6.06.2013

Mick Ronson Interview - Introduction

 
 ところで皆さんは、買い物ってお好きですか? こちらの高揚した気分も理解せず「あんたバカじゃないの。何よそんなモン買ってきて。一体何に使うの。同じモン何個も持ってるじゃない」とか、そんな恐ろしいセリフを平然と吐く人は(例えば奥様だったり親御さんだったり上司だったり世帯主だったりと)得てして「目上の人」と相場が決まっているものですが(笑)、以下、思うところがちょっとありまして、「お買い物」に関して2題ほど書きたいと思います。

 デヴィッド・ボウイとミック・ロンソン。2人はとても対照的なキャラクターを持っています。共に「ジギー・スターダスト」関連の作品群を形づくった重要なパートナー同士ではありますが、ボウイは天才肌で、頭がキレキレに切れて、繊細で、理論的。ミック・ロンソンは暴力的で、マッチョで、イケイケの体育会系で、感覚的。個人的にはそんな風に感じています。異論もあるかとは思いますが、この2人はステージ上でも、その対照的なキャラをそのまま演じていることは、多くの方がご承知かと思います。

 で、ミック・ロンソンの場合。基本的にモノに執着するタイプではなかったようなんですが、1976年のある時期、幾度となく「あーギター欲しい!」と繰り返す時期がありました。すっごく乱暴にその時の理由を書いてしまえば「ギターが弾きたくて弾きたくてたまらない」という欲求が爆発寸前、という時期だったようなんです。こういうのって、他人からは客観的に理解できない類い、ですよね。でも本人はその買い物を通じて、「自分の未来を買う」とでも言えばいいのでしょうか、費用対効果では語る事のできない、計り知れない高揚感の中にいることが推察されます。

 これまで当ブログでは彼の使用機材に関して、病的なまでに執拗に(笑)あーだこーだとウンチクを書いてきましたが、先ほど「ミック・ロンソン本人はそんなにこだわるタイプではない」と指摘したのと同様に、果たして本人はどんな機材をどう考えて使っていたか、は、ファンにとってどんな研究よりも何よりも重要な資料たりえる、とも思っています。

 若いころに酷く貧乏なバンドマン生活を送り、絶望のドン底にありながらも、小銭が手に入るとレスポール・カスタムを買ってしまって、結果借金を増やしてしまう。そんな若い頃の「買い物感覚」もそうですが、前述したように、ちょっと気分がロマンティック浮かれモードになってしまうと「ギター屋に行きたい!」とうわ言のように(笑)繰り返してしまう、そんなチャメっ気もたっぷりの人なんですよね。ロンソンは。

 当方はロンソンに直接会ったことはありません。残念ですが今後会う事もありません。ですが、76年当時ミック・ロンソンに直に会い、「ギター欲しい!」と散々繰り返し同じ台詞を聞かされた人がいます。
 彼はスティーヴ・ローゼンという音楽ライターさんで、当時アメリカの「ギター・プレイヤー」という雑誌の取材でロンソンにインタビューをした人です。この方はいわゆる業界の重鎮みたいな方で、40年近くにわたって多くの伝説的なミュージシャンに取材した方です。ビートルズのメンバーや、マイケル・ジャクソンにも取材した経験をお持ちです(彼の近刊は、ランディー・ローズの評伝本となります)。

 「ギター・プレイヤー」誌はその名の通り、ギタリスト向けの、やや機材に重きを置いた雑誌なので、いわゆる伝説的なロックンロール・ヒストリーでよく出てくる「セックス、ドラッグ、アルコール&パーリナイ!」みたいな(笑)ランチキ騒ぎのエピソードは一切出てくる事がありませんが、今日の視点から見れば、むしろこっちのほうが重要な資料足り得るもの、と言えるのではないでしょうか。

 ミック・ロンソンが自身の使用機材を語るインタビューとしては、既に何度も当ブログでも指摘しましたが、73年6月9日付の英「メロディー・メイカー」紙のものがとても有名です。が、その文献は、ほんの200ワードほどしかない小さなコラム程度の記事です。
 その他に同様に「ロンソンが自分の機材を語る」インタビューとしてとても有名なものに、1976年12月に発表された、前述のスティーヴ・ローゼン氏によるロング・インタビューがあります。ロンソン本人のいい加減な(笑)楽器へのコダワリもあって、それほどガチガチに機材論を繰り広げるモノではありませんが、他にはこういう文献はありません。

