1.30.2011

Phoenix Custom Electronics - Lady Stardust

 
 冒頭からいきなり宣伝で恐縮です。この度、本を1冊作りました。音楽雑誌『GiGS』にて毎月連載されていたギター改造コラムをまとめた、『激変¥1.000 - DO IT YOURSELF! - 』というタイトルのムック本です。

 当ブログ「BUZZ THE FUZZ」でも、当方のフザケた文章が随所にあることはご承知かと思われます(笑)。今回のムック本では、そのフザケた部分のみがギュウギュウに入ってる、とでも言いたくなるような(笑)内容ではありますが、基本的にはいたってマジメな、低予算でギター改造をやらかそう、という本です。もしそういう(ギター改造)方面で興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、是非書店でお手にとっていただければ幸いです。

 ちなみに、「予算1000円で、レスポールの中にFUZZ FACE回路をブッ込んでしまおう」なんていう改造も紹介されたりしています。価格は税抜き¥1000円で、絶賛発売中です。



 さて本題に入りますが、実は上の本とちょっとだけ関連もあります。「激変¥1000」のタイトル・ロゴは、日本語のモノ(これも実のところは『ZIGGY STARDUST』のジャケのロゴをイメージして作ったんですが)、それから英文のロゴもありますが、その英文ロゴのほうは、今回紹介するファズ、LADY STARDUSTのロゴにインスパイアされて作ったものだからです。まあ、そんなロゴマークの話はともかく、そのグラム・ロック魂がギンギンに溢れるファズをご紹介したいと思います。
  PHOENIX CUSTOM ELECTRONICS(以下PHOENIXと略)は、アレックス・アネストというビルダーによるアメリカの個人エフェクト・ブランドです。アレックスはナオミさんという奥さんとのデュオで、ルーツ系ロックのデュオとしてアーティスト活動されているプロのミュージシャンですが、今から3年程前に、PHOENIX〜というブランドを立ち上げ、ファズをメインにカスタムメイドでエフェクターを製作しています(こちらのオフィシャルHPで製品ラインナップは確認していただければと思います)。昨年あたりから日本でも流通しているので、ご覧になった方もいるだろうと思われます。

 で、今回の「LADY STARDUST」ですが、そのドンズバな名前からも推察されるように、実は彼もデヴィッド・ボウイ/ミック・ロンソンのファンだそうです。ウフフ。このファズはとあるギタリストからのリクエストを受けて開発を始めたファズだそうですが、完成後、素敵なラベルをまとったこのファズは、PHOENIX製品中一番有名なペダルとなったようです。当然のように当方も入手しました(2ケも。笑)。2年くらい前のことです。

 まず回路ですが、イタリア製 VOX TONE BENDERの回路を元に(2ケのトランジスタにはブラックキャップのOC75と、シルバーキャップのAC152が使用されています)、各種モディファイを加えたものが採用されています。つまりそのサウンドは基本的にVOX TONE BENDER系列の、トレブリーでカリカリ系の音なんですが、筐体に沢山設けられたノブからも推察できるように、ノブが2ケしかないオリジナルと違って、多くのコントロールが可変可能となっています。いわゆる「VOX TONE BENDERクローン」ではなくて、そこからいろいろモディファイされたファズ、ということになりますね。

 オリジナル同様のレベル・コントロール+ファズ・コントロールに加え、インプット・インピーダンス(これによって、ワウに限らず前後に繋ぐ機材とのマッチングが調整できます)、トランジスタのバイアス・コントロール(コーネルのファズやアナログマンのSUNFACE他、多くのファズで採用されてるものと同じです)、それから歪みの音域を可変できるトーン(RANGE)・ノブもあり、こちらは右に振り切った際にはトレブリーなVOX TONE BENDERのサウンドが、左に降ると徐々に低域が加味されていき、ブっといファズ・サウンドになる、という効果をもったモノです。

 それほど出力はデカいわけではないので、アンプとのマッチングを考慮することが重要にはなりますが、それでも「トーン・コントロールが可能なVOX TONE BENDER」として、かなり多くのサウンド・バリエーションを生み出せるわけですね。歪みの質、という意味でも、オリジナルのVOX TONE BENDERと同じタイプだけではなく、インピーダンスの調整で歪み具合は変わりますし、またバイアスをコントロールするだけでも歪み具合は変わります。その辺がより分かりやすく体験できるファズ、と言えるかと思います。

 たとえばZ.VEXのFUZZ FACTORYのような飛び道具的なファズとは真逆の、オールドスクールな類いのファズではありますが、上記のように多くのコントロールをいじることで、好みのファズ・サウンドを追求できるという面は、やはりユーザーフレンドリーという意味で現代的と言えると思います。個人的にもこのファズが結構お気に入りだったので、早速アレックス本人にコンタクトを取り、カスタムオーダーでこのLADY STARDUSTを組み込んだドデカいペダルを作ってもらったりもしました。

 それがこちらに写真を掲載した、横長で銀色のエフェクターです。当方個人のオーダーで作ってもらったモノなので、他のギタリストにはまったく意味のないエフェクターかもしれません。ラベル・デザインも当方がテキトーに作ったモノで、そこにもあまり意味はありません(笑)。ちなみにこちらは3ケのエフェクターをブッ込んだカスタム・ペダルで、初段にワウ(HALOのインダクターとトロピカルフィッシュ・コンデンサを採用したクライド・マッコイ・ワウ回路)、その次にLADY STARDUST、その後にレンジマスター回路(トレブル域だけでなく、フルレンジ・ブーストも可能なようにしてあります)の順序で配列してあります。

 アレックスも「ミック・ロンソンの音はファズが先で、ワウはその後だと思う」と言ってたので、この順序には彼としては納得していないようでした(当方は個人的に「ワウが先」のサウンドの方が好きなんで・・)。とはいえ、それぞれのエフェクトはマルチでアウトプットを取れるようにしてあるので(ジャック穴が沢山あるのはそのためです)、順序を変えようと思えばミニケーブルですぐに変更できるのですが。

 また、ワウ回路ですが、当方は固定で使おうと思ったので足踏みペダルは不要なんですが、もし足でワウワウしたくなった時のために、ということで、筐体の横にジャックを設けて、別の足踏みペダルを接続することで足での可変も可能、という仕様にしてもらってあります。でも、この足踏みペダルを持ち歩くくらいなら、フツーのワウ・ペダルを1ケ持ち歩いたほうがいいですよね(笑)。
 このカスタム・ペダルの製作のために、アレックスとは何ヶ月にもわたって何十往復も(笑)メールのやりとりをしたので、おかげでいろいろと仲良くなりました。

 「日本でも有名になるといいね」なんて話もしてたので、その後PHOENIXのペダルが日本で流通されるようになって、当方も少し嬉しかったりもしたんです。しかしながら、なぜかここ半年ほどはPHOENIXのHPが閲覧できなくなってしまって、アレ、どうしちゃったんだろ、とか心配したりしてたのですが、現在は新しいアドレスで、新しいHPが既に出来上がったようなので、一安心しているところです。

(2/1追記)LADY STARDUSTの色に関してですが、上掲した写真では、青いスパークリング・カラーに見えると思います。ですが実際にはこのペダルは紫色のスパークリング・カラーで、実物の色は、一番上の筐体写真の色、もしくは、4番目に掲載してある「裏蓋の色」に最も近いです。蛍光灯の下で撮影すると、ウチの環境ではどうしても青くなってしまい誤解を招く恐れがあると思われます。その点は予めご了承願いたく思います。
 

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