9.09.2015

The Effector Book Vol.29 - Echo Machine Special

 
 はい、間もなく『THE EFFECTOR BOOK』の最新号が発売になりますので、恒例の告知となります。今回の大特集は エコー・マシン です。

 同誌では過去にアナログ・ディレイ(vol.3)、デジタル・ディレイ(vol.13)、ディレイの使い方(vol.21)、と3度のディレイ特集をやってきました。特に最初の回は、テープ・エコーに焦点をあてて、ROLAND RE-201を大特集したりもしてきました。なのにまたエコー大特集です。ええ、この世界は奥が深すぎますね(笑)。今回は歴史的名器、イタリア・ビンソン社のECHORECというエコーの名器をこれでもかという数を集めて、これでもかという程検証しちゃったりしてるんです。回転式マグネット・ドラムという極めて珍しい機構を持った伝説の機械ですが、これでしか出せないド渋なエコー・サウンドの原理を徹底解明、という特集になってます。
 もちろんBINSONだけで1冊の本を作る程出版社も無謀ではありません(笑)。テープ・エコー・マシンとしてはそれはもう圧倒的な認知をほこるワトキンスCOPICATやマエストロECHOPLEX EP-3といった大定番機材も紹介。そしてそして、現代に再現される、各種シミュレート機材もここぞとばかりにご紹介しています。

 まもなく発売になるデヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)の新作に関連して、たまたま当方個人もチラっとだけ最近ビンソンECHORECに関して調べたりしてたのですが、まさにうってつけ。ギルモアといえばECHORECは外せませんからね。ストラト、BIG MUFF、ECHOREC、ハイワット、WEMキャビ、どれも「ギルモアといえば」という話が出た際には欠かせない機材ばかりです。とはいえ、それらを全部揃えたところでギルモアみたいなプレイの出来る人は世の中に存在しませんが(笑)。

 それにしても大昔のエコー・マシンを並べた写真というのは壮観の一言に尽きますね。メカメカしいほどにメカしまくったこの見た目だけでも素晴らしい。今回のエコー大特集に多大なるご協力をいただいたOSRUMの魚頭氏は「このハンマートーン塗装が大好きなんですよぉ」と、もはやエコー云々とは関係ない部分までそのコダワリを主張しまくる、という、ええ、いつものヲタク心満載の大特集です(笑)。



 さてさて、当方個人として今回どうしてもお知らせしておきたいのは、ベテラン・インタビューのコーナーのことです。今回取材・執筆は当方が担当させていただきました。光栄この上ない、というお役目を担うことになったわけです。なんとあのジョニー・マー先生にインタビューさせてもらいました。

 ザ・スミスのギター・プレイには世界中から熱い注目が集まりますが、ギター・サウンドのほうにはそれほど注目が集まりません。なんででしょうね? いや、別にそこを深く突っ込むつもりはないんですが、なんといっても80年代を代表するギター・ヒーロー。あのモリッシーというイギリスが生み出した大怪獣を相手に真っ向渡り合えるギター・アレンジを生み出せる人物は、ジョニー・マーしかいませんでした(ドルッティ・コラムのヴィニ・ライリーとかマーク・ネヴィンとか、他にもトライした人は何人か居ましたが、結果は推して知るべしですよね)。当方個人も80年代には最もコピーしまくった(でもロクに出来なかった)憧れのギター・ヒーロー。もちろん感慨深いモノがあります。

 80年代の話はともかく(一応事前に本人から「昔話ばかり聞くな」っていう至極真当な要請が来てました)、ほんの僅かな取材時間にも関わらず、機材に関してだけ(!)あれこれと聞いてみました。それと、別に本人も「昔話はNG」というわけではなくて、自分から昔の話を切り出したりすることも多くて、結果、ザ・スミス〜ザ・ザ〜ソロに至るまで満遍なく機材変遷をご教示いただいたカンジになっています。

 実はジョニー・マーは機材ヲタクで、自宅に沢山のヴィンテージ・アンプ、ギターその他を大量に保管してるような人です。たまにジョニー・マーが使用した機材、として本人公認で売りに出されたりすることもあります。今ステージ上ではBOSSのマルチ(GT-100)を使い足下を極限まで簡略化させているジョニー・マーですが、「これだけは外せない。これにしか出せない音があって、それは絶対必要だから」といってダイアモンド・コンプレッサーをセットして使うあたりは、さすがヲタクです(笑)。

 ひとつだけ、本誌で割愛した話をここでバラします。「今一番欲しいギターって何?」と聞いたら「ギブソンのダブルネック(EDS-1275)」と言ってました。ただし1968年製じゃなきゃダメ、とのこと。どこかで古いダブルネックを弾いた経験があるんでしょうか、「あの時代は木材が最高だから」とも言ってました。ただし、本人はこの時EDS-1275の材を「アルダー」って言ってたんです。アレ、おかしいな、マホガニーでしょ? と思ったのですが、実は本人がこのとき「ALDER(アルダー)材」と発言したか「ELDER(古い)材」といったか、良く分かりませんでした。通訳の方からも「アルダー材って言ってました」と言われたんですが、これがジョニー・マーの誤解なのか、当方の耳がクソなのかは不明です(まあ、おそらく後者で間違いないでしょうけど)。

 ジョニー・マーには幾度ものキャリアの分岐点があったハズですが、そういうものも全部ひっくるめてソロ・アーティストとして背負い込む覚悟、みたいなものが今の彼にはありますよね。恵比寿リキッドルームで「STOP ME」のイントロを耳にした瞬間、当方はマジ泣きそうになりました。エヘヘ。

 そんなワケで今回もギッチギチにヲタク心満載のTHE EFFECTOR BOOK、お楽しみいただければ幸いです。
 

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