7.01.2010

Abraxas Sound / MK2 Fuzz

 以前ABRAXAS SOUNDというイギリスの新しいブランドによるTONE BENDER MK1クローンを紹介しましたが、そのABRAXAS SOUNDが新しいTONE BENDERクローンを作りました。今度はMK2クローンです。音は後ほど触れますが、その前に見た目がもう完璧に当方好みだったので、あまり確認もせずパッと勢いで買ってしまいました(笑)。そのMK2クローンをご紹介します。
 前回のMK1クローンの時は、その筐体はハードアッシュ材で、フィニッシュもワックス仕上げだったのですが、今回のMK2クローンでは筐体にブラック・ウォルナット(つまりクルミの木、ですね)材を利用。ご覧のように焦げ茶色ですが、一切着色はされておりません。ただし、前回のようにワックスではなく、今回はクリアの塗装が施されていますね。木目フェチな方にはなかなかにグッとくる筐体ではないでしょうか。
 前回はMK1のシェイプにならって、スロープ状の傾斜がある直線的な形でしたが、今回は例の宇宙船のようなオリジナルMK2の筐体にならって、なだらかでカーブのかかったシェイプとなっています。
 で、当然のように回路はMK2回路ということで、トランジスタはゲルマニウム・トランジスタを3ケ使用しています。「MK2回路の分析」というテーマを後々まとめようと思っているので、電気的なことはそちらをお楽しみいただければと思いますが、こちらのABRAXAS SOUNDのMK2クローンではトランジスタにはAC125が3つ使われています。もうこの辺だとOC75を使おうが2SB324を使おうがAC125を使おうが、そして貴重なOC81Dを使おうがそれほど出音に大差があるわけではないと思います。それよりもトランジスタの個体が持っている特性と、出音に合わせた回路数値の設定のほうが音に直結するからです。

 実は前回にも書いたのですが、このABRAXAS SOUNDのマーク・ハリソン氏は(われわれのような病的な日本人マニアの目から見れば)結構作業が雑なところがありまして、まあそれがイングランドのスタンダードなんだよ、と言われてしまえばそれまでなのですが、写真でもわかるように折角の貴重なトロピカル・フィッシュのコンデンサをハンダで焦がしてしまっちゃってますね(笑)。まあ、音は大丈夫だったからいいんですけどね(笑)。

 内部にはトリムポットが2ケ使用されていて、恐らく今回もマーク・ハリソン氏は歪み値に難儀しただろうことが推測されます。この辺は使うギターやアンプとの相性が敏感に関係する部分なので、日本に到着以来当方もいろんな設定を試してみました。なので、初期状態で内部のトリムポットがどこを向いていたのかは、もう覚えていません、スイマセン。

 裏蓋の写真でモザイクをかけてある箇所は、御丁寧にマークが当方の名前を書いてしまったので、一応ネットではかくしておこうかな、なんて、そんな程度の理由しかありません。

 ところで余談になりますが、なかなか日本ではお目にかかることのないものに、POZIDRIVという名のネジ頭があります。一般に日本ではネジの頭はプラスとマイナス、という呼称と種類で呼びますが、ヨーロッパではSLOT(マイナス)、CROSS(プラス)、と呼ばれることは大方の人がご存知かと思います。実はそのプラスには細かく種類があって、単純にCROSSという時は文字通り変哲の無い十字の溝のもの(フェンダー・ストラトのネックエンドを思い出していただければ分かりやすいかと思います)、PHILLIPSといえば日本で最もプラスネジと言った時に思い出されるあの形のもの(図の左側)、そしてPOZIDRIV(ポジドライヴ)と呼ばれる、十字の上にさらに45度の角度でもう一重にクロスが掘ってあるもの(図の右側)、があります。
 何を言いたいかというと、このABRAXASのペダルは、ネジが全部POZIDRIVなんですね。勿論何の苦もなく通常のプラスドライバーで開け閉め可能なんですが、このネジ自体を見る機会が少ないので、ちょっと触れてみました。

 さて音です。上でも書きましたが、わりとマットウなMK2サウンドです。ただしちょっと歪みが低域により過ぎてるカンジもあるので、正直自分の環境ではレスポールなんかには向きませんでした(もちろんアンプのセッティングなんかを変えれば使える音にはなりますが)。それよりはもっと単純に、ストラトやテレキャスでグワワッとファズを噛ます方向で使いたい、という音ですね。当然ではありますがMK2回路なので、MK1ほど出力がデカいわけではありません。

 と、ここまで書いたところでABRAXAS SOUNDのマーク・ハリソンから新しいメールが着ました。「お前に一番先に見せるよ。興味あるだろ?」ということで写真数点が送られてきましたが、今度はBURNS BUZZAROUNDのクローンを作ってみた、とのこと。内部写真を見るとラグ板で組んだんですね。筐体は恐らく今回のMK2クローンと同じウォルナットだと思われます。恐らくマーク・ハリソンは俺に「買え」という意味でメールを送ってきたと思うんですが、んー、どうしようかな。別な木材で作ってくれたら速攻GETしたかもしれないんですが(笑)。


 

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