

さて、冒頭で掲載した雑誌記事のような写真は、海外のギター雑誌のカラーサウンド特集ですが、雑誌名が判別できません。が、この原稿を書いているのは世界的なTONE BENDER研究家として知られるジェイムス・スティーヴンソンさんという方で(彼は各所がTONE BENDERクローン・ペダルを製作する際に、オリジナルの実機をよく提供している方でもあります)、彼が「COLORSOUND製品の歴史を紐解く」という原稿になっています。が、実は当方もこの文献をちゃんと読めていません(この画像しかないので)。是非全文を読んでみたいですねえ。


ハッキリした時期、そして発売順に関しては、未だ正解が見えてはいませんが、その時期はおそらく1975年前後に集中しています。先ずご紹介するのは70年代中期に発売された銀色の筐体に収められたTONE BENDER(3ノブ)です。
ご覧頂いて判るように、このペダルにはどこにも「COLORSOUND」というブランドが入っていません。というか、外見は以前掲載したゲルマ版のTONE BENDER MK3とまったく同じです。つまり、ある時期をさかいにして、TONE BENDER MK3が完全に回路をリファインしシリコン化たモデル、ということになります。


シリコン・トランジスタを使用したTONE BENDERの殆どは、ワイドケース(=幅広の新しい鉄製筐体)というイメージもあるかと思いますが、それは間違いではありません。というかその通りなのですが、いわゆるスリムケース(ここに掲載したもの)でもシリコンものがあったんですよ、という意味でまとめています。デカい筐体になってから、に関しては次回別項にて改めて触れます。


グレーのほうは「現行品のスタンダードTONE BENDER」という位置づけで製造・販売されているモデルで、商品説明いわく「70年代中期のJUMBO TONE BENDERの音を再現するファズ/どんな音かを知りたければエドウィン・コリンズ “A GIRL LIKE YOU” を聞けば一発でわかるでしょう/もしくは70年代中期のシン・リジー、アイズレー・ブラザーズ、バーナード・バトラー、プライマル・スクリームを要チェック」と書いてあります(大意)。回路の配置は一部違う箇所もありますが、結局このグレーの現行品TONE BENDERは、上のほうで掲載したシリコン版TONE BENDER(3ノブ)を復刻したもの、ということになります。

ただし、データ通りであれば、BFY71はNPNトランジスタで、OC72はPNPトランジスタです。72年のTONE BENDER(=3ノブのMK3)は、3つともPNPのゲルマ・トランジスタを使用していた回路なので、そのまま同じではありません。また、トランジスタ以外の回路もシリコン・サーキット版の回路を踏襲していることからも、ハイブリッド仕様である黄色い復刻品が正確な72年製TONE BENDERと同じではないことは確かなので、どこを狙ったのかはいまいち定かではありません(註;ただし、もしかしたらこういう回路のモノがどこかにあったのかも知れませんので、断言はできないんですが)。ちなみにこの黄色いスリムケース入りのMACARI'S復刻版TONE BENDERには、上記した組み合わせとは異なるトランジスタを持ったバージョンも存在しています。ここに掲載したブツでは、ゲルマ部分にOC75(ブラックキャップ)、シリコン部分にBC184Cを使用していることがわかります。(この項続く)
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