 さてさて、お前は一体長々と何を書いてるんだ?と思うかもしれませんが、ここでようやく「2つ目のお買い物」の話となります。
 そのスティーヴ・ローゼンさんが取材した、1976年のミック・ロンソンのインタビュー記事を、先日「購入」しました。もちろんローゼン氏本人からです。別にどっかに売りさばくつもりで買ったとかいうワケではなくて、単純に、このブログに掲載しようと思って購入しました(笑)。
 当方は無名ながらも日本でライター業もやったりしてるので、現在の日本の音楽誌事情に関しては察しがついてるんです。こんな古いインタビュー記事、しかもミック・ロンソンというタマでは、日本の商業ベースの音楽雑誌/音楽書籍には今後載る機会はほぼない(!)でしょう。そんなことに気付いても「ああ、モッタイナイ!」と思うのは、残念ながら日本ではほんとに僅かな数の人しかいません。そんな事情もよく判っております。

 ただし、ああモッタイナイ! そんな状況を絶対に我慢できない! というバカが日本にひとり居ました。それは当方本人のことなんですが(笑)。この1976年のミック・ロンソン・インタビューを、次週以降何度かにわけて当ブログで全文公開します。既に英語の原文としては過去にもいくつかのサイトで読むことのできた文献ですが、オフィシャルに(当然です。金払ってますからね、コッチは。笑)掲載されるのは、おそらく37年振り、ということになります。

 加えて今回の掲載にあたっては、37年前に「ギター・プレイヤー」にて誌面に掲載された分のみならず、スティーヴ・ローゼン氏本人が当時の録音テープを再度聞き直し、雑誌では掲載されなかった部分も含めて、丸ごと全部をQ&A方式で書き起こしてくれました。ですから無駄話とか、話題が繰り返す箇所とか、話がかみ合ってないとかそういう部分もありますが、全部を通して読んだほうが、よりミック・ロンソンという人のキャラを理解できるだろう、とも思っています。とても拙い日本語訳で恐縮ですが、それを当方が翻訳したもの、となります。

 とまあそういうワケで、下の写真はロンソンに取材した時のローゼン氏とロンソン、という写真です。ミック・ロンソン・インタビュー、現在鋭意翻訳格闘中ですが、次週以降をご期待下さい。



Young Person's Guide to
David Bowie / Mick Ronson
1970 - 1974


David Bowie / The Man Who Sold The World(1970)ロンソンがその殆どのアレンジをしたと言われるヘヴィーでダークなギター・アルバム。ベース&プロデュースはトニー・ヴィスコンティ。今は英オリジナルの「女装ジャケ」でCD化。



David Bowie / Hunky Dory (1971)ゴス&ドリーミー、フォーキーでスペイシー、というキャンプ感覚溢れる耽美なアルバム。ロンソンがゴリゴリのハードエッジ・ギターを唸らせる「QUEEN BITCH」収録。



David Bowie / The Rise and Fall of Ziggy Stardust and The Spiders From Mars (1972)ボウイの代表作。持ってない人は今すぐどこかでポチって下さいね。ロンソンのギター・プレイで最も有名なものは、間違いなく本作でのプレイとなります。ジギー・スターダストという架空のキャラが主人公のコンセプト・アルバム。



David Bowie / Aladdin Sane (1973)より凶暴性を帯びたロンソンの破天荒ギターが唸る大傑作。グラム・ロック史上最高傑作「JEAN GENIE」やストーンズ「夜をぶっとばせ」の高速カヴァーも収録。ジャケも最高。



David Bowie / Ziggy Stardust - The Motion Picture 73年7月のジギー・スターダストの引退コンサートを収録したライヴ盤。現在は(近年ヴィスコンティがリミックスしなおした)30周年記念版のほうが入手は容易かも。



David Bowie / Pin Ups (1973)ジギー引退後にフランスで録音された、60年代ブリティシュ・ビートの懐メロ・カヴァー集。本作を最後に、ミック・ロンソンはボウイと袂を分かつことになりますが、ノリノリで冴えまくるギター・プレイは必聴。



Mick Ronson / Slaughter On 10th Avenue(1974)ミック・ロンソンのソロ・デビュー作。バックはスパイダースの面々。タイトル曲はもちろんヴェンチャーズで有名なギター・インスト・バラードで、当時PVも制作されました。



Mick Ronson / Play Don't Worry(1975)モット・ザ・フープルへの加入&脱退を経て、その後発表されたソロ2作目。断片的に録音された素材で編集されたアルバムで、生前のソロ作品としては最後のアルバムとなった。



David Bowie / Black Tie White Noise(1993)おまけの1枚。ロンソンが生前最後に残した(と思われる)セッションは、旧友ボウイとの20年振りの共同作業でした。この録音の時は既にロンソンも自身の病と闘いながら、という時期でしたが、ロンソンはアルバムの発売直後に亡くなっています。アルバム中ではクリーム「I FEEL FREE」のカヴァーのみでクレジットされていますが、以前動画でも紹介した通り「I KNOW IT'S GONNA HAPPEN SOMEDAY」のセッションでもロンソンはギターを弾きました(そのテイクはボツになりましたが)。

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