4.02.2011

Sola Sound - Tone Bender Professional MK2 Reissue (made by D.A.M.)


 アップデートするネタがガンガン溜まってきてしまったんで、あーアレもコレも早くやんなきゃ、とか思ってるウチに、時間はあっという間に過ぎてしまいます。困ったモンです。ここはひとつ自らを冷静にキープするために、ひとつずつ片付けていこうかな、と思います。

 以前こちらで紹介した、イギリスSOLA SOUNDが今年新たに復刻した「金色のTONE BENDER MK1.5」ですが、D.A.M.のHPにて最近その詳細がアップされました。長ーい説明文が英語で記載されていますが、本ブログでクドクドと書いてきたMK1.5関連の記載とほぼ同じ内容なので、ここでは割愛します。最後に書いてある「これが法的に公式の、本物のTONE BENDERですよ」という注意書きが目につく程度で、中身に関しては以前に記載した通りのものです。

 TONE BENDERの商標に関して、一応当方も各所に(つまり、色んな製造元に)よくワカンネエんだけど、結局どうなってんのよ?と確認してみたことがあります。簡単に現状をまとめれば「イギリスでは現在MACARI'Sが商標を持っている」「EU圏とアメリカでは現在JMIが商標を持っている」ということです。当方は法律の専門家ではありませんが、ほぼ同時期に出願が提出され、どちらも1年程で認められているのは事実なので、どっちが正しいか、なんてのは正直イタチゴッコでしかありません。また、以前からTONE BENDERのリイシューを発売していたメーカー(例えばKORGとかJMIとか)の商品発売を、他社が後から差し止めることも出来ないワケですね。(4/19追記:先ほど確認したのですが、今年の2月から、イギリスにおけるTONE BENDERの登録商標は、それまで権利を保有していたD.A.Mのデイヴィッド・メインから、SOLA SOUNDのブランドを持つMACARI'S社に移譲されたようです)

 ギター業界でもちょっと前にモズライトというブランドをめぐって「商標がどーしたこーした」でかなり大きな問題になったことがありましたね。それとは状況が違いますけど、TONE BENDERに関して言えばどこの誰も「ケシカラン、裁判にすっぞ」と息巻いている人がいるわけではないようです。1965年、名付け親でもあるゲイリー・ハースト氏が一番最初にその商品名を使って以来、色んな人/色んな会社がTONE BENDERと名のついたファズをパカパカと発売してきたことはここ40数年間変わらない事実でもあるわけですが、当然のことですけどSOLA SOUNDが作ったTONE BENDERはSOLA SOUNDからしか出ていません(笑)。

 さてさて、やっと本題に入ります。今回はそのSOLA SOUNDが(D.A.M.に製造委託して)作ったPROFESSIONAL MK2の最新版リイシューです。告知されてすぐにオーダーしたのに、2年待たされたあげく、なんだか違うモノが届いた、と書いてきたブツですが(笑)、その後ほどなくこちらのMK2のほうも手元に届きました。こちらの商品説明も、D.A.M.のHPに新たに詳細がアップされていますが、その説明もこれまで当方がクドクドと書いてきたことと全く同じなので、ここでは割愛します。

 こちらに掲載した広告写真はSOLA SOUND(何度も書いてきましたが正式な社名はMACARI'Sという名前で、ロンドンにある楽器店です)が出したものですが、ここに面白いキャッチコピーが書いてあります。いわく「サステインは20秒!」「絶対壊れない筐体!」「シタール、バイオリン、オルガン、チェロ他、木管楽器のサウンドをシミュレート!」とか、なんだか凄いことになってます(笑)。そして同時に気になるのが「新しいサーキット・デザイン」と書かれていることで、これは勿論トランジスタにOC84を使っていることを指すと思われるのですが、広告上ではそのことには触れていませんね。

 以前も触れましたが、現在のSOLA SOUNDのTONE BENDERは、広告にあるようなチキンヘッド・ノブではなく円形でトップ部分にアルミのカバーがあるモノが使用されています。今回当方が入手したものもこれになります。シリアルは「235」とあります。どうも確認したところ、D.A.M.は最初に100ケ、次に追加で100ケ、そして今回また追加で100ケ作った模様です。3回目のロットからはラベルやノブが全部変更になったということですね。中身は初回/2回目のロットとまったく同じです。重複しますが、トランジスタはシルバーキャップの英国MULLARD製OC84が3ケ、です。

 さて、音ですが、当方の印象を書けば、「D.A.M.が以前リリースしたPROFESSIONAL MK2とほとんど同じ」というカンジです。そりゃあ同じ人間が同じ回路で作ってるんだから当然ではありますね。筐体の違いとか、トランジスタの違いとか、そういうのが影響するのかな?と思っていたのですが、結果的にはサウンドにそれほど影響があったわけではありませんでした。

 ただしひとつ今回新たに感じたことは、今回入手したSOLA SOUND MK2リイシューは「出力の弱いピックアップを使った時のみ、ギターのボリュームに敏感に反応する」ということが判りました。実は既に当方が所持しているD.A.M.製のMK2ではそういう現象がおこりませんでしたが、今回のMK2ではそれが確認できました。同じストラトを使って両方で試してわかったことですが、そうは言っても「どちらがいいか」は人によると思われます。

 というのも、今回のSOLA SOUND MK2では、たしかにギターのボリュームを絞れば急激にストンと歪まなくなるんですが、その音はちょっと細すぎるキライがあります。また、あまりに急激に反応するので、微調整するのがほぼ困難です。逆にギターのボリュームをグイと振り切れば、その歪みのサウンドの傾向はD.A.M. MK2と同じだったので、これはもうファズの「個体差」の範疇だと思われます。

 ここで一応確認の為に書きますが、上で書いた「ボリュームへの追従性」ですけど、勿論それはMK2とMK1.5(=FUZZ FACE回路)ではもともと全然違いますし、MK1でもまたさらに全く違います。なんといっても「最も原始的な構造の」歪み系エフェクターなわけですから、近年開発されたエフェクターのように簡単に微調整ができる類いのモノではありません。それに関してはTONE BENDERと名のついたエフェクター全てに当てはまることだと思います。

 最後に、一応D.A.M.のHPでこのD.A.M.製SOLA SOUND PROFESSIONAL MK2のサンプル・サウンドを聞くことができます(蛇足になりますが、現時点でもSOLA SOUND=MACARI'Sの公式HPは「ただいま準備中」とだけあり、何も見ることができません。笑)。また、同じく以前D.A.M.がリリースしていたレプリカ「PROFESSIONAL MK2」のサンプルも聞けますので、比較するのに多少役立つかもしれません。ただし、いずれも楽曲の完成度があまりにも高いことが逆効果となって、ファズ/エフェクターのサンプルとしてはちょっと参照するには難しいモノがあります(笑)。でもどちらもカッチョイイ音ですよね。
 

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