歪みが持ち上がるポイントがあります。
 ただしこの点は、TONE BENDERをお試しいただいた方であればお判りかと思いますが、ギターのピックアップの出力等に関係してくるポイントでもあるので、お手持ちのギターによって少しずつ印象は違うかもしれません。もともとMK1.5はそれほど音量がドバッと持ち上がるファズではないので、その点は通常版どおりですね。

 もちろんMK1.5はゲイリー・ハーストの監修で発売されていますので、裏蓋のサインだけでなく、認定書にもサインが入っています。

 さてさて、このファズは上記したように日本のヘンなファズ・マニアのワガママで作ってもらったものなので、その製造数は決まってません。一応日本向けに3ケだけ入荷しましたが、ご希望の方にはもちろんお譲りします。値段はMULLARD OC75を使ったMK2と同じになります。一応、1ケは当方が使おうと思ってるので、お譲りできるのは2ケのみ、ということになりますが、興味あるかたはご希望の方はこちらからメールでお問い合わせいただければと思います。

 最後に、このファズとは直接関係ありませんが、ゲイリー・ハーストのプチ情報(笑)です。もう2ヶ月くらい前のことになりますが、JMIはゲイリー・ハーストのインタビュー動画を制作し、YOUTUBEにアップしています。ので、それをここに貼っておきます。5分ほどの動画ですが、60年代のTONE BENDERのこと、JMIでのリイシュー品のこと、そんなことを語っていますね。
 動画の中でも「裏蓋のゲイリー・ハーストのサイン」に関してちょっと出てきますが。まあハッキリいってサインがあろうが無かろうが音には関係ありません(笑)。そして、なぜかバックにT-REXの「RIDE A WHITE SWAN」を使っていますが、この曲はおそらくTONE BENDERではない、と思うんですよね(笑)。

 まだまだ写真や関係者の証言といったモノはないので、推測の域を出ない、という情報ですが、マーク・ボランはJOHN HORNBY SKEWS(JHS)社のSHATTERBOXを使ってた時期があります。なので、「RIDE A WHITE SWAN」もそうなんじゃねえか?というのが現時点での大方の意見です。パリパリっとした歪みなので、トレブル・ブースト(RANGEMASTER)の可能性も否定できませんが、ソロで出てくる「明らかなファズの歪み」はRANGEMASTERでは出ないものですし。SHATTERBOXならファズ+トレブル・ブースト、というエフェクターなので、可能性も高いなあ、と思っています。
 ただし、この曲を宣伝に使ったのは理由が2つある、ということを知っています。ひとつは、ジャスティン・ハリソンが大のT-REXファンだということ、もうひとつは、JMIが最近SHATTER BOX(金色でフットスイッチが2ケついた、JHSのSHATTERBOX)を復刻したからです。そちらはまだ未入荷ですが、届いたらあらためてご紹介しようと思っています。


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