7.09.2010

Manlay Sound - Baby Face (Silicon Version)


 これまで何度か予定告知を書きましたが、やっと完成し、当方の手元に届きました。スペイン・バルセロナのMANLYA SOUND にてハンドメイドで制作された、FUZZ FACEのクローン・ファズ・ペダル BABY FACE です。まず今回はシリコン・バージョン(赤)をご紹介させていただきます。

 FUZZ FACEのサーキット自体は以前も書いたようにゲイリー・ハーストが1966年初頭にデザインしたTONE BENDER MK1.5とほぼ同じものを採用しており、1966年の年末にアービター社から初めてFUZZ FACEというファズが発売された際には勿論PNPのゲルマニウム・トランジスタが使用されていました(その最も初期のものがNKT275だったことは有名ですね)。

 しかし、そのFUZZ FACEを世界で最も有名にすることに貢献したギタリスト、ジミ・ヘンドリクスのFUZZ FACEがシリコンだったこともあって(註:実際にはゲルマもシリコンも両方、というか、ありとあらゆるFUZZ FACEを所有し使っていたようです。が、有名なウッドストックでのライヴやその前後はおそらくシリコンだった、という話が既に確定的な情報として広まっており、ジミヘンのギター・サウンドからイメージされるFUZZ FACEサウンドはシリコンのもの、というパブリック・イメージが定着していることも、事実と思われます)、シリコン・トランジスタを使用したFUZZ FACEはやはり「特別な」ファズの1つとなっています。
 そこで、ジミヘン・フリークであり、自身がスカイドッグなギタリストでもあるビルダーのROMAN GIL氏と何度も話しあい、まずシリコン版のFUZZ FACEクローンを完成させました。真っ赤な筐体を持つこちらのファズが「BABY FACE(シリコン・バージョン)」となります。名前は当方が付けました。このラベル・デザインは勿論オリジナルに敬意を表して作ったモノですが、出来上がったときに、(オリジナルの)丸い筐体よりもこのケースのほうがモロに「顔」ってカンジがしたので、じゃあベイビーフェイス(童顔、の意味)で、と決めました。スイマセン安直で(笑)。オリジナルの丸い筐体のデザインでは、実は泣いてるんですよね、あの顔。こちらのBABY FACEは純朴にニッコリさせてあるので、童顔、というワケです。
 さて中身です。実は試作品として、オリジナルのFUZZ FACEで採用されていたシリコン・トランジスタであるBC108、BC109、BC183L等をまず試してみました。が、結果を先に言えば、それほど美しい音ではありませんでした。動作が安定/確実なハズのシリコンなのに、なんでだろう?という疑問を持ったのも確かなのですが、DAMのデヴィッド・メイン氏が「今存在するBC108/BC109の85%はクソだ」という、なかなか思い切った発言をしている(笑)ことでもわかりますが、恐らく現存するBC108トランジスタは、その歪み値や数値的なスペックが、FUZZ FACE回路にはあまり向かないのだと思われます。残りの15%に巡り会うことを願うのもアリなのかもしれませんが、ハッキリいって文字通り砂漠の中からダイヤを拾うようなそうした根気があれば、他に使ったほうが生産的かなあ、とも思います(笑)。

 値段が安いんで、BC108は大量に購入しテストしたのですが、皆一様に同じ結果でした。BC183Lの場合はなかなかいい音だったので「これはこれでアリだな」と思ったのですが、ROMANと話し合い「もっといいのがあるハズだ。もう少し探そうぜ」ということになりました。しばらくして、コレがベストだろう、という結果になったのが、BC337でした。ゲイン、サステイン、ゲート感、いずれも「オオオッ」とうなるようなファズ・サウンドです。
 単純な回路であることも関与して、FUZZ FACEのペダルは作るのは簡単なのですが、いい音(これは人によっての感覚の問題なので、正解があるわけではないでしょうが)のポイントを得ることが難しいペダルです。TONE BENDER同様に、ギターやアンプとの相性もモロにでるファズだとも言い換える事ができると思います。TONE BENDERクローン同様に、トゥルーバイパス、PtoP配線、電池駆動のみ、という仕様です。

 百聞は一見に・・・、というわけで、ROMAN GIL氏本人のデモ演奏をご覧いただければと思います。アンプはグヤトーンのFLIP2000で、クリーン・チャンネルを使用しています(冒頭の数秒は、ファズをOFFにしています)。ギターはフェンダーのストラト、そしてファズの前にJENのCRY BABYワウをつないでいます。ワウは状況に応じてON/OFFしているので、その時の音の違い等もご確認いただけると思います。

 このBABY FACE(赤/シリコン・バージョン)も、他のMANLAY SOUNDのペダル同様、いくつかの楽器店を通じて、そして本サイトを通じても販売させていただきたいと思います。価格はこれまでのTONE BENDERクローンと同じ価格になります。今週末から出荷を開始しますが、実は手元にそれほど大量に在庫があるわけではありません。今までのTONE BENDERクローン同様、チマチマと家内制手工業でやらせていただいてるので、ご理解のほど、そしてご愛顧のほど、何とぞよろしくお願いします。
 さて、実は手元には既にこのBABY FACEのゲルマニウム・トランジスタ・バージョン(青)も届いております。そちらの紹介は次回のエントリーをご期待下さい。

 ところでスペインといえば、もうすぐWCの決勝戦ですね。実は最近当方とROMAN GILは毎日メールのやりとりをしてるのですが、その7割はサッカーの話題です(笑)。準決勝のときも「俺はドイツが勝つと思うんだけどなあ、正直」「なにいってんだ、ユーロ2008でスペインが優勝したのを忘れたのか」「んーでもドイツは進化してるぜ」「若いだけじゃん」なーんて話をしてたんですが。ご存知のとおり準決勝の結果はスペイン人のみならずタコにも予測できた結果となりました(笑)。すいませんでした。今は改心し、スペインの優勝を心から祈ってます(笑)。
 

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