
で、そのMK2ですが、これまでも何度も書いてきたとおり、主に2種類の「方向性」が存在します。スイッチを入れた瞬間にもう飽和感バリバリで爆音激歪み、ハムバッカーや高出力のPUでプラグインしようものならもうその瞬間にモーモー言ってしまうような、例のパターン。それからもうひとつの方向性が「あまり歪まないけど、ギターのボリュームに反応し、VOLをチョイ下げするとカリっとしたクランチを生み出せる」というものです。カリっとしたクランチとは言っても、MK1.5回路のモノほど明確なソレではありませんが。
66年に発売されたオリジナルMK2に関しては個体差が激しいこともあって、どちらがどれくらいあったか、またその中間に位置する個体がどの程度あったのか、そういうことはもう誰がどうやったって調べ上げる術もありません。ただし現存するオリジナルのMK2に関してはその「両方あった」ということがわかっている、というだけです。

ここでとっても面倒臭い事実を確認しておきます。「OC75を使ったら音は〜〜だった」とか「OC81Dを使うと音は〜〜だった」とは一概に言えないのです(笑)。どちらのトランジスタを採用していたとしても、モーモーになるものはなるし、カリンカリンになるものはそうなってしまう、という(笑)。

さて、ではもう一方のOC81Dの場合はどうなのか。
まず最初にお断りしておきますが、ブラックキャップで「DSI製」と書かれているOC81Dトランジスタが今も存在しますが、そちらはまったくの別物とお考え下さい。イギリスのJMI〜BPCでもこのDSI製OC81Dを使用したTONE BENDER MK2を発売していますが、今回の記事はそのトランジスタとは無関係です。というのも、そのDSI製OC81Dは歪み値他のスペックがムラード製シルバーキャップのOC81Dとはかなり違うからです。

また、以前オフィス北野の森社長にインタビューした際に拝見させていただいた、60年代のオリジナルTONE BENDER MK2(MULLARD OC81D搭載)の音の印象を訊いたところ「爆音でモーモー」とおっしゃっていたので、そちらも分類としては同じ傾向がある、と推測できます。



このペダル制作者本人がこのMZ-EFFECTのTONE BENDER MK2レプリカ(OC81D使用版)のデモ動画をアップされています(ええ、OC81Dを選ぶくらいですから、やっぱりZEPファンなんでしょうね。深く頷けます。笑)。ギターはビンテージのレスポール、アンプはマーシャル50W(1987)を使用していますが、動画の中ではセッティングを書いていない/変えていないので、どういう動作かはわかりにくいのですが、当方が入手したブツはこの動画のものよりもよりジュワジュワとした歪みがします。ちょっと乱暴に言えば、当方の入手した個体でも「ATTACKをゼロにすれば」こんなカンジの音になります。ミッドレンジにもの凄い厚みが出てしまうので(え?PUはフロント?と一瞬だけ勘違いしそうな程に)、1987を使ってもあっという間にこういうカンジで音がダンゴになるんですよね。
正直、JMIが以前限定で作ったTONE BENDER MK2のOC81Dとほとんど同じサウンドです。ただしJMI版のほうが内部トリムポットを採用しているので、使用の際にやや安定感がありますが、基本的に同じ回路、同じ数値、同じトランジスタですから当然の結果、ですよね。
最後になりますが、今回もやはり、という意味で心に染みた現象があります。TONE BENDERってやつはアンプとかギターにホントに左右されまくるエフェクターですね。一筋縄ではいきません。アンプ選びの大切さを痛感しております。
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