11.14.2010

Smitty Pedals / Smitty Bender MK1 Replica


 最近、TONE BENDER MK1の研究に没頭してしまっております。というのも、近々MANLAY SOUNDにて限定で製作する予定の「65 BENDER」スペシャル・バージョンのサーキットのためなのですが、そんな日々の最中、比較対象用、てことでいくつか個人製作モノのTONE BENDER MK1を入手しました。これまでもMANLAY SOUND「65 BENDER」を筆頭に、JMIのリイシュー等いろんなMK1を掲載してきましたが、それらとの比較も含めて、最新のMK1ブティック・ペダルをご紹介したいと思います。

 今回掲載したのはアメリカの個人製作家マーク・スミス氏の製作によるMK1クローンです。彼はSMITTY PEDALSというブランド名で商品を発売(しかもかなり廉価で、おサイフに優しいです)しているので、その名前をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、このMK1クローンは2つしか作ってないとのこと(シリアルNo.2ですね)。

 で、なぜこれを入手したかというと、トランジスタには1965年のオリジナルTONE BENDER MK1と同じ、OC75/2G381という組み合わせでの3ケのゲルマ・トランジスタが使用されていたからです。JMIのリイシュー品(ミック・ロンソン仕様や、木製ケースのプロト・モデル含む)や、当方がカスタム・オーダーで作ってもらったABRAXAS SOUNDのMK1クローンくらいしか、このオリジナル通りの「OC75/2G381という組み合わせ」を体験することがなかったので、ドレドレ、SMITTYさんのはどんな具合かな?という興味がありました。

 中身を見てみると、スッキリとユニバーサル基盤にまとめられた回路が美しくみえますね(笑)。というか、オリジナルMK1のあの配線方法が、あまりにも非合理的だから、そう見えてしまうんですが。

 本人によるサンプル・ビデオがYOUTUBEにアップされているので(ただしこのデモ・ビデオはおそらく小さなスピーカーのアンプを通したために、あまり純粋なサウンド・サンプルとは思えません。アンプの特性が凄く強くて、ファズの特性が見えにくい、という意味です。そういった点も差し引いて考えてもらえればと思います)、そちらもあわせて確認の上、以下当方の個人的な感想を参照願いたく思います。まず歪み成分が思い切りトレブル寄りで、シャーシャーと歪む、といった印象があります。当方が経験したことのあるMK1系の中では、一番ドンシャリと言えるかもしれません。

 それから、サスティンのディケイ成分、要するに音が減衰する際のトーンが、ちょっと汚く減衰してしまう傾向があるようです。このMK1クローンは、減衰が始まると途端にブツブツとコマ切れになり(聴感上の)ノイズが目立って増える印象があります。
 もともとファズ・ペダルは歪ませてサスティンを電気的に無理矢理延ばす、とも言える回路ですから、減衰が始まってしまってからの音成分はあまり重視しない傾向があるのかもしれません。それに、ファズなんてのは「ノイズと友達になれるかどうか」で好き嫌いがハッキリ別れる類いのエフェクターだ、と個人的には思ってますので、こんなコマケエことは気にしないほうがいいかもしれませんが(笑)。

 D.A.M.のデヴィッド・メイン氏を筆頭に、多くのペダル・ビルダーがサジを投げ捨てる(笑)程の難易度を誇るMK1回路ですが、それでも個人的に当方はMK1を愛してやまないので、どうしてもコマケエ部分にも注目し比較してしまいます。スイマセン。

 ちなみに、いつも65 BENDERやJMI MK1の特徴を紹介する際に「ツマミは9時で爆音」と当方は書きますが、このSMITTY PEDALのMK1はさらに歪みが強くて、「ツマミは8時でもう爆音・爆歪」といったカンジです。ただでさえ歪み量を調整するのに気を使うMK1回路ですが、このペダルはさらに大変そうです(笑)。
 ただし、これも比較上での話でしかありませんが、SMITTY PEDALのMK1は凄く歪むけど、音量はそこまでデカくない、と感じます。逆に言えば、JMIやMANLAY SOUNDのMK1は、そんなに激しく歪むわけではないけど、音が馬鹿デカい、と(笑)。

 なんだかグチばかりを書いてしまった感もありますが、作りはしっかりしてますし、回路も正確で、eBay等を通じて既に結構な人気を得ているSMITTY PEDALではあります。今回当方は上記のMK1だけを買いましたが、SMITTY PEDALでは他のバリエーションのTONE BENDERクローンも製作しているので、以下、簡単にご紹介します。
 まずはゲルマ2石のMK1.5クローン SMITTY BENDER MK1.5。ご覧のように、ラベルには手書きでマーク・スミス氏本人が文字を書くんですが、これは正直好き嫌い別れそうですよね(笑)。トランジスタにはOC76とOC75、という組み合わせで、定番ですが内部にはトリマーを組み込みバイアス調整が可能となっています。

 それからMK2クローン SMITTY BENDER PRO MK2。こちらは幅広の大きな筐体を採用し、トランジスタには日本製2SB77を初段に、後段には無印(おそらくロシア製でしょうね)のゲルマ・トランジスタを採用しているそうです。こちらの回路にもトリム・ポットが採用されてますね。
 ちなみにMK1.5クローンとMK2クローンの2つは、トランジスタの固定方式がソケット式になっていて、交換が容易になっています。これを買って、色んなトランジスタをアレもコレも、と片っ端から試すっていう使い方も楽しいかもしれませんね。マニアックな楽しみですけど(笑)。

 最後に、SMITTY SUPPA BENDERと名付けられたシリコン・ファズ。これは(マーシャルSUPA FUZZクローンではなくて)、70年代のカラーサウンド製SUPER TONE BENDERのクローン・ファズのようです。BC546Bというシリコン・トランジスタを4ケ使用した回路で、よりBIG MUFFに近づいた時期のTONE BENDERサウンドの復刻、ということになると思います。
 

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