4.15.2012
Silicon Powered Tone Bender (Part 2)
シリコン版TONE BENDERの続きです。前回既に「スリムケース時代のTONE BENDER MK3」は、途中から回路が全部リファインされて、シリコン・トランジスタに変更になった、という旨を書きました。今回は更にその後、ワイドケースになってからのTONE BENDER関連ペダルです。
回路は以前紹介したものと同じ、シリコン・トランジスタ3ケの回路そのままですが、筐体が大きくなったのを気に新しいペダル・シリーズとしてTONE BENDERは TONE BENDER JUMBO として生まれ変わりました。74〜75年頃、と思われますが正確なそのモデルチェンジの時期は判っていません。ここに掲載したシルバー&ブルーのペイントが施されたTONE BENDER JUMBOは1975年9月、という製造スタンプが残されています。
このTONE BENDER JUMBOにもいつくかのバリエーションがあります。一番大きな違いは(大きさはそのままながらも)筐体のデザインが変更になり、ノブやスイッチの配置された上面がポコっとへこんだ面になっていることが挙げられます。
また小さい変更点ではありますが、トーンのノブの利き方が「BASS/TREBLE」の方向が逆になりました。これまでは左に回せば高音が強調、だったのに対し、変更後は左に回せば低音が強調、になります。
また、このTONE BENDER JUMBOはいくつかのカラー・バリエーションもあります。ペイントが変更されたものは「JUMBO」の文字の位置が変わってしまったので「JUMBO TONE BENDER」と呼ばれることもあります。まあ、どっちでもいい話ですけど。
それから、このワイドケースの新しいシリーズには SUPA TONE BENDER という名前のペダルもラインナップされました。これは全く新しい回路を採用し、トランジスタも4ケ使用した回路でした。「全く新しい」と書きましたが、既に多くの場所で指摘されているように、この回路はもうほとんど「BIG MUFFじゃねえか」と言えるようなモノで、既に60年代のTONE BENDER的な要素は(名前を除けば)見る影もない、というモノではあります。
とはいえ、時代背景を考えれば爆発的なディストーション、それから延々と続くサスティーン、というのはギタリストの要望を叶えるためには必要だった、とも言えるかと思います。外観上はご覧のように3つのノブはそのまま、なんですが、ひとつはSUSTAIN、ひとつはVOLUME、そしてもうひとつがTONEとなっていて、その配置場所も上記の「JUMBO」とは異なっています。
ところで、このSUPA TONE BENDERにはいくつかの「面倒臭い」エピソードがあります。まずひとつは、このファズは元ジェネシスのギタリストだったスティーヴ・ハケットが使用した、ということもあって、90年代に スティーヴ・ハケット・モデルとして復刻されたことがあります。彼のサイン入りエンブレムが埋め込まれたもので、現在でもたまに楽器店で売りにでてるのを見かける事がありますよね。
それほどスティーヴ・ハケットに詳しいわけではないので偉そうなことは書けませんが、たしかに彼は70年代にいくつかのCOLORSOUND製品を使用していたことが確認できます。けど、SUPA TONE BENDERを使った写真は見当たりませんでした。そのかわりこんな写真が出てきました。これは70年代の写真ですが、JENのCRY BABY、COLORSOUNDのオクターヴ・ファズ、マーシャルSUPA FUZZ、マエストロECHOPLEX、独シャーラーのVOLペダル、という機材が足下に並んでいるのが確認できます。時代がSUPA TONE BENDERよりちょっと前なので、本稿とは関係ないんですが、スティーヴ・ハケットも長らくTONE BENDER使いのギタリストだったんですね。
それからもうひとつ。実はCOLORSOUNDブランド自体が、あまり「SUPA TONE BENDER」と「JUMBO」を正確に区別して発売していなかったんじゃないか、というちょっと可愛らしい証拠写真があります(笑)。こちらは1978年にCOLORSOUNDブランドが作った自社製品のチラシです。下の列の左から2番目にTONE BENDER JUMBOの写真が載っていますが、このペダルの紹介文にはなぜか「SUPER TONE BENDER」なんて書いてあります。ただのミスかとは思うんですが、SOLA SOUND/COLORSOUNDの末期(80年に一端歴史を閉じます)にあたる時期なので、まあいろいろあったのかなあ、なんて想像するのはさすがに失礼でしょうかね。
ちなみに、現行のMACARI'Sの復刻品ペダルの中に、スリムケースの真っ赤な筐体で、FUZZ-4という名前のついたファズがあります。これが一応「シリコンを4つ使った、BIG MUFF系統の回路を用いたもの」ということになっており、ラインナップ上ではこのFUZZ-4がSUPA TONE BENDERの復刻という位置づけになっているもの、と思われます。こちらに関しては回路を比較したわけではないので確証がありませんが、D.A.M.のデヴィッド・メインが「MUFF回路を使ったブツ」と言ってるので、多分間違いないと思われます。
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