10.24.2012

Manner of Mick Ronson (with Menatone "The Pig" Pt.1)


 前回のポスティングで告知したJMI TONE BENDER MK1 ミック・ロンソン・モデルのアウトレット品ですが、多数のお問い合わせ有難うございます。一応まだ残ってます。もしご興味のある方は、お早めにご連絡いただければと思います。(追記:全て売り切れました。お買い上げ下さった皆様、有難うございました)さてさて、そんな話に関連して今回はまたしてもミック・ロンソン関連のヨタ話です。
 上に掲載した写真の左側のもの、これは1970年にロンソンが初めてデヴィッド・ボウイとバンドを組んでライヴをやらかしたとき(バンド名はハイプという名でした)のものです。スーパーマンみたいなヘンテコな衣装を着たベーシストはトニー・ヴィスコンティ。そしてこの写真では殆ど切れてますが、ボウイの後ろにチラっとだけ黒いレスポール・カスタムが見えますけど、そのギタリストこそがミック・ロンソンでした。

 このハイプのライヴは1970年2月5日に行なわれています。実はこれまで音楽雑誌、もしくは当ブログ等で当方は「ミック・ロンソンがギターの塗装を剥いだのは1969年のどこかで」と書いてきましたけれど、上述のハイプのライヴ(ほんの10数秒だけ、動画が残されています)が証拠となって、「塗装を剥いだのは1970年の頭」ということが確実視されます。もし、その事実を気に留めていらっしゃった方がいれば、本稿にてお詫びとともに訂正させていただきたいと思います。

 完全な余談になりますが「ミック・ロンソンが一体いつギターの塗装を剥いだのか」ということと「ボウイがいつ眉毛を剃り落としたか」は、当方個人にとって長年の疑問でして(笑)、ボウイの眉毛に関しては「1972年の11/26〜12/3のどこか」ということがわかってはいるのですが(笑)。まあ完全にどうでもいいことですね。

 ところで今回の本題は、マーシャル・アンプのシミュレート・ペダルの新作をひとつご紹介することです。もちろんロンソンと関係があるブツだからです。
アメリカのカスタム・ペダル・ブランドとして既に有名なMENATONEというブランドは、日本でもモリダイラ楽器を通じて流通されてる有名なブランドですが、その製品ラインナップ群とは別に、ビルダーのブライアン・メナ氏がカスタムメイドで手がけるカスタム・シリーズがあります。その限定生産のカスタム・シリーズにて、なんとマーシャルMAJORの2インプット・モデル、つまりミック・ロンソンが使用した極初期のMAJORアンプの音を再現した、というフレコミのペダルが発売されました。名前はマンマTHE PIGといいます。

 当方もボウイ・ヲタク/ロンソン・ヲタクですから(笑)、早速入手しました。その音は後述するとして、到着する前にブライアン・メナ氏といくつかこのペダルに関してやりとりをしたので、それを元にこのペダルを紹介してみたいと思います。

実はこのペダルの開発のきっかけは、JJというニックネームで有名なミック・ロンソン研究家のひとりがMENATONEに「ロンソンのMARSHALL MAJORの音をペダルにできないか」という相談をしたことからスタートしています。

 以前から何度か書いていますが、ロンソンが使用したマーシャルMAJORは、通称「THE PIG」という、激レアな1967年製の初期型のモノです。2インプットで1チャンネル、アクティヴEQ回路、というものです。そのサウンドは、同じMAJORの後期型(4インプット2チャンネル、パッシブEQ)とは違います。ロンソンのギター・サウンドの核といってもいいそのアンプの音を再現せんと、今回のペダルは企画・制作されています。

 MENATONEのブライアン・メナは、幸運にも「初期型のマーシャルMAJORを持っている」という知人がいて、その回路を研究して今回のペダルを制作したとのことです。メナ氏いわく「実は俺は、4インプットの後期型MAJORの音を聞いたことがないから、そっちとの比較ができない」と言ってました(笑)。また「ミック・ロンソンの音を再現するために研究したけど、ロンソンの所持したアンプにはいろんな噂があって、どれがホントなのか判らないママだ」とも言ってました。いろんなウワサとは、以前にも書いた「キャノン端子の増設」とか「4インプットへの改造」とか、他にもいろんなモディファイがされたことを指します。ロンソンのMAJORに関しては、以前のこちらを参照していただければと思います。

 しかし、ブライアン・メナ本人も明解に説明しています。「このペダルの核となる回路は、トーン・コントロールだ。TREBLEは、トレブル成分とハイ・ミッド成分を増幅する。BASSは低音成分とロー・ミッド成分を増幅する。その2つのトーン回路を経由した後に、ミックスされる」。フムフム。つまりオリジナルのマーシャルMAJOR初期型と同じ回路構成だ、というワケですね。

 そして、とても重要だ、と思われるコメントを聞くことが出来ました。「2つの信号がミックスされるときに、フェイズアウト(OUT OF PHASE/位相反転する部分があって、信号がキャンセルされる仕様)をおこす。TREBLE回路とBASS回路の信号でダブリがある帯域はキャンセルされることになる。その回路の為に、ギターの増幅信号の中域の一部が<ペコっとヘコむ>ことになり(原文でブライアンは、THIS PRODUCES A MID DIP AT THE OVERLAP POINT、と言っています)、そのために、重厚ながらも、とても珍しい特徴的な中域の歪みを生み出す回路となっている」と説明しています。

 何よりも気になるのは、実際の音、というワケですが、本稿が随分と長くなってしまったので(笑)音のサンプルに関しては次回の投稿に回します。その前に、MENATONE「THE PIG」の特徴を先に書いてしまおうと思います。

 写真でもお判りのように、コントロールは4ノブ。右からTREBLE、BASS、の2つのトーン・コントロール。この2つは前述したようにゲインを稼ぐ仕様になってるので、両方をゼロにすると音は出なくなります。次にPOWER GAINと書かれたゲイン回路があり、ここがアンプでいうところのMASTER VOLUMEになります。初期型MAJORはここでもゲインを稼ぐので、ここを上げるとギシギシと歪みだします。パワー・チューブでの歪みを再現した、と考えればいいでしょうか。そして最後のVOLUMEが、このエフェクターのアウトプット・ボリュームとなります。
 MENATONEブランドのエフェクターは、すべてカスタムメイドされたトランジスタを使用している、というウリ文句なので、いくつかのシリコン・トランジスタが見えますが、型番等は一切記載されていません。

 当方の手元にあるブツはシリアル7番なので、他にあと6人はこのペダルを持ってる人がいることになりますね。店頭で購入するのは無理ですが、MENATONEに直接オーダーすれば世界中の誰でも入手することが可能です。オーダーメイドなのでちょっと時間がかかることと、MENATONE製品の中でもかなり高額(送料を入れると400ドルくらい)なペダルではありますが、とても特殊な、しかし大変興味深いペダルであることは間違いありません。

 というわけで、次回は実際のミック・ロンソンの音、それから実際のマーシャルMAJOR初期型の音、そしてこのMENATONE THE PIGの音なんかを全部並べて比較検討してみようと思います。(この項つづく)
 

No comments:

Post a Comment