12.16.2010

Black Cat - Tone Bender MK1 Americano

 
 まだまだ続くTONE BENDER MK1クローン研究、というわけで、今回はあの有名なブラックキャットが製作した、MK1クローン「AMERICANO MK1」をご紹介します。
 実は以前こちらのページで、このファズをチラっとご紹介したことがあるのですが、その時書いたことに追加すると共に、今回は実際に実機を手に入れたので、詳細も付け加えたいと思います。

 ブラックキャットは既にアメリカのカスタム・ブティック・ペダルの工房として日本でも有名なブランドなわけですが(日本には、ナインボルトを通じて輸入・販売されているハズです)、正規のラインナップ品とは全く別に、カスタム製作のラインを持っており、このMK1クローンもそこで製作されたものです。なので、日本には出荷されていません。

 多少これまでの記述とダブりがありますが念のため、このAMERICANOというMK1クローンを改めておさらいします。ブラックキャットは試作品として、TONE BENDERのMK1とMK2のクローンを数ケのみ、今年の頭に製作しました。MK1クローンに関しては当時「5ケしか作らなかった」旨アナウンスされていて、そのラスト1ケを当方が買いのがした(笑)ということは、前回に書いたのですが、その後今年の夏になって、「好評なようだから、もう10ケ作ることにした」とのこと。まあ、よくある話ですよね(笑)。ただし、夏以降に再生産されることになったこのAMERICANO MK1では、チョコっとだけラベル・デザインが以前のものとは異なっています(ロゴのあたり)。

 名前に関しては「俺たちはアメリカ人だから、アメリカ製のパーツだけを使って、アメリカンなTONE BENDERを作った。だからAMERICANOなんだ」ということです。
 勿論ブラックキャットはアメリカのエフェクト・ブランドですし、ごもっともな話ではあります。というか、TONE BENDERは元々イギリスで生まれたこともあって、大英帝国の専売特許だ、みたいな風潮もありますよね、確かに。その辺に一矢報いるためかどうかは定かではありませんが、気持ちはわかるような気もします。

 でその中身ですが、まずこのスラントのついた、ゴールドハンマートーン・カラーの施された筐体はオリジナル・メイドではなく、pedalenclosures.com というところで販売されている既製品です。もちろんアメリカ製で、マーシャルGUV'NORなんかよりもちょっと大きいサイズ。かなり屈強な作りです。

 さて回路です。以前も書きましたが、まず人目を引くのが青いキャパシタ。これはSOZOというアメリカのアンプ・パーツ製造ブランドが発売してる最高級品で、ブラックキャットの公式HPでもそのことが触れられているんですが、「コレ1ケ7ドルもするんだぜ!」とのこと。たしかにベラボウに高いですよね。アメリカ人にもそういうところにこだわる人はこだわる、ってことですね。

 そしてトランジスタ。勿論アメリカ製ですが、テキサス・インストゥルメンツ製の2N404を3ケ使っています。余談になりますが、先日当方もアメリカ製の2N404を100ケ程まとめ買いしてみたんですよ(思い切り安かったので)。で、暇に任せて片っ端から100ケ全部の歪み値(hfe)を計測してみたんですが、バラつきが激しすぎます(笑)。モノによっては数十、またモノによっては数百(500、なんてものもザラにあります)という値で、ファズ製作にドンピシャでフィットするようなものを選ぶのは(今では)かなり大変かもしれませんね。

 現在も色んなところでゲルマニウム・トランジスタ単品が販売されていますし、高いものも安いものもいろいろありますが、正直最低でも数十個はまとめ買いして試す、という「ゆとり」がないと、ゲルマニウム・トランジスタを使用して好みの歪みを持ったファズを自作するのは、かなり難しい作業になると思われます。もの凄く親切なショップはテストした後にその歪み値を公開して売ってくれたりもしますが、当然ながらテストの作業代が価格に反映してしまうため、そういうゲルマ・トランジスタはとんでもない値段になったりしますしね。

 余談がだいぶ過ぎたようです。申し訳ありません。回路は写真でもおわかりの通り、ラグ板(しかも、エフェクターの回路ではあまり見かけない、端子が直立で付けられるタイプのものですね。アンプ・ビルダーの方はこちらを使う方が多いですが)に丁寧にセットされていて、正直ここまで奇麗にビルドアップされたMK1回路を他では見た事がありません。やるじゃん、ブラックキャット(笑)。

 他のMK1クローンとの違い、というべきかどうか悩むところですが、ATTACKのコントロールが、他の(通常の)MK1クローンと比べてもなだらかです。通常9時以降は歪みっぱなし、と当方もよく書いておりますが、このAMERICANO MK1は12時くらいまではコントローラブルなカンジです。恐らく、ポットのカーブではなくて、初段のトランジスタの歪み値の関係かな、と思われます。

 肝心の音に関してですが、こちらは今年の夏NYで開催されたアンプ・ショーにブラックキャットが出品した際、(アメリカの有名な楽器雑誌の)プレミア・ギター誌が取材した際のデモンストレーション映像がありますので、そちらを参照いただければと思います。ギターはレスポール、アンプはメサ・ブギーのMK3(?だと思います)というセッティングですが、思いのほかトレブル強めですね。当方が実際に試した印象では、このファズはここまでシャリシャリした音ではありません(勿論アンプやギターのセッティングに大きく影響されますが)。王道のMK1サウンドで、音量もいつも通りの「爆音」です(笑)。
 

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