今回取り上げるのは、既にお馴染みスペイン・バルセロナのMANLAY SOUNDが発売しているTONE BENDER MK2クローン・ファズSUPER BENDERのお話です。取り立てて新しいニュースがあるわけではありませんが、MANLAY SOUNDが新しいデモ動画をひとつ制作しました。これがとっても(ファズ初心者にも)興味深い内容となっていますので、その動画を紹介しつつ、解説を加えたいな、と思います。SUPER BENDERの基本スペック等に関しては、以前のこちらのポスト等を参照していただければと思います。
しかし、その大元となるTONE BENDER MK2というファズは、オリジナルでもとても個体差が激しく、更に加えて、今も世界中で生み出されているMK2クローン・ペダルを弾き比べしても、やっぱり音はそれぞれバラバラだったりします。「MK2の音がどんな音か」というのは、いちばん元となる「MK2の音」を、製作者がどう捉えているか、に左右されるんですよね。


「ZEPの1stの音」と、頭から基準を決めてしまっているので、SUPER BENDERだけで言えば、それほど個体差はありません。おおむねそういう音が出るようにセッティングしてあるからです。ただし、これがTONE BENDER MK2の「正解の音」かどうかはプレイヤーさんに決めていただくしかありません。
で、この新しいデモ動画が何を示しているかというと、バイアス調整のトリムポットを設置したヴァージョンのSUPER BENDER(詳細は後述)で、バイアス調整をするとこんな風に音が変わりますよ、ということを実践してみた、という動画です。
最初のほうでは「バックグラウンドのノイズは多め。でもあんまり歪まない。ギターのVOLで歪みが調整できる」という音。こちらであれば、ギターのボリュームにファズの歪みが反応して、音のディケイ(減衰部分)が綺麗に再現される、という音です。その後トリムポットをいじって「バックグラウンドのノイズはゼロに。バリバリに歪んで、ゲートがかかったファズ・サウンド。ただしギターのVOLには反応しない」という現象を実際に動画で示してみたもの、ということです。後者の音が、バツッバツッといきなり音が途切れるのが判るかと思います。

そしてこれは動画でも言われていますが、ペイジが60年代に出していたファズ・サウンドはデモ動画でいうところの後半の歪みなわけで、それを証明(?)するために、ヤードバーズの曲を(ペイジが60年代にやってたようなファズの歪みで)ROMANが弾いてみた、という動画になっています。
さて、MANLAY SOUNDのSUPER BENDERには「トリムポットのあるもの」と「ないもの」に大別されますが、制作している側の意図としては、特別にトリムポットの有無を重要視していません。というのも、上記のように基本的には60年代末のペイジの様なフットい歪みを目指しているからであって、そのために「正確な回路構成」と「3つのトランジスタの取捨選択」に膨大な時間と手間を費やされています。ベストと思われる3つのトランジスタの組み合わせを見つけられれば、トリムポットを使用せずに、スンナリとオリジナルのMK2回路そのままで基板を構成します。
ただし「あ、ちょっとオシイなあ」というレベルのトランジスタの場合は、前者同様の「ベスト」のサウンドを生み出すためにトリムポットでバイアス調整を加えているわけです。

また、日本同様に細々とした流通網ではありますが、アメリカでも販売されているこのペダル(というか、これに限らずMANLAY SOUNDの製品すべてに言えることですが)は、中々在庫の確保も難しくなりつつあります。つまり、世界中からのオーダーが来るようになっちゃったから、日本向けが優先されるわけではないんですよね。もし MANLAY SOUND製品にご興味を持たれた方がいらっしゃれば、チャンスがあるウチにお早めにお試し下さい。
それから、今回の動画をご紹介するに辺り、当方の手元にあるSUPER BENDERの在庫を全部チェックしたところ、見事に全部「トリムポットなし」のブツばかりでした。なんだよ、折角だから、同じことを自分でも試そうと思ったのに(笑)。そんなわけで、今スペインに「トリムポットあり」のブツをオーダー中ですが、何時届くかはまったく未定です。
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