5.23.2013
Pigdog Pedals - Professional MK2
まるで真夏のようなクソ暑い5月でした。恒例とはなりますが、そんなワケで5月の末にはシンコーミュージックから「THE EFFECTOR BOOK」の最新刊が発売されますので、その中身をチロリとご紹介したいと思います。
エフェクターだけの本で、一体いつまで続くのかね?なんてことを作っている側も考えてはいたのですが、なんといつの間にかVOl.20まできてしまいました。次からは6年目突入、という想定外の世界を歩んでいるワケですが、今回のVOL.20の大特集はオーヴァードライヴ。歪み系の王道/定番ですよね。同誌では過去にも「現代OD特集」(表紙はケンタ)とか、「真空管OD特集」(表紙はBLACKSTAR)とかをやってきましたが、今回は趣向を少し変えて「世界中のペダル・ビルダーに、オーヴァードライヴとは何ぞや?」を聞いてみた、ついでに「どうやったら上手く音作りできるか」なんてことも聞いてみた、という特集になっています。
いつも本誌に関して当方は「ゴツいマニアックなネタ満載」とか書いていますが、当然のように今回も同様でして、ついに「9V乾電池で音が変わる!」なんていう特集ページまであります(笑)。そりゃあギター初心者にとっては、明らかに敷居は高いですよね(笑)。でも興味ある人には興味深い内容であることは間違いありません。乾電池「聴き比べ」をやらかす雑誌は、日本でここだけ、かな?とか思ったりしてます。
もちろん、トップ・プレイヤーをうならすような高級機材のみならず、今回は「廉価オーヴァードライヴ」特集も組まれています。最近のデフレ下においては、数千円で買える機材はそれこそ種類も多く、安かろう悪かろうと簡単には口にできない時代になりました。費用対効果、という面ではバツグンのパフォーマンスを誇る安価オーヴァードライヴ・ペダルを一斉に紹介したりしています。
また、ベテラン・ギタリスト・インタビューのコーナーではクラムボンのミト氏が登場。氏のコダワリを延々と語っていただいてますが、そのクラムボンが参加した「オヤイデ電気主催のライヴ」のレポートも掲載されています。ご承知の方も多いと思われますが、オーディオ・ケーブルに並々ならぬコダワリをもつ、東京・秋葉原の電気部品ショップ、オヤイデ電気。そこが「ケーブルにこだわった」ライヴを開催する、てのもこれまた豪快なお話ではありますが(笑)、そんなライヴに出演したクラムボンの、音へのコダワリがいろいろと掲載されています。
表紙はオーヴァードライヴの基本中の基本、IBANEZ TS-9です。表紙の写真撮影用に1つ編集部からお借りし、当方も久しぶりに(撮影を後回しにして。笑)弾き倒してみました。うーん、今までのTSの印象と違うなあ。こんなに使い易かったっけ? でもちょっとだけノイズ多めだけど。なんてことを編集長にも報告したところ、この表紙に写ってるTS-9はプチ・モディファイものなんだそうです。TSの世界も奥が深いですねえ。
そんなワケで、月末最終日の5月31日に発売となる「THE EFFECTOR BOOK」VOL.20、是非ご期待下さい。
さて、冒頭のタイトル表記にもありますが、今回はPIGDOGというイギリスのファズ・ペダル・ブランドが制作したTONE BENDER MK2クローン・ペダルをチラリとご紹介しようと思います。
PIGDOGはスティーヴ・ウィリアムスさんというビルダーが(ポール・ウェラーの故郷としてもお馴染み)ロンドンのサリーという所で運営されてる個人ブランドで、ご多分に漏れずご本人も60年代の古くさいファズを山のようにコレクションしている、というファズ・クレイジーのおひとりです。
彼もD.A.M.フォーラムの常連さんで、デヴィッド・メインとも仲良し、という方でして、当然のように今回のTONE BENDER MK2クローンも、そのルックスや回路構成はD.A.M.製品のソレと酷似してます。
実はTONE BENDERオタクにとっては、PIGDOG製品といえばフォールディング(鉄板折り曲げ式の)ケースに収められたMK1クローン「ELECTRIC EYE」のほうが有名だったりするのですが、今回は新製品としてMK2クローン、その名もドンズバのPROFESSIONAL MK2が発売されています。このペダルに関して、上記したTHE EFFECTOR BOOKの新製品コーナーでは僭越ながら当方が商品レビューを担当させていただいたので、詳しくはそちらをご覧頂きたいと思うのですが、簡単な製品のインプレッションを書いてしまえば、トランジスタは60年代の無印ブラックキャップのOC75が3ケ(一部店舗の商品紹介テキストでは、英国ムラード製、と書かれているところもありますが、英国製かどうかは判りません。無印なので、オランダのフィリップス製かもしれません)、回路はD.A.M.製品とおなじ構成、そして筐体も大きめで四角い、D.A.M.製品と同様のものを使用しています。
