1.22.2011
JMI Tone Bender - Players Series
最近、別件の相談があってイギリスのJMI/MUSIC GROUNDのジャスティン・ハリソン氏と何度かメールのやりとりをしていたところだったのですが、そんな最中、全然知らぬ間に(?)現JMIは新しくて安いTONE BENDERファズ・ペダルをパカパカと発売していることに気がつきました。早速本ブログでも取り上げようと思い、ジャスティンに「ちょっと何よコレ」と伝え、多少の説明を貰ったので(とはいえ、カタログに載っているような簡単な説明でしたけど)以下、紹介してみようと思います。
2011年JMIはTONE BENDERの廉価版シリーズ「PLAYERS SERIES」をスタートさせました。本サイトでも「JMIのは、高いよね〜」といつもグチってしまうほど(笑)、真面目に作られたJMIの復刻製品はどうしても高額な値段だったワケですが、今回思い切ったコストダウンを計って、新しい廉価シリーズがスタートしたようです。勿論これまで発売してきた「高級」ラインナップもそのまま継続販売するとのこと(数量は限定ではありますが、まだ在庫もあるようです)なので、とりあえず試したい派は「PLAYERS SERIES」を、コダワリのギタリストは高額なリイシュー品を、という住み分け、というカンジでしょうかね。
PLAYERS SERIESのラインナップを見ていく前に、共通の変更点としては、写真でもおわかりのように筐体を四角い汎用筐体(おそらくハモンドの1590、もしくはその代替品)に変更したことがあげられます。「バカでかくて重い」というTONE BENDER共通の悩みから解放されたい、というユーザーのためなんでしょうね。
また、これも大きな変更点として、アダプターの使用が可能になっているようです。ただし、「センタープラスかセンターマイナスか」が現時点で確認できていません。写真ではなかなか確認しづらい場所ですが、アダプターのジャックは前面(上、IN/OUTジャックが出ているところ)の中央にあるようです。
ではラインナップを、といきたいのですが、簡単に言ってしまえばTONE BENER MK1、MK2、MK3、それからレンジマスター・クローン、その合計4種類が出ています。各機種に関して、それまでのJMI製品との差異を並べることは不必要かと思われますが、簡単に要点をまとめてしまえば、「PLAYERS SERIES」はトランジスタが違う、という点が挙げられると思います。
それまでオリジナルに忠実に復刻活動を続けてきたJMIですが、このPLAYERS SERIESではオリジナル通りのトランジスタ選択(これまで何度も書いてきたように、ここが一番「復刻」に関してはメンド臭い、高いハードルなわけですが)から離れて、別なトランジスタを使用することでコストダウンを計った模様です。
いずれもゲルマニウム・トランジスタを使用していることはアナウンスされており、またハンドワイアード/ハンドメイドであることもうたわれていますので、製作過程という意味ではこれまでのJMI製品同様にシコシコと真面目に製作されたものだとは思います。
さてさて、一番気になるのは「廉価」というくらいですからお値段ですよね。まだ日本には入ってきていないと思うので、日本での価格はまったく不明ですが、現地イギリスでの販売価格は180〜190ポンド(註:レンジマスター・クローンのPLAYERS SERIESのみ、価格は140ポンド)です。それまでの「高級」シリーズの値段を考えると、たしかに「手に取りやすい」値段だ、と言えると思います。
とまあ簡単にJMIの新しい廉価版シリーズに触れてきましたが、実は以前からこの話があったことは当方も知っていました。というのも、廉価版が出るよ、というニュース自体は世界中の店舗に(プロトタイプの写真と共に)告知されてきていたからです。
昨年(2010年)夏には写真も出回っていたのですが、結局は2011年年明けに、今回上でご紹介した形で発売された、というワケですね。ちなみに、こちらに2つほど載せた写真が、去年の段階での「試作品PLAYERES SERIES」の写真です。「高級版」のチビ・サイズ、と言えそうな形ですね。またこの段階ではランプ(インジケーター)が付いていたことも確認できますが、結局はこの形/この仕様は何らかの理由でボツになった模様です。
(1/25加筆:上記ではプロトタイプ、と書きましたが、ほんの数個だけ売られたことがあったようです。このインジケーター付きのチビTONE BENDERはMK1、MK2ともにシリコン・トランジスタを使って回路を組んだもので、現在では既に製造・販売ともに終了した、とのことです。価格も安かったのですが、やはりTONE BENDERマニアには「ゲルマ」という言葉の響きは特別なものを持つ、ということのようですね・・・)
JMIネタついでに、余談をもうひとつ。現在ほぼ在庫は売れたけど、少しだけまだ残ってる、とのことでしたが、JMIは数量限定でTONE BENDER PROFESSIONAL MK2のスペシャル・バージョンを発売しています。これは「トランジスタに英国ムラード製OC75を3ケ使用した」というモノで、そのトランジスタの歪み値も「70〜100の間のものだけ」を使用したとのことです。簡単に申せば、その歪み値の英国産OC75がもうほとんどこの世にはないので、世界中のペダル・ビルダーは四苦八苦するわけですけど、JMIはその「待望の」トランジスタをなんとかしてかき集めたぜ、というワケですね。カラーは金と銀の2色が用意されたようです。ご覧のように価格は299ポンドですが、「あと2ケしかないよ」とのことでした。興味ある方は急がれた方がいいかと思います。
余談ついでに、冒頭でジャスティンと「別件の相談」をしてた、というのは、実はJMIではワウ・ペダル「DEL CASHER MODEL」(いわゆる「VOXのプロトタイプ・ワウ」の復刻品)とリバーブ&トップブースト・ボックス(アンプ・ヘッドの形の箱に、リバーブと、AC30でお馴染みのトップブースト回路をブッ込んだもの)というゴツい箱もリリースしていて、それに興味があったので値段を確認してみた、ということなんですが。そちらはどれも、やっぱりメチャ高かったです。諦めようかな、と思ってます(´・ω・`)
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