11.13.2011
D.A.M. - Tone Bender TB-00 / TB-02 (2011)
イギリスのD.A.M.から新製品が先月(2011年10月)発表されたようです。とはいえ、欲しいなー、と思っても殆どの場合入手できないってことが常のD.A.M.製品ですし(笑)、今回も「運が良ければ買えるかも」というカンジでよだれを垂らしながら完成を待ってみようとは思います。
今回発表されたのは、お! MK1の筐体じゃあないですか。しかもブルー。マリンブルーっすね。なんか最近デヴィッド・メインは「青」にコダワってるカンジがしますよね。ただし、見た目はMK1ですが中身はMK1ではないです。まず、青い筐体のペダルは30ケ限定生産となるTONE BENDER TB-00というモデルです。中身が違う、と先ほど書きましたが、こちらの回路はMK1.5、つまりゲルマニウム・トランジスタを2ケ使ったボルテージ・フィードバック回路=FUZZ FACEそっくりな回路、というヤツをブッ込んだペダルということになりますね。既にオリジナルに忠実に、とかそういうクローン製造からは離れて、好きな音を好きな筐体で作ってみる、という観点で制作されたもののようです。
本人の説明によれば、D.A.M.が以前発売していたMK1.5クローン・ペダル「1966」の続編、という位置づけでの商品となるものですが、回路構成は今年新たにリファインした、ということです。1966の回路をさらにチューニングを施し(おそらく抵抗の定数変更、と思われます)、サウンドはややソフトで優しく(SOFTER OR GENTLER TYPE、と書いています)、それでもアタックを最大にすれば強力なサステインが得られる、というモノになっているようです。歪みは(一般的なMK1.5回路/VOX TONE BENDERのものにくらべると)より中域に集中させているようで、素のギター信号をよりストレッチ(そのまま引き延ばす、という意味でしょうかね)とのこと。
内部写真を見ると使用されたトランジスタはAC128ですね。ひとつ気がついたのは、通常MK1.5回路は基板上に(トランジスタを含めると)9ケのパーツが搭載されているというのが最も基本的な回路構成なのですが、実はこのTB-00の回路は基板の裏側(見えない部分)に1ケキャパシタが配置されています。この辺が、あらたにデヴィッド・メインがチャレンジした新しい回路、という意味なのかもしれませんね。
続いてはアーミー・グリーンに塗装されたMK1筐体のペダルです。20ケ限定生産というフレコミのこちらはTONE BENDER TB-02と名付けられています。上述した青いペダルとは異なり、幅広のサーキットボードのMK2回路が採用されています。これまでも書いてきたように、一般的にMK2回路とは「MK1.5の初段に増幅ステージを追加したもの」と考えられるもので、より強力なサステインと増幅をもたらす回路です。
ただちょっと面白いことに、デヴィッド・メイン本人は「これまで日本向けにMK2回路のファズをいくつか作ってみたけど、今までの結果には、100%満足していない」と漏らしています。
このデヴィッド・メインの言うところの「不満」とは、どうやら完成品としての「筐体」による部分のことらしく(日本向けに制作されたMK2とは、もちろん四角い筐体に入ったPROFESSIONAL MK2のことで、SOLA SOUNDから現在復刻されているMK2とは異なります)、その外観のクオリティにちょっと不満があった、ということなんでしょうね。
こちらの回路はこれまでD.A.M.が執心して完成させたMK2回路とほぼ同じ、とのことですが、上記TB-00同様トランジスタにはシルバー・キャップのAC128が採用されています。で、こちらのモデルに限らずD.A.M.製のMK2回路の特徴は、といえば、オープンでワイド&ワイルドなOC75のサウンドではなく、濃密で飽和感バリバリのOC81DタイプのMK2サウンドを狙った、ともコメントしています。今回のTB-02も、その路線を踏襲しているとのこと。
「今後はこのMK1タイプのフォールディング(折り曲げ式)タイプの筐体を使うかどうか、わからない」とも本人が言ってます。チキショー、そういわれてしまうと余計欲しくなってしまうじゃないか。D.A.M.は商売上手だな(笑)。当方もすでに予約を入れてみてはいるのですが、既に以前のモデルも含めて、もし購入できれば幸運、という程度で待ってみるほうが良さげですね。上でも書きましたが、今回の上記2タイプのファズに関しては、青いほうが30ケ、緑のほうが20ケの生産とのことで、恐らく今回も入手は絶望的です。
ところで今回採用されたトランジスタAC128に関してですが、これはMADE IN ENGLAND、そう、いつものごとくイギリス製の部品で、MAGNATECというブランドのAC128です。MAGNATECのゲルマ・トランジスタは今でも入手は結構可能な部類に入ります。日本でもたまに売ってるところがありますよね。デヴィッド・メインいわく「とても質がよいことを確認できた。ただし、100ケ買えば40〜50は捨てる事になるが」と加えています。ええ、つまりはそういう事なんですよね。ゲルマニウム・トランジスタ自体が入手困難なわけではなくて、ファズ回路に最適なゲルマ・トランジスタの入手が困難だ、ということなんですよね。
今回D.A.M.では上記2モデルに加え、近年力を入れてる「小さな筐体のモデル」でも新製品を発表しました。こちらはFUZZ SOUND FZ-75と命名されたモデルで、以前D.A.M.から発売された「FUZZ SOUND」(TONE BENDER MK3のクローン/一部回路をモディファイしたもの)のコンパクト版、という位置づけのようです。こちらでも、トランジスタにはMAGNATEC社のAC128が採用されています。
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