音の印象としては「アラ、こんなにロー削ってるの?」と一瞬だけ思いました。歪み、という意味でも、出音という意味でも、わりとブライトな印象があります。またそれに加えて、おそらくこれは「ギターのヴォリュームに反応させたい」と思ったから、と推測するのですが、まるでTONE BENDER MK1.5のように、ギターに敏感に反応します。当然ながらその反作用として、MK2回路でありながら、あまり歪みません。見た目や回路がそっくりではあっても、その点でD.A.M.が作ったMK2クローンとは真逆のベクトルを持ったTONE BENDER MK2、と言えると思います。
D.A.M.製品が入手困難となってしまった今では、こういうペダルが日本発売されるだけでもある意味快挙、ですよね。参考までに、サンプル動画はこちら、公式HPはこちら、そしてビルダーのインタビューがこちらにあります。
さて最後に余談を。冒頭で「クソ暑い」と書きましたが、ここ最近は当ブログの更新が減ってきてしまい、申し訳ありません。毎年のことなのでわかってはいるんですが、GW期間中は仕事に追われてなかなか外出もままならないとか、英JMIにオーダーしてる製品が全然とどかなくて文句ばっかり言ってたとか(笑)、MENATONEに「PIGもう少し作ってよお」なんていうラヴレターを何度も送ったりとか、ポール・ウェラーの影響で68年製SGをポチってしまったとか、いろいろありました。また、前回のポスティングでチラリと触れた「ミック・ロンソン追悼ライヴ」に出演された方々と濃厚な(笑)飲み会をやったとか(詳しくはオカヒロさんのブログに書かれています)そんな1ヶ月でした。
そして同時に、このブログ用に今、とある豪快なネタの仕込み活動中です。まだ決まってないので正確なことを発表できないのですが、もし上手くいけばいいな、このブログで紹介したいな、と思ってるネタです。そちらは決まり次第、ご報告させていただこうと思います。
5.01.2013
Manner of Mick Ronson (Part.5)
先日ポスティングしたMENATONE PIGの販売に関して、多数の方にご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ありませんでした。もちろん販売する人間としては「嬉しい悲鳴」の類いとはなりますが、まさかあんなにお問い合わせをいただくとは思ってなかったんですよ。これがMENATONEの人気なのか、ミック・ロンソンの人気なのかは、当方にはわかりませんが。
さて、実は先日あわててMENATONEのブライアン・メナにコンタクトを取りました。「あのさあ、実は欲しいって人がすげえ多くて困っちまったんだけど、ホント申し訳ないんだけどさあ、もうちょっとPIG作ってくれないかなあ。全部買うからさあ」。「ん、考えてみるよ」。
……そっけない返事だなあ(笑)。でも公式HPや、モリダイラさんのHPでもアナウンスされているように、MENATONEはいま定番ラインナップのリニュアル版&新作ペダルを用意し、まもなく再始動する、と告知されているわけで、そっちでテンヤワンヤなのも事実なんですよね。カスタムで(しかもこんな趣味性の高い)ペダルをハンドメイドで作ってもらうヒマがあるかどうか、といえば、そりゃあ厳しい状況であるのは間違いありません。
ただし、その後少しだけいい雰囲気の御返事も頂いています。もしかしたら、またいくつか作ってくれるかもしれません。でも、今後一切入荷しないかもしれません。確証のないご報告で申し訳ありませんが、現時点での状況報告としてはそんなカンジとなりますことを、ご承知置き下さい。
ところで、先日東京・代々木で「ミック・ロンソンの追悼ライヴ」というイベントがあり、当方もお邪魔してきました。50にして麗しさ全開のオカヒロさん(TYO/etc)主催によるこのライヴには、広瀬 "HEESEY" 洋一さん(TYO/元イエモン)、アキマツネオさん(Rama Amoeba/元マルコシアス・ヴァンプ)、本田恭章さん、他豪華なゲストを迎え催されたのですが、いろいろと勉強になったライヴでもありました。
オカヒロさんがこの日使用されたアンプは、秋間さんがカスタムメイドしたミック・ロンソンと同じ音がでるアンプとのことで(SIMMS WATTSの外装をしていましたが、中身は不明です)、その音も気になるところでしたが、そんなライヴを近々に体験した当方の脳内を反映して(笑)、今回はミック・ロンソンの動画をいくつか貼ってみたいと思います。
