6.18.2014

The Effector Book Vol.24 - Revenge of Wah Pedal

 
 なんとまあ、約3ヶ月ぶりのブログ更新となります。実はその間いろいろとご連絡も頂きまして、商品在庫の問い合わせと共に「もうブログを止められたようですが」とお書きになられた方もいらっしゃいました(笑)。ホントすいません、別に止めたわけじゃあないんですよ。ただ本業のほうでドタバタしてまして、これを書く時間がなかったというだけなんです。

 で、既に発売になっておりますが、例によってシンコー・ミュージックから発売されてるるTHE EFFECTOR BOOK最新号を、今更ながらご紹介したいと思います。
 写真でご覧いただけるように、今回の特集はワウ・ペダル特集です。えっと、いきなり昔話になって恐縮ですが、同誌でワウ特集をやるのは2回目になります。とはいえ、以前その特集をやったのは今から4年前、しかも同誌の第2号だったワケです。当然のように既に入手不可能ですし、ヤフオクなんかでもすげえ高値がついたりして売ったりしてますもんね。

 だから今このタイミングでまたワウ特集をやる、というのは意味があるとも思います。とはいえ同誌編集長には悩みがありました。「前と同じこと書いても意味がない」。ええ、それはまったくその通りですよね。しかしワウってえヤツはそれほど画期的な新製品がパカパカ出るわけでもなく、やっぱり今も昔もワウ使いにとって一番興味をそそるテーマは「ワウというのは本来どういう構造なのか」だったりします。

 また、ワウの歴史(えっと、一応書いておきますが、歴史に詳しくなったからといって、素晴らしいワウ使いになるわけじゃないんですよね。それはこんなブログをやってる当方本人が一番よくわかってます。笑)に関してもオサライの記事が載っています。その原稿は当方が担当させていただきました。つまり、オタク魂満載の記事になってます(笑)。内容としては当ブログのワウ・ヒストリーの文とほぼ内容はダブリます。加筆訂正したもの、と考えていただいて構いません。
 1966年に開発が始まったワウ・エフェクトですが、アメリカのトーマス・オルガン社、イギリスのJMI社、そしてその合弁企業としてイタリアに設立されたEME社(後のJEN社)、それぞれの思惑とか、初期ワウ製品の試行錯誤とか、そういう記事です。
 開発はアメリカ西海岸で行なわれたこと。開発に関わったのはデル・キャッシャーというギタリストだったこと。イギリスではその回路を利用して独自のワウを製造したこと。イタリアでもその回路を利用してワウの大量生産に乗り出したこと。イタリアとアメリカが喧嘩したこと(笑)、そんな話が載ってます。
 特に、イギリス製のワウに関して、例のシルバーハンマートーンのVOXワウ、それからそれ以降のイギリスのワウ事情に関しては、4年前の同誌ワウ特集でも触れられていなかったので、今回ガッツリと紹介してあります。

 ワウの原型としてすでに名高いイタリアン・ワウ(60年代にイタリアで作られてた初期のワウ)ってのは、どんな構造で、どんな回路だからどんな効果があるのか、今のワウと何がちがうわけ?なんて検証記事もあります。

 また、ジムダンのインタビュー。ワウを使った名盤100選——これ、いつも面白い記事ですよね。やっぱエフェクターって使い倒すことも重要なんですが、どんな使い方されてるのか研究するのも重要なんですよね。日本の某ロック・バンドの方から「某曲の冒頭で、MANLAY SOUNDのTHE ALADDIN使ってんですよ」と直接聞いた時に、ビックリしました。こちらは作った本人なのに、全然気づかなかったです(笑)——、それからインダクターの性能比較、なんて記事も載ってます。

 さらにさらに、実は今回のワウ特集で最も重要な記事、と思われるテーマがあります。ワウってヤツには基本的に以下のパーツが使われますが、おさらいしてみると—— ●ポット(可変抵抗)、●抵抗(固定で信号に抵抗をかけるもの)、●コンデンサー(ちなみに英語ではコンデンサーとは言いません。キャパシター Capacitor といいます。電気エネルギーを蓄えたり放出したりする受動素子)、●インダクター(電流を流すことで磁力が発生し、その力で電気エネルギーを蓄えたり放出したりする)、●トランジスター(信号増幅)——ここらへんが基本ですよね。
 で、それらをどう変えたらどう音が変化するか、という実験を踏まえた検証記事があります(担当されたのはSOUL POWER INSTRUMENTSのさいとう氏)。

 どーですか。超ワウ・フリーク向けの本ですよね(笑)。まあ例によってそれだけではなく、御大スティーヴ・ルカサー氏のペダルボード紹介&インタビューとか、ポストロックの代表バンド、トータスのペダルボード紹介&インタビューとか、なかなか豪華な内容となっております。
 すでに発売中であることは前述した通りですが、興味ある方は是非手に取っていただければと思います。

 最後に、既に左のサイドバー部分にも表示をしましたが、また少しだけ米MENATONEのブライアン・メナ氏に「PIG」を作ってもらいました。今日本に向かってる途中です。これ、若干ですが今までと異なる仕様になってます。こちらも入荷次第販売しますので、もしお探しの方がいればお楽しみに。

 さらに、今スペインのMANLAY SOUND(余談になりますが、今年のW杯のスペイン代表チームは一体どうしちゃったんでしょうか。心配でなりません。笑)によるTONE BENDERクローン・ペダルに関して、ちょっと新しい試行錯誤をしてみようかなとも考えています。考えてるだけで決まってはいないので、まあそちらは決まったらご報告させていただきます。それから、直接エフェクターと関係するわけではありませんが、当方がここしばらく執心していたプロジェクトに関しても近々形になりますので、ご報告したいな、とも思ってます。
 

1 comment:

  1. 本業でない、片手間での、この情報量は素晴らしいですね。
    色々参考にさせて頂いてます。どうもありがとうございます。

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