3.29.2012

RotoSound - Fuzz Box


 ロトサウンド。ギターを弾く人であれば一度は名前を聞いた事のあるブランドだと思われます。なんと言ってもギターの弦の超有名ブランドですもんね。イギリスで1958年に会社設立以来(ギターに限らず)楽器用の弦を製造・販売してきた会社ですが、その名を一躍有名にしたのは1966年、SWING BASS STRING SETというベース弦セットをTHE WHOのジョン・エントウィッスルのために製造し、これを製品化したところ爆発的にヒット、というのが契機だったのだそうです(このセットはジャコパスも使用していたことで有名)。もちろんベースだけでなく、ジミヘンがロトサウンドの弦を使ってますし、ミック・ロンソンもロトサウンドでしたね。

 さて今回は別に弦の話ではありません。ロトサウンドは1967年にファズ・ペダルをリリースしています。過去にも何度か触れたことがありますが、SOLA SOUND社のTONE BENDERがちょうどMK2を製造した頃(=3つのトランジスタに戻った時)、自社ブランドのみならず、他社ブランドのOEM製造品として、MK2回路を持ったSOLA SOUND製ファズがいくつも誕生しています。ロトサウンドのFUZZ BOXもそのひとつにあたります。

 金色のものと銀色のものがありますが、金色はほとんど製造されていないと思われます。これが最初のロトサウンド・ブランドのFUZZ BOXになります。他では見る事のできないオリジナルの筐体を採用していますね。金色のほうが先に、銀色の方があとに製造されたことが判っていますが、中身は同じMK2回路です。金色の方はコントロールが「SUSTAIN」と「VOLUME」になっているのに対し、銀色のほうは「FILTRE」と「VOLUME」になっていますね。

 そして現在わかっていることは、このロトサウンド・ブランドのFUZZ BOXにはトランジスタにOC75やOC81Dを使ったものがある、ということです。両方の写真を掲載してありますが、キャパシタや抵抗に若干のパーツ違いがあるものの、配線方法や配線位置がほぼ同じことがわかります。実際にホンモノの音を耳にしたことはないのですが、どう考えてもSOLA SOUNDブランドのPROFESSIONAL MK2と同じであろう、なんてことが伺われます。一説によれば、このMK2回路のロトサウンドFUZZ BOXは「殆ど販売されていない」とのこと。これに関しては後述します。

 さて1968年、SOLA SOUND社のTONE BENDERがフルモデル・チェンジ(=MK3へ)したことに伴い、ロトサウンドFUZZ BOXも同様にモデル・チェンジしました。全てがTONE BENDER MK3と同様になり、筐体はワウのものを流用(VOX TONE BENDER MK3と同じ形のもの)、ノブも3つになり、回路基板はプリントに、という具合です。

 ご丁寧にどなたかがこの68年版ロトサウンドFUZZ BOXのMK3バージョンをバラバラにした写真を撮影されていますが、トランジスタはブラックキャップのOC75が3ケ使用されていることがわかります。ただし、別な報告によれば、トランジスタにBFY71を2ケ、NKT214を1ケ使用した、というものがあるとのこと。これは未確認なので、今後の検証が必要になります(というのも、実はBFY71やNKT214は90年代の再生産COLORSOUND TONE BENDERで使用されたトランジスタなので、それと勘違いしてるのかも、という疑いが残るからです)。

 以前にも写真を掲載したことがありますが、ジミー・ペイジがツェッペリン時代にこのファズをステージで使ったことがあります。このファズは1969年6月にジミー・ペイジの元に送られ、ペイジ本人は同6月16日、19日、24日、27日のBBC RADIOショウにて使用(写真はその時のもの)されたとのことです。白黒の写真のほうは6月19日の、後ろ姿の方は6月21日の写真です。

 さてさて、英国ロトサウンド社はなんと40数年振りに、このFUZZ BOXをリイシューすることになった模様です。先日ドイツのフランクフルトにて行なわれたミュージック・メッセにて2012年にFUZZ BOXを再発売することを大々的に発表。現在自社HPでもババンと紹介していますね。現時点でその中身とか発売日とか価格とかは未定なのですが、ロトサウンドといえばヤマハ(註:日本の代理店です)、というわけで日本発売も期待されるところです。

 製品名としてはROTOSOUND RFB1とう名前になるらしく、既に最初のロットの製造品がある、ということから、見かけることのできる日は近いだろう、と思われます。ロトサウンドの公式HPやメッセで公表された宣伝文句には、以下のようにあります。「1960年代のオリジナルとまったく同じ回路やレイアウトを忠実に再現し、現代の抵抗パーツ、キャパシター・パーツを利用して製作されています。いにしえのMOJOフレイヴァーと現代のテクノロジーを結合した新しいペダルです」

 この文章から、もしかしたらトランジスタはゲルマではないのかも、とも思われますが、中身に関しては全く定かではありません。そして以下の文章が続きます。「オリジナルのプロトタイプはほんのわずかしか製造されず、殆ど販売されていません。しかし、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが使用したことでよく知られるところでしょう」。勿論、宣伝文句としては疑う余地なく正しいモノではあります。なので、ペイジっつったらMK2でしょう?なんていうツッコミはここでは不要、ですよね。


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