最近ずーっと「ファズの歴史」に関して書いてきましたが、もちろん今後も折を見てファズの歴史を書きたいとも思いますし、また近日中にはさらに別のデカいネタを投下予定(笑)でもありますので、そちらもお楽しみにしていただければと思います。が、今回は一度元の路線、といいますか、TONE BENDERネタに戻ろうと思います。
で、今回ご紹介するのは1966年にイギリスで製造されたRANGEMASTER FUZZBUGというエフェクターです。これ、実は昨年その存在が発見されて、ネットで画像が出回り「お!スゲエ、これ大発見なんじゃね?」とちょっとした騒ぎになったファズなんです。WIKIPEDIAのTONE BENDERのページにも「新しい発見」として記載されています。つまり、歴史的背景とか、会社とかブランドとか、そういう背景に関しては今も一切わかってないんですが、以下、このファズに関して判っていることを書きます。


まず一番上に掲載したブツはD.A.M.のデヴィッド・メインが公開したRANGEMASTER FUZZBUGの画像でして、TONE BENDERとくらべるとズングリとした青い筐体、そしてその中身(回路)はTONE BENDER MK1.5回路になっています。トランジスタは英国ムラード製のOC75が2ケ、というわけで、その点もオリジナルのTONE BENDER MK1.5と全く同じですね。今までも何度か書いていますが、この丸いデッカい電池は当時のイギリスで主流だったPP4という形式の電池ですね。フットスイッチはARROW製の6ピンです。



ご覧頂けるように、こちらはTONE BENDER MK2の回路になっています。トランジスタはブラックキャップのOC75が3ケ、そして回路基板も横長のモノが採用されていますね。
それから3番目のブツ。これは実は今年の夏に突然発見されたブツで、おそらく近日中にとんでもない値段(えーと、おおよそですがギブソンのLPヒスコレR9が買えるくらいの値段です)で売りに出される予定のブツです。まずなにより銀色のフィニッシュという点も驚きですが、こちらの個体はさらに謎が多く含まれた個体でして、インプット/アウトプット・ジャックの位置が奇妙なほど偏って配置されていることが、内部写真からも確認できます。


また、一番上の個体の写真では確認できなかったんですが、MK2回路を持ったブツの写真の方からは、ファズの裏蓋がハンマートーン塗装されたモノで、ゴム足は白いゴムが採用されてた、なんて細かいことまで確認できたりします。
60年代のソーラーサウンドが、他社のOEM製品を製造していたことはTONE BENDERに関してちょっとでも調べたことのある方ならどなたでもご承知かと思われます。例えばこれまでも掲載してきたVOX TONE BENDER PROFESSIONAL MK2とか、MARSHALL SUPA FUZZなんかがその代表格なわけですが、今回のRANGEMSTER FUZZBUGに関しては、果たしてなんという会社のためのOEM製品なのか、そのあたりは全く判っていません。

デヴィッド・メインがいつこのRANGEMASTER FUZZBUGを入手したのかは知らないのですが、このファズの発見に触発されて、近年D.A.M.ではGREASE BOXという名のTONE BENDERレプリカを製造しました。最初にGREASE BOXが限定で発売されたときは完全に「メタル向けディストーション・ペダル」というフレコミで、そして回路はMK2をモディファイした新しい回路で製造されていましたが、つい最近D.A.M.はGREASE BOXの製造を再開しています。一説では一部回路にダイオードを用いたりしているようですね。D.A.M.のGREASE BOXは極初期のドサイケな(簡単に言えばスティーヴ・ヴァイが持ってた7弦RGのスワール・ペイントのような)柄のものから、黄、青、紫、緑、といったいろんなカラーリングが施されたモノが製造されています。
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