3.03.2011

Sola Sound - Tone Bender MK1.5 (Gold Finish made by D.A.M.)


 前回JMIに関するご報告をしてから、各所から販売に関するお問い合わせを頂いておりますが、価格や在庫に関しては、実際に入荷してから決めようと思いますので、詳細に関してはもう少々お待ち下さい。なお、第1便はまもなくイギリスを出るよ、と報告を受けてますので、到着次第いそいでご報告させていただきたいと思います。

 さて、そんなJMIからちょっとだけ離れてD.A.M.関連の話題です。以前こちらのページでも書いたのですが、D.A.M.がSOLA SOUNDのために作っているTONE BENDER PROFESSIONAL MK2のことです。先日SOLA SOUNDから「お前の分がやっとできたぜ。買うだろ?」というメールをいただきました。

 「ったく、2年近くまったぜ。金は今送ったから、早く日本に発送してよねん」という返事を出して数日後、やっと届きましたので、それを改めてご紹介・・・と思っていたのですが、なんだか状況が混乱してたようで、想定していたものではない、ヘンなブツが届きました(笑)。それをご紹介しようと思います。
 なんと今回届いたTONE BENDERは金色でした。え?きいてないんスけど。デイヴィッドが勝手に金色に変えちゃったのかな?もしかしたらSOLA SOUNDが変えちゃったのかな?その辺はわからないママでしたが、他にもデザイン上の違いが散見できますよね。

 まずノブ。これは恒例の黒いチキンヘッド・ノブではなくて、ご覧のようにちょっとデカめの円形のノブに変更になってますね。おそらくこの変更に関しては、以前も掲載した「1966年の、オリジナルTONE BENDERの広告に掲載されたモデル(下の写真参照)」のノブを複製したもの、と考えられます。実際に当方のもとに届けられたこの個体以外にも、同時期に出荷/販売されたシルバーのMK2では、このノブが採用されていることが確認できるので、おそらく正式なパーツチェンジ、ということだと思われます。

 でも、PROFESSIONAL MK2なのに、なんで筐体のラベルはMK1.5みたいに「TONE BENDER」の文字だけなんだろう?というのは不思議に思いました。裏蓋を見てみると、シリアルナンバーの入ったステッカーが貼ってあって、そこには029と数字が書いてあります。あれれ?オッカシイナア。たしか最初に100ケ作って、今回のブツはその後のロットになるから、100以上の数字じゃないと理屈にあわないンスけど。なんて思いながらも、まあデイヴィッド・メインのことだから、どっかで自分なりの線引きをしてるのかな、とも想像しました。しかし、懸念はこの後解消されるどころか、ますます深まってしまいます。

 早速裏蓋を開けました。アレレ?ちげーぞコレ。なんと回路がMK2ではなくて、MK1.5の回路になっていたのです。トランジスタは、現在D.A.M.製TONE BENDERで最も使用頻度の高い、英国ムラード製OC84で、これはMK2でも使用されているものですが、しかしなぜMK1.5回路?不思議です。

 余談ですが、ポットはイギリスのCITECというブランドのパーツです。またこれは既に本サイトではすっかりお馴染みですが、ジャックは英国クリフ製の黒いプラスティック・ジャックです。

 そこでロンドンのSOLA SOUNDに早速この件を問い合わせしました。「あのー、俺がオーダーしたのMK2なんですけど? 何よコレ、勝手にラインナップ変えちゃったわけ?」……ホントはもうすこし真面目な英文(笑)で質問を送ったのですが、回答は以下の通りでした。

 「スマンスマン、なんかどっかで間違っちゃったみたいだ。お前の分のMK2は確保しとくからすぐ送るよ。でも、お前そのMK1.5どうする?持っとく?返品する? ちなみに、今から同じ商品(MK1.5)オーダーしたら、また1年くらいかかると思うよ。レアだぞ、それ」

 チクショーなんだか百戦錬磨の営業マンの上手な口車に載せられたみたいでちょっとだけクヤシイのですが(笑)、結局MK2もこのMK1.5も両方買う事にしました(笑)。
 さて、肝心の音です。D.A.M.製のMK1.5といえば、今でも流通している「1966」というファズがありますが、それとの比較が気になるところです。簡単に言ってしまえばサウンドはその1966の「SUPER BEE」モードの音に最も近く、例によってトップエンドはまろやか、でもMK1.5回路なので歪みはひかえめ、というなかなか面白いサウンドです。

 しかし、他のMK1.5回路のTONE BENDERとの違いは、こちらの金色のMK1.5は「あまりギターのボリュームに反応しない」ことが挙げられます。1966を紹介した際にも書きましたが、敏感にボリュームに反応するわけではなく(とはいえ、全く反応しないわけではないので不良ではありませんが)、これはこういうサウンドを狙った回路なんだろうな、と思われます。たとえばVOXのイタリアンTONE BENDERのようなカリンカリンにクランチするサウンドとは全く違う傾向を持っていて、その点はD.A.M.の1966と同様です。

 ただし、そのD.A.M.「1966」では内部にトリム・ポットが採用されていましたが、こちらの金色のMK1.5ではトリム・ポットは採用されていません。純粋に、オリジナル通りに組んだ回路、ということになります。なので、基盤上にはパーツは9ケしか搭載されていません。

 ちなみに、現在イギリスのSOLA SOUND(MACARIS LTD.)はホームページがお休み状態なので、今どんなラインナップが発売されているかを確認する術がないのですが、金色のMK1.5なんてモノはこれまでアナウンスされていませんでした(SOLA SOUNDのスタッフも、そんなことは全く言っていませんでしたし)。もしかしたらこれが新製品として今後ババーンと発表されるのかもしれませんね。
 金色のMK1.5、といえば、以前触れた「オリジナルと思わしき金色のMK1.5」がすぐ思い出されます。このTONE BENDERが世間に広まってから、なんだかTONE BENDERのリイシューも新たに騒がしくなってきた気がします。例えばJMIが金色のMK2を(ムラードのOC75を3ケ使った高級モデルとして)発売したり、時期を重ねるようにしてSOLA SOUNDもこんな金色のMK1.5を復刻したり、という具合に、です。

 最後になりますが、実はこの金色のMK1.5が入った箱の中にはSOLA SOUNDのメッセージが添えられており、「新しい“金色の”TONE BENDERをお買い上げありがとうございます。我々は現在、よりハイエンドなプロダクツを製造すべく、諸処の変更を検討しております。2011年、我々はエキサイティングなプランを進行しており、まもなく発表するでしょう。ご期待下さい」などという、なにげに意味ありげ(笑)な文面がありました。
不躾ながらも「ちょっと何よこれ?」とメールでSOLA SOUNDにそのタクラミを聞いてみましたが「まだ内緒だね」などという、これまた思わせぶりな返事しか貰えませんでした(笑)。
 

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