12.19.2015

The Effector Book Vol.30 - Pedal Board Special

 
 やばいやばい。なんだかもうすぐ2015年も終わってしまうんだそうです。ちゃんと告知するべきものはしないといけませんよね。12月の初旬に、新しい「THE EFFECTOR BOOK」が発売となっています。VOL.30ですよ!

 今回の大特集は「PEDAL BOARD」。ペダルボード……えーと、既に当コラムをご覧いただいている方なら当然ご承知のことと思いますが、一応説明しときますね。ギター用エフェクターのことを英語でペダルと呼びますが(エフェクターと言っても殆どのギター現場では通じません)、それらが並んだボード=ペダルボード。つまり、ギタリストの「足下」のエフェクト・システムを指した言葉であり、同時にそのシステムをまとめたエフェクター設置ボードを指す言葉でもあります。

 で、今回の特集は「有名なギタリストはどんな足下になっているか(いたか)」とか、どういう意図でこういう構成になってるのかとか、なんで今どきのギタリストの足下にはいつも〜〜があるのかとか、そういうノウハウを凝縮した特集です。よっていつものように「1ケのジャンルのエフェクターを総力特集」というものではなく、「組み合わせの展覧会」の様相を呈しています。

 表紙に載ってる物体は、この度あのBOSSが総力を上げて同ジャンルのフラッグシップとなるべき商品を、とリリースしたプログラマブル・スイッチャー「ES-8」です。最近のギタリストの足下には皆スイッチャーが用意されてますよね。もちろんその方がルーティーンの構成を多様化できるだけでなく、音質という意味でもメリットがあります。その辺の詳細は是非本書を実際にご覧頂ければと思います。
 ただ、本書にも書かれていないことですが(当然スね。笑)、スイッチャーの導入にはひとつの悩みが存在します。それはスイッチャー自体が高額であるという点でして。このBOSS ES-8も75000円くらいしてしまうという立派な機材です。んー。音が一切変わらない(というか変わってはいけない)エフェクターという、とてもヘンテコな機材でもあるスイッチャー、その世界は奥が深いです。

 その他、日本のギター仙人の異名を持つ、人間椅子の和嶋慎治氏の特集(氏は自作エフェクターのノウハウ本を上梓したばかりです)もあったり、ベース用エフェクターのニューブランド、ダークグラスの特集もあったりします。誰も想像してなかった「7年目」という未開の地を暴走するTHE EFFECTOR BOOK、興味ある方は是非お手に取ってみて下さい。



 さてさて、忘れることは一生ないでしょうが、己の記憶が鮮明なウチに書いておこうかなと思いまして。まあ完全に個人的な記録ですけど、以下に記しておきます。

 この文章を書いているのは2015年12月20日の早朝6時です。昨日12月19日、東京お台場・ZEPP DIVERCITYにてドレスコーズのジャパン・ツアー千秋楽公演がありました。同ツアーはドラムに中村達也、ベースに有島コレスケ、そしてギターに越川和磨(以上敬称略)というとんでもないメンバーで編成されたドレスコーズでして、既に話題となっていることはファンであればご承知かと思います。

 で、このツアーで越川氏が使用したギター・アンプはあのマーシャルPIGでした。ええ、1967年製のマーシャルMAJOR初期型、いわゆるホンモノの例のアレです(笑)。もうツアーは終わってしまいましたが、ツアー・ファイナルのライヴにはカメラが入っていたので、もしかしたら将来的に何らかの形でこの日の映像が出るかもしれません。今後どこかで機会があれば、是非その音を聞いてみて下さい。最高ですから。

 おそらく実際に現場で使用されている現在世界唯一のPIGです(もちろん、数多ある4インプットの後期型MAJORとは全然別物ですよ)。「レアだから」聴いて欲しいというワケではないんです。「最高だから」聴いて欲しいんですよね。まあ人それぞれ好みの違いはあるでしょうけど。

 札幌から電話してきて「あのアンプ貸して」と言われた時のことをよく覚えています。「実際に使うのなら、喜んで!」とナマイキな回答をして(笑)、その直後アキマツネオさんにフルメンテナンスを超特急でお願いしました。アキマさんにバッチリ完璧に仕上げていただいたそのPIGは、今回ドレスコーズのジャパン・ツアーにて無事大活躍してくれたと思います。爆音を日本中に轟かせた、と書くだけで、書いてるコチラもワクワクしますねえ(笑)。

 ギタリスト本人がどう感じたかは今度機会があれば改めて聞いてみようと思いますが、実際あの大爆音アンプを使いこなすのは大変だったんだろうなあ、とも推察します(そういう発言を何度かご本人もされてましたし。笑)。でも実際に客席から音を聞いてて「あっ今の音まるでミック・ロンソンだぁ」とハっとさせられる瞬間が何度もありました。そりゃあ、ね。

 でもね、機材とかホントはどうでもいいんです。ミック・ロンソンに似てるかどうかもドーデモイイんです。「鬼ドレスコーズ」と一部で異名を付けられた(笑)今回のツアーでしたが、ライヴ見て誰もがハッキリと感じたのは、中村達也がどんな人間か、有島コレスケがどんな人間か、越川和磨がどんな人間か、志磨遼平がどんな人間か、ということでした。鬼のようにキビシいロックンロールの数々を目の当たりにして、あそこの満員のお客さんは皆嬉し泣きしてたんです。ちょっとスゴイですよね。でもホントに、愛に溢れたすばらしい現場でした。その場にいただけで嬉しかったですし、純粋に楽しかったんです。

 ちょっと時間軸を戻しますが、そのPIGのメンテが完了した直後、アキマさんご本人も「自分用に」オリジナルのPIGを自作されました(その詳細はアキマさんのFACEBOOKにて)。ビンテージのORANGE OR120を惜しげも無くバラし(!)、中身をマーシャルPIGの回路に作り直したとのこと。さすが世界がほこるアンプマスターのアキマさんですから、当方のような凡人とは視点が違います。「このアンプは、RANGEMASTERとの相性がバツグンだ」とすぐに見抜かれたようです。自身が主催されたイベント「GLAM ROCK EASTER」にてそのORANGEの改造アンプをアキマさんもRANGEMASTERとの組み合わせで使用されていました(そう言えばその「GLAM ROCK EASTER」では前述の和嶋慎治氏もゲスト出演されていました。すげー楽しそうにスレイドのカヴァーやってて、これまた最高でした)。アキマさんご本人によるPIG回路の印象は「まさに男のアンプ。60sブリティッシュ・サウンドのど真ん中って感じかな、タイムトリップした感じ」とのこと。

 当方は200Wのアンプを持ってはいるものの、さすがに自分でそれをフル活用する場面はほぼありません(笑)。その役目は越川和麿氏にお任せするとして、アキマさんのその自作PIGを見てヨダレが出てしまった当方(笑)。無理を言ってウチのオレンジOR50(現行品です)もPIG回路に改造していただきました。改造というか、外装以外ほぼ全部作っていただいたに等しいですが。50Wで、しかもマスターボリューム搭載という究極の「実用」アンプです。と・は・い・え、50Wでも音メッチャでかいですけどね(笑)。もうホント笑うしかありません。

 とにかく、素晴らしいギターを聞かせてくれたドレスコーズと越川氏に最大の感謝を。それから、その素晴らしい音の生みの親、アキマ氏にも最大の感謝を。
 

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