4.26.2013

Menatone -Pig- On Sale Now

 
【お知らせ】 以下のポスティングは4月26日(金)深夜にアップしたものですが、翌27日(土)の夕方には今回入荷した分すべてが売り切れとなりました。スイマセン、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。



 いやー、遂に入荷しました。待たされましたねえ。でも、その理由(後述します)をチラっと本人から聞いて「ん、じゃあしょうがないよね、大丈夫」と返事をしてはみたものの、またしても今回のオーダーも4ヶ月近くかかったことになっちゃいました。

 というワケで、今回はMENATONEPIGというカスタム・オーダー・ペダルの販売告知です。このペダルに関して、以前もこちらこちらでその詳細を書いたのですが、内容のダブリを覚悟の上で、今回は改めてこのペダルをご紹介したいと思います。

 ダンブル、マーシャル、VOX等のアンプ・シミュレート・ペダル、さらには「RED SNAPPER」「BLUE COLLAR」といった歪み系/ブースト系のペダルで既に世界的な人気を誇る、アメリカのエフェクター・ブランドMENATONEは、ブライアン・メナというビルダーが運営しています。日本でもモリダイラ楽器さんを通じて広く流通しているブランドなので、ご承知の方は多いかと思われます。

 そのMENATONEブランドは、たまーに(正確に言えば、ブライアン・メナの気分が向いた時だけ。笑)カスタム・オーダーを受け付け、本人と直でコンタクトを取ったお客さんに直で販売する、という形をとるのですが、今回ご紹介するTHE PIGはそのカスタム・ラインナップの1製品、ということになります。

 このPIGは、1967年のほんの一時期(一説には、数週間の間だけともいわれています)に製造されたマーシャルの200Wアンプ「MAJOR」の極初期製造モデルをシミュレートしたペダル、となります。既に何度もこのブログでは書いてきましたが、67年製造のマーシャルMAJORは「2インプット」「3アクティブ・ボリューム」「パートリッジ・トランス」といった、他のマーシャルでは見られない独特の回路構成を持ったギター・アンプです。
 初期型マーシャルMAJORの有名なユーザーとしては、やはりその筆頭にミック・ロンソンが挙げられます。というか、他に使ってる人はほぼ知られていません(ピート・タウンゼンドも一応使ってはいましたけど)。ミック・ロンソンとマーシャルMAJORに関しては、過去のこちらこちらのポストを参照してただければ幸いです。
 というワケで、70年代のグラム・ロック期のデヴィッド・ボウイのサウンド、ミック・ロンソンのギター・サウンドのファンにとってはヨダレたらしまくりのアンプなのですが、前述したとおり、ほぼこのアンプの現物は入手が不可能です。

  で、ある時オーストラリアに在住する熱心なグラム・ロック/ミック・ロンソン・フリークのJJさんという方が、MENATONEのブライアン・メナ氏に相談を持ちかけました。「ロンソンの音が出る、マーシャルMAJORのシミュレート・ペダルを作れないか?」と。その後回路の研究や試行錯誤があったそうですが、そうやって2012年に完成したのが、今回ご紹介するMENATONEのPIGというペダルです。

 このペダルは前述した通り、カスタム・オーダー品なので一般販売されていません。また、MENATONEが本業(通常製品の製造)で大忙しとなってしまったため、既に廃盤/もう作んねえよ、というお言葉も、ブライアン・メナ氏からいただいております(笑)。
 といったような話を聞いて、東京に在住するボウイ・オタク/ロンソン・オタクの当方は、黙っていられませんでした(笑)。「ちょ、まってよ。最後に何個かオレのために作ってよお」と無理をいって追加製造されたのが、今回入荷したMENATONEのPIG、ということになります。ええ、またしても当方のワガママ炸裂、ペダル・ビルダーに無理強いしてみた、ということになりますね。

