8.12.2011

Manlay Sound - 65 Bender (Special Limited Zelkova Edition)


 お暑うございます。すっかり更新が滞ってしまって申し訳ありません。ですが前回のポスティングでもチラっと触れたように、この夏ついにスペイン・バルセロナのMANLAY SOUNDと当方の共同プロジェクトによる、究極のMK1プロジェクトを完成させました。もう既に当方の手元に荷物がドカっと到着しております。この最新のTONE BENDER MK1クローンに関して、ご紹介したいと思います。

 先に皆様に謝らなければならないことがいくつかあります。ひとつは先ほど「究極」と書きましたが、究極かどうかは本来使用者にその判断が委ねられるべきで、作った側/売る側はホントは控えめに書くべきですよね(笑)。ただ、個人的な思い入れと勢いだけで「究極」と書いちゃいました。スイマセン。
 それと、ご期待いただいているカスタマー数名の方には、ホントに長らくお待たせしてしまったこと、これは恐縮至極です。ご理解とご期待いただけたことに、何よりも感謝です。

 さて、早速ブツを見ていきたいと思いますが、とりあえずこのページでは、写真は全部黄土色の木製ペダルが並んでいますが、タイトルでも表記したとおりこちらはZELKOVA、つまり日本のケヤキの木を筐体の材料に使用したものです。

 本プロジェクトでは、同時にWALNUT、つまりクルミの木材を使用した、焦げ茶色の筐体もあります。そちらに関しては次回のポスティングで同様に写真をドバドバっと掲載しますので、もうちょっとだけお待ち下さいね。

 スペイン・バルセロナ在住のプロのギタリスト、ROMAN GILと東京在住の当方が「じゃあTONE BENDERクローン作っちまおうぜ」という話を始めたのは2009年のことです。以来MANLAY SOUNDから発売されたTONE BENDERクローン・ペダルは世界中でご好評いただいており、とても嬉しい限りです。ですが、特に当方個人がTONE BENDER「MK1」にやたらと思い入れがあるものですから、極めてパーソナルなお願い/オーダーとして、MK1クローンの究極版を作ってほしい、という無茶難題を言い続けてきました。

 当方の希望は何か。細かいことを挙げればキリがないですが、おおまかには以下のようになります。

1. 1965年のオリジナルTONE BENDER MK1と同じトランジスタ構成、ブラックキャップのOC75と、2ケの2G381を使用すること。
2. 汎用品のケースではなく、目新しくてスペシャルなケースを使用すること。
3. 音はMANLAY SOUNDの65 BENDERで完成させた路線を踏襲すること。
4. ただし音のチューニングに関しては、ひとつ当方のアイデアを試してほしい、ということ。最後の4.に関してはこれだけでも長くなりそうなので(笑)別項で触れます。

 まずトランジスタは集めるのに難儀しました。これまで本ブログでも何度も書いているように、米テキサス・インストゥルメンツ製の2G381というトランジスタは、もうOC75とかOC81Dだとか、そんなのと比べ物に成らない程入手困難なワケです。たまたまとある海外の電子パーツ屋にストックされたのを当方が見つけたのですが、これが使い物になるかどうかは全く未知数、でも価格もベラボウに(本当にベラボウに)高いのです。さあ、買うか、どうすべ?としばし悩みましたが、思い切って数十個、購入を決意しました。

 そのトランジスタが日本に到着後、早速歪み値を測定したところ、んー、やっぱり、というか、1/3以上は使い物にならないブツでした。残りも数値的にはなんとか使用範囲ではありましたが、なんつっても古いパーツですし、足が腐食してたりします。とても残った数全部が使えそうにはありませんでした。しかし、入手困難な2G381が、実際に手元にある。ここからこのプロジェクトはスタートしました。

 既に「65 BENDER」を完成させているスペインのMANLAY SOUNDでは、作ること自体は作業として可能、とのこと。ですが、ケースはどうする? 音は? という点で、上記2.と3.のリクエストを出しました。MANLAY SOUNDはケース屋ではないので(笑)、これも結局、当方が知り合いのアコースティック・ギター・ビルダーさんにお願いして、無理言って制作してもらったわけです。

 アコギ屋さんですから、木材にはメッチャ詳しい方で、いろいろと案を提示してもらいましたが、最優先は強度でした。例えば65年にゲイリー・ハーストが制作したMK1のプロトタイプ、そしてそれをマンマ復刻したJMIのウッドケースMK1は、本ペダル同様に木製の筐体ですが、アレはとても強度が確保されている、などとは思えません。正直アレを足で踏む人が実際にいるのか、と考えた場合に、もしいたとしたらよほどの蛮行好き、と思える程です。

 十分に強度を確保して、こういうゴツい筐体にした、とはいえ、今回のモノも木製であることに変わりはなく、フィニシュもクリアのラッカーを噴いているだけですので、使用に際して注意がもちろん必要です。ただ、鉄製のオリジナルにくらべたら格段に軽いことは、持ち運びを考えたとき、ちょっとだけ嬉しいですけど(笑)。

 下の画像でもお分かりいただけるように、木製でナチュラル塗装ですから、当然一個一個の木目の表情は異なります。特にケヤキの木を用いたものは顕著にそれが現れます。どうしてケヤキだったのか。種目としては東アジアに広く分布する一般的な木材ですが、日本を代表する木材だから。それだけです。

 んー、スイマセン、トランジスタと木の筐体のことを書いただけで、こんなに長くなってしまいました。以下、近々に次回のポスティングにて続けたいと思いますが、最後に予め告知させてください。このMANLAY SOUND製の「65 BENDER スペシャル版」は、(ケヤキ版とクルミ版、併せて)限定15ケ、基本的にこのウェブサイトを通じてのみの販売となります。既にご予約を頂いているお店、お客さまに数ケ出荷することは決定しているので、実際の販売個数は10ケ以下になります。当然ですが当方個人も欲しいですし(笑)。もし興味をお持ちの方がいれば、直接こちらまで在庫/価格のお問い合わせをいただければと思います。何とぞよろしくお願いします。(この項つづく)
 

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