6.05.2010

Tone Bender from Vintage Pedal Workshop


 イギリスにRICHARD HENRY GUITARSというヴィンテージ・ギターのディーラーさんがいるのですが、そのRICHARD HENRYさんが新しくエフェクター・ブランドを始めました。その名は「VINTAGE PEDAL WORKSHOP」という名で、もうモロにヴィンテージ・エフェクターの復刻をやらかすようなんです。で、以降なぜか彼の店から筆者のところに「オイ新しいペダルが出来たぜ」等と頻繁にメールがくるようになりました。ずーっとシカトし続けるのも恐縮なので、まとめてご紹介しようと思います。

 まず、このエフェクター・ブランドの製品は基本的にスティーヴ・ジャイルズさんというひとりのビルダーさんが全部作っていて、今のところTONE BENDERのクローンペダルばかり作っています。そのスティーヴさんは、80年代からアンプやエフェクトの製作/修理/カスタムをやっている方だそうで、80年代はアメリカに、90年代以降イギリスで働いているそうなんですが、2005年、JMIが復活してAC15やAC30の復刻アンプを発売した際には、彼がその製造を引き受けたそうです(とはいえ、勿論彼一人だけではないでしょうけど)。そして当然ながら、JMIがTONE BENDERの復刻品をリリースした際も、彼がお手伝いしたとのこと。
 そして今年、彼は独立して自分でエフェクト・ブランドを持つ事にした、というわけですね。

 まずその最初のペダルは、金色のTONE BENDER MK1のクローン・ペダルでした。ちょっとだけオマヌケに見えてしまう(あくまでも、本物と見比べれば、の話ですが)ケースに収められた、イギリス製MK1クローンです。我がMANLAY SOUNDの製品や、イギリスのJMIの製品とは違って、クローンとはいえいくつかのアップデートが施されており、画像でもわかるようにダイオードのインジケーターがボディの真ん中に見えますね。また、電源アダプターの使用が可能になっています。
 オフィシャルHPで彼らも言っています(つまり経験者はみな異口同音に同じ事を口にするわけです)が、「MK1は正確なトーンを再現するのがとても難しい」。世界中のビルダーが皆、なんとかそこで妥協点を見いだす作業に苛まれるわけですが(笑)、スティーヴさんはとりあえず、「使用するゲルマニウム・トランジスタの組み合わせを決めない」という方法(つまり、MANLAY SOUNDと同じ手法ですね)で、MK1サウンドの再現を狙っているようです(実際にこのペダルの音を確認した事が無いので、音に関しては推測の域をでません。その点は予めご容赦ねがいます)。

 まだこのMK1クローンを出したときは、エフェクター・ブランドとしてやっていくかどうかちゃんとは決めていなかったようですが、(どのくらい売れたのかは聞いていませんけど)この後、彼らはブランドとしていろんなペダルのクローンを作っていこうと決めたようです。

 続いて発売されたのが、JHSの青いMK1、ZONK MACHINEの復刻ペダルでした。以前にも紹介したように、まずJHSという会社は実は今も存在してること、さらにはJMIがこのZONK MACHINEの復刻ペダルを発売していること、そんなところから「権利とか大丈夫かあ?」「いろんなとこにケンカ売ってるみたいだなあ」とか(笑)、余計な心配をしてしまいますが、当方とてヨソ者。関係ないんで今は放置しておきましょう。
 写真での判断しかできませんが。このZONK MACHINEクローンのトランジスタはMP21(もしくはMP20?)と、2ケのOC75のようです。ユニバーサル基盤をこんなふうにペッタリとケースに貼付けちゃうのも珍しいですよね。ちょっと新鮮に見えます。




 そしてVINTAGE CLONE WORKSHOPの復刻ペダル第3弾は、やっぱりTONE BENDERクローンでした。ご覧のように、見た目はイタリア製VOX TONE BENDERの真似なわけですが、やっぱり日本だけでなく世界中で「TONE BENDERといえばこの見た目」が印象的に強烈に残っているようですね。
 ただし、このペダルはVOX TONE BENDERのクローンではありません。回路は3つのOC75を使用した、TONE BENDER PROFESSIONAL MK2の回路を持ってます。このOC75トランジスタですが、画像にもあるようになぜかブラックのロケットケースではなくて、シルバーのアルミ・キャップがかぶせられたOC75を使用しています。最初は「これ、OC76じゃないかな?」と思ったのですが。拡大してみたらOC75と印刷されてたので、多分そうなんでしょうね。

 またヤヤコシイもんを作ったなあ(笑)、と正直思ってしまいましたが、まあそういうニーズがあるのかも知れませんね。なんとこのVINTAGE PEDAL WORKSHOPでは、今後JHSのSHATTERBOX(TONE BENDERにRANGEMASTER回路をくっつけたもの)や、MARSHALL SUPA FUZZのクローン・ペダルも製作予定、とのこと。そこまでJMIにケンカ売るかね?なんて余計なことを思ってますが(笑)、英国製のTONE BENDERクローンにまた新しいラインナップが加わった、という意味では、注目せざるをえない、ってカンジではあります。

all photos courtesy of Vintage Pedal Workshop / Richard Henry Guitars.
 

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