9.18.2010

Tone Bender fuzz on Stage

 
 スイマセン、また更新が滞っております。ネタはいろいろあるんですけど、今本業のほうでドタバタしておりまして、軽めの(?)更新でお茶を濁そうかなー、なんて思いつきました(笑)。
 今回は、60年代から70年代にかけて、2大巨匠とも言えるジェフ・ベック兄さんとジミー・ペイジ先生が、実際にステージ上で使用したTONE BENDERの写真、てのを集めてみました。

 まず、以前も小さく載せたことがありますが、左の写真はジェフ・ベックがヤードバーズに加入したばかりの時期に、TV出演した際の写真です。テレキャスターなので、おそらく「HEART FULL OF SOUL」の演奏シーンじゃないかな、と推測されますが。やはり注目は下の方に見えるTONE BENDER MK1ですね。ゲイリー・ハーストによればジェフ・ベックが65年に買っていったのはプロトタイプ(木製の筐体)だとのことですが、この写真を見れば彼が持っていたのは金色の製品版だということがわかります。

 さて次もヤードバーズ時代のジェフ・ベックです。オッ、レスポール使ってますねえ。それでも足下にはやはりMK1。写真からも判るように、このショットはおそらく「READY STEADY GO」出演時かと思われます。アルバム『ROGER THE ENGINEER』のジャケが飾ってある事からも、66年の写真と思われます。

 その後、あまりに4文字お下劣ワードを連発するボーカリストに嫌気がさして、ベーシストが脱退、その埋め合わせとしてジミー・ペイジがヤードバーズに加入するわけですが、これも1966年のことです。ギターがベック(しかもレスポール)、ベースがペイジ、という豪華絢爛なこのステージの足下には、なんとTONE BENDER MK2が見えますね。

 ペイジは勿論ベースなので、このTONE BENDERはベックが使用していたものと推察されます。

 ところがその後、癇癪モチのベック兄い(失礼)がバンドを脱退。4人でもやれるべ、というペイジ先生の一言でバンドは存続するわけですが、その4人体制ヤードバーズの68年のTV出演時の写真を下に2枚ほど。ペイジ先生はドラゴン・ペイントのテレを持っており、既に「幻惑されて」がレパートリーになった頃です。
 麗しいサイケデリックなペイジ先生のジャケットにばかり(当方は)目がいってしまうのですが、足下にはVOXのプロトタイプ・ワウ(何度も書いていますが、中身はイギリスのSOLA SOUNDで作られたもので、イタリア製ではないです)と、それにつながるSOLA SOUND TONE BENDER MK2。白黒の方の写真を見ると、やはりワウが先で、ファズがその後、という接続順になっているのが確認できますね。




 さて、ヤードバーズを脱退したベック兄いは、その後ジェフ・ベック・グループを結成するわけですが、60年代末頃、とクレジットされたこの写真では、なんか豪勢なトラの入ったレスポールを使っていますね。そしてその足下にはなんとMARSHALL SUPA FUZZが。このレスポールが前掲したものと別ギターだというのは杢目からも明らかですが(註:このギターは正真正銘の59年製バーストで、雑誌等でも紹介されることの多い有名なギターですね)、このSUPA FUZZを使用していたことのほうが筆者的にはビックリだったりしました。

 そして1969年。ヤードバーズは既になく、ジミー・ペイジ大先生はレッド・ツェッペリンとして活動し、世界中に衝撃を与えまくった頃ですね。まずドラゴン・テレを持った左のモノクロ写真は69年3月25日の写真、だそうです。足下には(ヤードバーズ後期と同じく)VOXのプロト・ワウと、TONE BENDER MK2が見えます。このステージは、DVD化されたりもして有名な「SUPER SHOW」というTV出演時のもので、その映像では革ジャケを羽織った恐ろしくカッコいいペイジ先生の姿を拝見できます。

 続いて真っ赤なズボンが若々しい、レスポールを抱えたペイジ先生の写真。これは69年6月19日の写真です。テカテカに光ったブーツもイカしてますが、その足下にはなんとROTOSOUNDのFUZZ(中身はTONE BENDER MK3と同じで、ノブは3ケ)が見えます。

 そして、ZEPのとても有名なライヴの写真になりますが、71年8月7日、スイスのモントルーで行われたライヴの写真です。良くみると、足下のファズはSOLA SOUND TONE BENDER MK2に戻ってますね。ただし、ワウはJENのCRY BABYになっていることがお判りいただけると思います。

 興味深いことにヤードバーズ後期〜ZEP初期にかけてテレキャスをメインに使用していた頃のペイジは、ギター〜ワウ〜ファズ〜アンプ、という接続順だったのですが、レスポールをメインに使うようになった頃にはギター〜ファズ〜ワウ、という接続順に変更しているんですね。テレ時代のセッティングは、上にも挙げた69年SUPER SHOWでのライヴ動画で、ケーブルの色でハッキリと確認する事が出来ますし、71年のセッティングに関しては、この写真でMK2のアウトプットからCRY BABYのインプットにつながっていることが確認できます。

 このモントルーでのライヴ写真がもうひとつありまして、こちらは翌8月8日のものだそうです(だから服も違ってるんですね)。セッティングは前日と同様のようですね(註:上記部分に加筆訂正を加えました。これまで71年のセッティングはどちらが先か不確か、と書いていましたが、当方の単純な誤認でした。申し訳ありません)

 ただし、以前も書きましたが、この頃のペイジ先生が所有したTONE BENDER MK2にはロジャー・メイヤーがバッファをぶっ込み、さらにミッドブースターまでもブっ込む、という魔改造を施した、というウワサがあり(といいますか、かなり確証の高い説として既に有名ではありますが)、それが真だとするならば、製品そのままのスペックと同じものと考える事は無駄なのかも知れません。CRY BABYとMK2を繋いでも、ペイジ先生のサウンドを再現するのは容易ではないようです。

 そして、同様に謎だらけと言われている70年代のベックのセッティング。この写真が撮影された時期は正確に判っていないのですが、既にストラトを使用していることからも69年以降なのは間違いありません。そしてCOLORSOUNDのOVERDRIVERを使用していることからも、70年以降だと思われます(髪も結構延びてるし)。

 OVERDRIVERはSOLA SOUNDがTONE BENDER回路を改良したディストーション「POWER BOOST」(こちらはデヴィッド・ギルモアが使用したことで有名ですね)をさらに改良したもの、とされていて、ベックが『BLOW BY BLOW』で使用したことで有名な真っ黒いペダルです。OVER DRIVERは近年COLOR SOUNDが復刻していますが、そちらはFETを使用した回路になっているそうです。

 そんなわけで、軽く、とかいいながらいつもと同じくらいの長さになってしまいました。重ねてスイマセン(笑)。
 

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