
最近TONE BENDERの話題からちょっと逸れたポスティングが続いておりますが、懲りずにおつき合いいただければと思います。スペイン・バルセロナのMANLAY SOUNDが製作したFUZZ FACEクローン・ペダル、
BABY FACEはおかげさまで赤・青ともご好評いただいております。お買い上げ下さった方々本当にありがとうございます。左の写真は、前回告知しましたが今後使用される「テクスチャー・フィニッシュ」の筐体ペイントです。今後はこのカラーにて出荷されますので、今後ともご愛顧いただければ幸いです。
今回はそのBABY FACEの
限定モデル、NKT275バージョンをご紹介したいと思います。

先日お伝えしたように、BABY FACEのラインナップはトランジスタにBC337を使用したシリコン版の赤、それとPNPゲルマ・トランジスタを使用した青の2つがありますが、ゲルマ版を製作するにあたり、トランジスタを何にしようか、と考えた時に真っ先に候補にあがったのはやはり1966年のオリジナルと全く同じ
NKT275でした。そこで早速、決して安価ではないものの、NKT275を数十個入手し、製作にあたったわけです。
先に結果を言えば、他に試したゲルマ・トランジスタの中でもやはり
グっとくる(笑)サウンドでした。つまり、ゲルマ版FUZZ FACEクローンの中では、NKT275を使用したものはやっぱりイイねえ、これだねえ、と思ったのは事実です。ただし、幾分かのプラシーボ効果があったかもしれませんし、その点は否定できません。

しかし、製品化/商品化する際にはいつくかの問題を解決しなければなりませんでした。まず、NKT275自体が
高価であることです。とはいえ、まだムラードのOC75やOC81D、TI社2G381のようなとんでもない価格というわけではないので、まだその点だけならなんとかなります。
ところが、それに加えてNKT275は歪み値がかなりバラつきがあります。かき集めたとしても、FUZZ FACE回路に使えるものの比率がかなり低いんです(一例を挙げれば、最初に当方が入手したNKT275数十個の中で使えるものは
25%ほどしかありませんでした)。25%しか使えないのであれば、製品にはその4倍の原価を必要とします。また選別に手間もかかり、それはそのまま単純に価格が跳ね上がります。

先日も書きましたが、恐らく同じことを最近デニス・コーネルも考えたハズで、彼も
THE 1ST FUZZ(写真右)を復刻するにあたり「使えるNKT275がなくなったら、THE 1ST FUZZは廃盤にする」と公式にアナウンスしてたそうです。やはり「ナイものはナイ」という基本的なことを思い知らされるワケですね。
んー困ったなあ、これじゃあNKT275では製品にならんなあ、なんてことを当方とROMANで悩んだりしたんですが、まず音という面だけで言えば、前回ご紹介したように他のゲルマニウム・トランジスタ(AC125や日本製の2SB324など)を使うことで、FUZZ FACEらしいサウンドはほぼ再現できました。バイアスをキッチリ整えて、そして場合によっては気温等の環境にも対応するためにトリム・ポットで微調整することで、かなり「決定版」と言ってもよさそうな、ゲルマ版FUZZ FACEが出来たと自負しております。それが前回紹介した「
BABY FACE青」です。

しかし、筆者やビルダーのROMAN氏のように「
NKT275版もやっぱり欲しいねえ」と考えてしまうファズ・クレイジーがそれでも存在するわけで(笑)、そういうマニアのために、NKT275版は「いいトランジスタが入手できた時だけ」製作することにしました。ちょうど、先にリリースしたTONE BENDER MK2クローン・ペダル「SUPER BENDER」に
限定でOC75版を製作したのと同じカンジですね。それがここに掲載したBABY FACE NKT275バージョンです。価格は通常版より高めとはなりますが、いくつか既に完成しておりますので、興味のある方は是非手に取ってみていただければと思います。

なお、当方がその完成版を試した際に感じたことを正直に書けば、音に関しては通常版のBABY FACE青とほとんど同じです。ブラインド・テストしてもわからないだろうなあ、というカンジです。歪み具合とか出力の大きさ、入力レベルを下げた際のクランク具合、そういった面でも(個体差があるのは事実なので、完全に同じ、ってワケじゃあないんですが)ほとんど同じです。
それでも「やっぱりNKT275が欲しい!」という方、トランジスタの銘柄にはコダワリたい、という方がいらっしゃれば、こちらをお試しいただければと思います。
なお、初回に製作したNKT275版はこちらに掲載したように、カラーリングは通常版と同じ青のテクスチャ・フィニッシュとなっておりますが、今後またNKT275版を作るときがきたら、カラーリングはもしかしたら変えるかもしれません。

さて、気の早いファズ・マニアの方には、もしかしたらすでにYOUTUBEにてMANLAY SOUNDの他のファズ・ペダルの新しいデモ映像をチェックされたという方も多いかもしれません。「他の」と言ったのは、「
THE XS FUZZ」と「
THE ALADDIN」という、シリコン・トランジスタ・ベースのファズ・ペダルのことです。これらに関しては(話せば長くなるんですが。笑)次回、その詳細を紹介したいと思いますので、ご期待下さい。
No comments:
Post a Comment