
これがアメリカの話であれば、簡単に言えば「合理化」というお題目とともにガシガシと新しいトレンドを回路デザインに用いて「ブランニューなファズできましたぁ!」として大規模に売り出せるわけで、そうした点はエレハモの製品を見るとよくわかりますよね。

既に何度も書いているように、この前年68年に、SOLA SOUNDは3度目のフル・モデルチェンジをTONE BENDERに行ないました。その68年モデル(通称MK3)は、自社SOLA SOUNDブランドで発売されただけでなく、VOXブランドで、PARKブランドで、ROTOSOUNDブランドで、等々他社にもOEM製造されていたことは既にご承知かと思います。
一般に、(わずかな例外を除いて)MK3系のTONE BENDERはノブが3つありますが、それらの殆どはシルバーキャップのゲルマニウム・トランジスタを用いていました。前回までに書いた様に、TONE BENDERが一般的にシリコン・トランジスタを採用したのは1974〜75年頃と思われますが、その際にも大規模なモデルチェンジを行ない、回路も大幅に変更されSUPAやらJUMBOやら新しい名前もついているわけです。



その理由のひとつはまず基板にあります。ご承知のように、一般的なMK3であればプリント基板が用いられていますが、こちらのWITH TREBLE'N'BASS BOOSTではユニバーサル基板を用いており、ワイアリングも手作業であることがわかります。基板の設置方法も通常のMK3とはまったく異なる方法であることも確認できます。わざわざ(MK3の)後発製品に、古い製造方法を用いることはないだろう、と思われるからです。
理由その2は、もちろん「シリコン・トランジスタ」を使っている、という点です。2N2926はNPNトランジスタなので、これまでの回路(PNP回路)を流用することができず、まったく新しい回路を用意する必要があったわけですね。筐体に堂々とMK3と書いてはあるものの、それらの意味からも回路はMK3ではないと判ります(一見して、キャパシタの数がMK3回路よりも多く、またMK3回路の特徴でもあるダイオードが見当たらない等)。ただし、MK3回路とこちらの回路、どちらが先に「開発」されたかは不明なのですが。

写真に掲載した「VOX TONE BENDER MK3 WITH TREBLE'N'BASS BOOST」の固体は、オリジナルではPP4という円柱状の電池用スナップが用いられていたっていうこともわかっていて、60年代末の製造ということは間違いなさそうです。
ちなみにこのファズ、音を聴いた事も触った事ももちろんありません。どっかにあれば是非とも欲しいブツではありますが、まあ無理でしょうねえ(笑)。以前アメリカの楽器屋さんにてこれが売りに出されたことがあるんですが、その際お店の人に「どんな音なの?」と聞いた事があります。答えは「バランスの取れた倍音」「スムースな歪み」「最高だぞ」とか、そんな文言ばかりで、あまり参考になるようなモノではありませんでした(笑)。そりゃあ、シリコン使えばそんなカンジになるだろうよ、て思うのは当方だけではないと思うのですが。
Hi there , I have a original vox tonebender mk 3, two knob, I bought it new in 1967. They are now extremely rare, even Macaris , the orginal makers of the Sola Sound range do not have one in there archive . are you interested in buying it, apart from cosmetic wear and tear , it stills great !! Ashley
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