 簡単にその特徴をおさらいしておきます。基本的にはマーシャル・プレキシ・アンプの歪みをシミュレートしたオーバードライブ・ペダルです。が、面白いことにこのペダルはオリジナルのマーシャルMAJORの回路をそのまま忠実に踏襲して設計されています。
 インプットされたギターの信号はフィルターで高域/低域の2バンドに振り分けられ、それぞれをアクティヴで増幅(それぞれのツマミは、左に振り切ると音がでません。その意味で、通常のパッシブ・イコライジングとは効用が異なります)、その2バンドの音をミックスした後にVOL(POWER GAINとかかれたツマミ)でゲインを調整する、という回路になっており、これは67年のマーシャルMAJORと同じ構成です。

 MENATONE「PIG」は、もちろんペダル・エフェクターですので、最後にさらに出力調整のためのマスターVOLが付け加えられています。ちょっと誤解を承知の上で乱暴に言い切ってしまえば「4VOL」をもったペダル、とも言えるかもしれません。

 以前も掲載しましたが、サンプルとして4つの動画を並べます。一番上がミック・ロンソンがマーシャルMAJORを用いて演奏した、1970年のデヴィッド・ボウイの音源。次が、67年型マーシャルMAJORを使用したジェイソン・クイック氏によるデモ動画。そして、今回ご紹介するMENATONE PIGのデモ動画。最後の動画は、このPIGというペダルが作られるきっかけとなった、JJ氏本人によるMENATONE PIGのデモ動画(註;こちらの動画は埋め込み不可なので、YOUTUBEでご覧ください)、です。

 いや、別に「ミック・ロンソンのファンだけのために」作ったり売ったりするわけではないんです。もしこれらの音(動画でもいいし、レコードでもいいですし)を聞いて「オ、カッチョエエじゃん」と思った方がいらっしゃれば、是非お試しいただけたらな、と思って販売するわけです。

 ひとつマニアックなネタを書きますが、ミック・ロンソンのギターの音に関して、当方個人にとっては30年来の「謎」があったんです。それは71年発表の『HUNKY DORY』というアルバムに収録された「SONG FOR BOB DYLAN」という曲のギター・サウンドです。 チョロっと聞いただけでは、ただのマーシャル系の歪んだリード・サウンド。ですが、何をどう使ってもこんな音には絶対になりませんでした。ビミョーにフェイズがかかってるカンジで、十分に歪んでいるのにエッジはシャキっと立ってて、でもメロウで、んー、一体どうなってんだコリャ?という謎でした。
 当方同様にボウイ・ファンでもあるスペインのROMAN GIL(MANLAY SOUND)とも何度もこの話題を議論しましたが「謎」だったんですよね。

 で、MENATONEがPIGというペダルを出した際に、ブライアン・メナが「中域がペッコリとヘコンだフェイズ・アウト・サウンド」という一文を当方にメールしてくれたときに、アッ!なるほど!と大発見したわけです(「中域ペッコリ」に関してはこちらを参照願います)。もう何と言っても、間違いなくミック・ロンソンのサウンドのキモはマーシャルMAJORの独特の回路にこそある、と発見できた瞬間でした。

 とまあそんなヨタ話はともかく、写真のとおり、全部で8ケほど入荷しました。既に数人の方からお問い合わせをいただいており、半分ほどは売却先が決定していますが、4ケほど在庫がありますので、いつものように当ブログを通じて直販します。直販価格は45000円(送料/税込)となります。もしご希望の方がいらっしゃれば、こちらまで直接メールにてお問い合わせいただければと思います(ただし勝手ながら匿名でのメール/ご質問には基本的にお答えしていません。お名前の記載をよろしくお願いします)。

 今回の物件に関して、もっとも悩ましかったこととしては、最近の急激な円安傾向です。たまたまブライアン・メナ氏の近しい方にご不幸があったとのことで、今回のオーダーと入荷が大幅に時間がかかってしまったことは、当方としては全然無問題なんですが、いざお金を支払う段階になってこの超円安(笑)。数ヶ月前だったらもうちょっと安い価格にも出来たハズなんですが、お許し下さい。

 そんなワケで、前回のポスティングでお知らせさせていただいたMANLAY SOUNDの新製品「FUZZ(MK3 CLONE)」と共に、MENATONE PIGもよろしくお願いします。
 

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