3.30.2010

Tone Bender MK1 Clones (from D.A.M / Black Cat)

 
 ちょっとばかりヒストリーものの文が続いたので、一旦お休みして今回はTONE BENDER MK1のクローンものを見てみようと思います。まず、こちらはイギリス、ヨークシャーでハンドメイドにてファズを生産し続けるカリスマ(本人はこう言われてることをどう思ってるんでしょうかね。でもカリスマであることは間違いないですね)、デイヴィッド・アンドリュー・メイン氏率いるD.A.Mの製作によるTONE BENDER MK1のクローン・ペダル、1965です。
 D.A.Mはこのペダルを正式なラインナップに入れていません。つまり限定でカスタムメイドされた特注品、という扱いかと思います。ご覧のようにカッパーのカラーですが、これは木製プロトタイプのTONE BENDERのカラーを参考に採用した模様です。このモデルは完全限定で製作され、合計で40ケしか出荷されていないハズです。すごく欲しかったんですが、結局見ることさえできてません。
 本人に確認したわけではなく、彼がD.A.Mフォーラムで語っていた話を元にまとめてみますが、まず本人としてはMK1の回路はまとめあげるのに非常に苦労したこと、さらに、オリジナルのトランジスタでは満足する音にならなかったことなどに触れています。
 内部写真でも確認できる通り、キャパシタ等はブティック系ペダルでおなじみのマスタード・キャパシタですね。ただし、デイヴィッドはトランジスタにはOC78を使用しています。
 これはデイヴィッド本人の「絶対譲れない」というコダワリでもあるのですが、英国製パーツしか使用しない、という点があります(余談ですがD.A.Mが採用している筐体は、ノルウェーだったかスウェーデンだったか、確か北欧製だと記憶していますが、まあそんな細かいことはツッコム必要さえないですね。何よりも当方はD.A.Mの大ファンです。ただし高過ぎて買えないことが多いんですが。笑)。
 オリジナルMK1で使われたトランジスタは前にも述べたようにOC75と米製の2G381ですが、2G381は恐ろしいほどに入手困難であったこともあろうかと思いますが、デイヴィッドが満足するものはもう手に入らないと思われます。仮にあったとしても、英国製にこだわる彼は使わないでしょう。そういったこともあって、OC78の3ケ使い、という構成になったと思われます。
 このD.A.M 1965はYOUTUBEに音がアップされてますので、その音を確認できます。やはり、予想通りのMK1サウンドですね。ただし、このデモ奏者の方はセッティングを変えていないので、実際にどんなカンジで音が変化するのかはちょっとわからないのですが、D.A.M特有の、トップエンドのエッジが丸い、ウォームなサウンドになっていますね。この「1965」には同じくD.A.M「1966」同様にSUPER BEEスイッチが見えますが、動画で確認する限りこれは(切り替え式の)スイッチではなく、ポットによる連続可変のコントロールになっているようです。おそらくレンジを変えてるのだと思うのですが、動画ではあまりその辺を確認できませんね(笑)。ただ、上にある内部写真ではここのパーツは切り替えスイッチになってるので、もしかしたらブツによってはそのあたりの仕様は統一されてないのかもしれませんね。

 それからもうひとつ、TONE BENDER MK1のクローン・ペダルをご紹介。こちらは米国製のもので、ブティック系ペダル・ブランドとして既に高い評価を得ているBLACK CATというブランドが製作したTONE BENDER MK1 AMERICANOというモデルです。
 こちらも正式なラインナップではなく、たしかこれは5ケしか制作されていないハズで、写真はそのシリアル5番のものです。買おうかな、と思ってたんですが、オークションで寸でのところでヤラレちゃいました(笑)。
 そのモロな名前が示すとおり、こちらはメイド・インUSAのTONE BENDER、をうたったモノでして、ビルダー自ら「だからトランジスタはアメリカ製のものを使った」と言っています。
 そのトランジスタはテキサス・インストゥルメンツ社製の2N404というゲルマニウム・トランジスタを3ケ使いで使用してますね。そしてカスタム・ペダルのマニアにはおなじみ、キャパシタにはSOZO(もちろんZEPのアレからロゴを拝借してると思われます)のブルー・キャップを使用しています。SOZOはアンプ用パーツを供給してるブランドなんですが、高いんスよね。青いのはマスタードの3倍くらいの値段がします。
 内部写真でもわかりますが、病的なほどに丁寧に組んでありますね(笑)。アメリカ人にも神経質なタイプのビルダーがいる、ってことですね。

 実はご覧のように、TONE BENDERのMK1クローンはJMIが現在発売している復刻品、我がMANLAY SOUNDが発売している65 BENDERの他には、上記2種くらいしかありません(もちろん個人製作のモノは除きます)。単純な回路なのに、思うような音にならない、という点が最大の難関であることは間違いありませんが、そのサウンドも(今の標準的な考え方からすれば)大暴れのジャジャ馬ファズであることも間違いないので、それほど認知がないことは否めません。これも何度も書いてますがMK1は他のTONE BENDERとは全然音の傾向が違います。ですがミック・ロンソン・サウンドにはTONE BENDER MK1とイタリアン・ワウが欠かせないように、やはり美味しいポイントが探し当てられれば唯一無二のサウンドになります。是非MK1の暴れっぷりを、多くの方に試していただければ、と思ってMANLAY SOUNDはMK1クローンを制作しております。
 そしてちょっとばかり、そのMANLAY SOUNDのペダルに関して進捗状況を兼ねたご報告です。現在多数のショップから当方にお問い合わせをいただいておりますが、全く生産が追いついておりません。お待ちいただいているお客様/ショップの皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ありません。近日中にまた、ほんの数ケずつ日本に到着予定ですが、今のところ既にいただいた予約分でハケてしまうことが決定しております。本ウェブ等での直接販売はもうちょっとだけお待ちいただきたく思います。

 ちなみにMANLAY SOUNDからは、3種のTONE BENDERクローンの他にも、FUZZ FACEクローン・ペダル、BABY FACEが2種類発売されることになっています。ゲルマ版、シリコン版の双方を発売予定ですが、ROMÁN本人が大のジミヘン・フリークであることもあって、なかなか難航してるようです(笑)。こちらも近日中には詳細をお伝えできると思います。

 また、既にスペイン本国のHPには掲載していますが、THE ALADDINという、なんだかモロにアレな(笑)ファズ・ペダルもあります。これも当方が無理言ってROMÁNに作ってもらったシリコン・ベースのファズ・ペダルなのですが、実は当初は発売する予定ではありませんでした。ですが彼がYOUTUBEに音をアップしてeBayで発売してみたらヤケに評判が良かったので、その後はオーダーがあれば作る、というスタンスになっています。こちらは現物が手元にあるので、その詳細は近々ここで紹介させていただこうと思っていますのでお楽しみに。
 さらに、実は最近当方がゲルマ・トランジスタ2G381をいくつか入手しました(メチャ高かったです……)。今スペインにてその動作確認を行っている最中なのですが、もしうまくいけば、OC75と2G381を使用した、MK1のクローンを制作しようと思っています。つまり65 BENDERのスペシャル・バージョンということです。まだ走り始めたばかりの計画なのでうまくいくかどうか不明ですが、進展があればそれもここでご報告します。
 

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