上から順に。まずはミック・ロンソンの初レコーディング・バンドとなったTHE RATSによる69年11月録音の「TELEPHONE BLUES」。これがRATSにとっての最後のセッションとなり、翌70年の春にロンソンはエルトン・ジョンのアルバム「TUMBLEWEED CONNECTION(エルトン・ジョン3)」に参加、以降RATSに戻る事はありませんでした。
それから、2008年に制作/公開された、ミック・ロンソンのトリビュート番組からの抜粋動画。もちろん演奏シーンは昔の(スパイダース期の)ものばかりですが、72年アメリカ・ツアーでのライヴ映像(これは、ほんの少しのコマ切れ映像しか残っていないものです)他、75年秋の、ボブ・ディランの「ローリング・サンダー・レビュー」出演時のロンソンの映像といった貴重なショットが沢山含まれています。
3つ目。これ、個人的に死ぬ程見まくったんですが(YOUTUBEにアップされたのは最近ですが、1年くらい前からDAILYMOTIONとかには上がってた動画です)。93年のボウイのアルバム『BLACK TIE / WHITE NOISE』にて、20年振りの共演を果たしたボウイ&ロンソンですが、その時の映像が残されていたんですね。ナイル・ロジャースの姿も見えますが、やはりここではESP製の白いギターを抱えたミック・ロンソンに目がいってしまいます。ちょっと正確なタイムラインを精査してないので確証がありませんが、ロンソンの生前最後かもしれない、という映像です。既にご承知のように、弾いてる曲は「I KNOW IT'S GONNA HAPPEN SOMEDAY」。
それから英BBCが1996年に制作したボウイのドキュメンタリー番組「HANG ON TO YOURSELF(日本でもNHK BSで字幕付きで放送されました)にて、当時を邂逅する生前のミック・ロンソンの映像。実は名曲「ZIGGY STARDUST」を演奏する際に、多くのギタリストの方がイントロのG〜Dの部分の「D」をローコードで抑えるのですが、当方個人はいつも5フレのポジションでこの曲を弾きます。理由は単純で、このドキュメンタリーでミック・ロンソンがそう抑えてるから、というそれだけなんですが(笑)。
ちなみに「ZIGGY STARDUST」っていう曲のギター・サウンドは謎だらけのサウンドでして、イントロだけでもエレキギター2本、アコギ1本が重ねてありますが、その抑えてるポジションもそうですが、ギターの音も不思議だらけです。おそらくアンプはMAJORを使ってるとは思うのですが。
今から数年前、当方が土屋昌巳氏にインタビューさせていただいた時に、「あのイントロ、あれは間違い無くコンデンサーも噛んでますね(トーンを絞ってる、の意味)。で、コンデンサは恐らくRCAですよ」「ミック・ロンソンの68カスタム、あれはねえ、恐らく300kΩのポットがついてますね」なんていう恐ろしい説を直接伺ったりしました。ちょうど当時、土屋氏はミック・ロンソンの研究/追求にハマってらした時期で、氏がそうおっしゃるのなら、そうなのかも、と強く思ってしまったりしてます。
さてさて、最後の動画は、現在ミック・ロンソンの68カスタムとMARSHALL MAJORを所有するアメリカのGUITAR HANGARという楽器屋さんがアップした動画。ロンソンの機材は、遺族(スージー・ロンソン/ミック・ロンソンの未亡人ですが、彼女はZIGGY STARDUST時代のボウイのヘアメーク担当の女性でもありました)によって同所にまとめて譲り渡されたのですが、それらがまとめて動画で紹介されています。ロンソンがソロ期に(TONE BENDER MK1のかわりに)MXRのDISTORTOIN+使ってたとか、PROCO RAT使ってたとか、MARSHALL BLUESBREAKERペダルを使ってたとか、DAN ARMSTRONGのORANGE SQUEEZERも使ってた、とか、いろんな発見があります。
ですがそれよりも、本物のロンソンの68カスタムと、本物のMAJORを、アンプ直で弾いてる音が聞ける、という貴重な映像です。ただし(今までも何度か触れましたが)ギターは新しいネック、新しいコントロールが付いていたり、アンプはいろんな端子等が追加されていたり、なので、当時そのママの状況とは同じではない、という点を念頭に置く必要がありそうですが。
昔、この68カスタムを実際にGUITAR HANGARに弾きにいった、という人に質問したことがあります。「ねえ、ギターの重さってどんなカンジだった?」。回答は「結構重かった」とのこと。
そんな「メッチャ些細なこと」ではありますが、ギター弾きにとっては重要なことってありますよね。人生を生きていくには一切必要のない情報ですが、それは当ブログもまったく同じでして(笑)。それを承知の上で当方の駄文をお許し/お楽しみいただければ幸いです。
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