
まだPROFESSIONAL MK2のお話が続きます。66年以降、前述したVOX/JMIの例のように、ソーラー・サウンド社はゲイリー・ハーストが開発したTONE BENDERを、他社のために製造し、OEM提供するようになります。その中でもこれまでのTONE BENDERの中でもかなり大きな成功を収めたものに、マーシャルSUPA FUZZがあります。
マーシャルの為にソーラー・サウンドがOEMを始めたのは1967年とのことなので、VOXなどのOEMよりは1年ほど後の話になります。ちなみにこの時ソーラー・サウンド社はファズだけではなくSUPA WAHという名前のワウもマーシャルにOEM提供しています。その新しいワウ&ファズは、共にシルバーグレイのハンマートーン塗装で、マッチングを考えたのか、その筐体も(それまでのTONE BENDERが持っていた宇宙船のような筐体ではなく)、新たに角張った筐体を用意しています。ワウに関してはここで詳しくは触れませんが、その中身はソーラー・サウンド(後にカラーサウンド・ブランドになっても同じ)のワウと、コンデンサもインダクタもトランジスタも基盤も全く同じものでした。

そして、当然ながらマーシャルに提供されたファズSUPA FUZZも、その中身はソーラーサウンド製PROFESSIONAL MK2と同じものです。そういうわけで、TONE BENDERというファズはMK1からMK1.5の時代(1965年夏から1966年春まで)はソーラーサウンドという1つのブランドのみでの商品展開でしたが、66年中頃のこのPROFESSIONAL MK2というモデル以降は、多くの企業/ブランドによってそれぞれ展開していくことになります。

SUPA FUZZの筐体は、ややスリムで段差のついた筐体ですが、時期によって細かく筐体のデザイン等は変更されています。下にその写真を掲載しましたが(おそらくこれで全部だろうとは思うのですが)ビミョーに小さな、でも結構多くの違いをそれぞれに発見することができますね。青いSUPA FUZZなんてのがあったとは、この写真を見るまでは当方もまったく知りませんでした。


以上、まとめると「ソーラー・サウンドの自社ブランド」「初期VOXブランド」「マーシャル・ブランド」から発売された3種が一般に“MK2”と呼ばれるTONE BENDER、ということが出来ると思います。このうち、初期の英国製VOXモノは実際には殆ど製造/流通されておらず、現時点でも発見・入手ともに極めて困難な状況ではあります。

さらに余談を加えると、JMIの復刻より更にさかのぼること10数年、イギリスのソーラー・サウンド社も各種TONE BENDERを日本製造で復刻したことがありますが(90年代中頃の話です。SOUND CITY JAPANのロゴシールが張ってあるものをご記憶の方も多いと思われます)、彼らもPROFESSIONAL MK2を復刻した際にはオリジナルとは違う回路を使用して復刻した(AC125、もしくはAC128をそれぞれ2ケ、という回路)ために、当時のファズ・マニアは少なからず混乱したようです。D.A.Mのデイヴィッド・メイン氏も「むしろこれはMK1.5に近かった」と指摘してますが、その当時はTONE BENDERに関する資料も今ほどはなかったと思われるので、致し方ない部分ではありますが。(この項つづく)
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