8.21.2011

some 'bout 65 Bender Special Limited Edition

 
 今月も、なんとか、多分、無事発売されると思います。8月末にシンコーミュージックから発売になるTHE EFFECTOR BOOK最新号を、先出しでお知らせしたいと思います。

 今号の大特集はデジタル/ディレイ&ルーパーという括りです。以前アナログ・ディレイ特集が3年前の同誌「VOL.3」でありましたが、今回はデジタルです。もちろん「アナログのディレイ音をシミュレート」という機能も気になるところですが、デジタル処理でのみ可能になるトリッキーなディレイ・プレイ、そして「ルーパー」という(10数年くらい前までは存在さえしなかった単語ですよね)サンプリング機能を活用しよう、という特集です。エフェクター本ですが、プレイ面でのいろいろな特集もあります。
 そしてベテラン・ギタリストのインタビュー・コーナーには、なんとあの灰野敬二氏が登場。恐ろしくカッコいいトビラ写真も見物ですが、さすが日本を代表するアバンギャルド・ギタリスト。日本のみならず世界中で活躍するギタリストでもある氏の発言は必読です。個人的にすげー面白かったです。
 また、ちょうど来日していたスティーヴ・ヒレッジ氏を緊急捕獲、インタビューが実現しました。現在はシステム7というテクノ・プロジェクトで成功した彼ですが、当方みたいなオッサンにはもちろんゴングという恐ろしい(こればっかですね。笑)サイケ・プログレ・バンドのギタリスト、ということで認知があるかと思われます。その斬新な機材セッティングも注目ですね。
 そんなわけで今月末に発売されるTHE EFFECTOR BOOK最新号をご期待下さい。



 さて。MANLAY SOUNDに無理言わせて(笑)作ってもらったTONE BENDER MK1クローン「65 BENDER 限定版ウッドケース・バージョン」に関しては、先だってこちらこちらでご紹介した通りですが、いくつか小さなコボレ話といいますか、ヨタ話を書いてみようかな、と思います。あらかじめお断りしておきますが、以下の文はあまり真剣にファズのことを研究したようなモノではないので、興味ない方は飛ばして下さい。

 ご承知のように、今回ウッドケースにしたのは当方のリクエストではありましたが、このケースを作成した職人さんと相談していた時「なんの木を使うか」はいろいろ案がありました。たとえばバリバリに虎杢の入ったメイプルなんかを使えばそりゃあハデになるだろう、とか、また家具調を意識するのならやっぱりマホガニーなんじゃね?とか、そういう話です。結果としてケヤキ&クルミとなったのは、勿論木材の費用の問題もありました。そしてナチュラル・フィニッシュにした際の見た目の奇麗さ、ということもあります。
 なぜ木目そのままのナチュラル・フィニッシュなのか。これも理由は簡単でして、一旦は木材にツブシ塗装をすることも考えたのですが(真っ赤なMK1とか、真っ青なMK1とか、そういうのも面白いかなあ、と。笑)、シーラー処理、下地塗装&クリア塗装、そして研磨処理、とやっていれば費用が膨大にかかってしまうからです。オーダー・ギターのように価格の高いものならともかく、1ケ数千円(それでもエフェクターのケースとしてはベラボウに高価ですよね)の木製ケースにそこまでは望めません。

 スペインのROMAN GILと当方で「筐体をウッドケースにしよう」と同意した後、「ウッドケースならやっぱりMK1プロトタイプみたいにスイッチ付けようか」なんて話も出ました。そうすれば見た目はMK1プロトタイプとそっくりになるわけですよね。でも当方としてはあのヘンテコな位置に存在するインプット&アウトプット・ジャックはさすがに許せませんでした(笑)。それはともかく、じゃあスイッチは何の機能にする?という話になって、バッファー機能を付けるとか、インピーダンスの切り替えに使うとか、ハイパスのスイッチつけようか、とかそういう話にもなりました。
 結果は既にご覧頂いたように、スイッチに関しては諦めました。それほど効果的なモノにはならなそうだから、という単純な理由です。

 トランジスタに関しても既に書いたとおり、オリジナルのOC75+2ケの2G381、これしか念頭にはなかったわけですが、音のリクエストを出した際に、別なトランジスタの組み合わせのほうが結果がいいかもよ?ということで、実は製品版とは仕様が違う試作品が手元に数ケあります。それはOC75を2ケ使ったもの、それからシルバーキャップのOC76を混ぜて使ってみたもの、があります。個人的印象ではありますが、音はどれもほぼ同じ(!)でした。ただし、すでに木製ケースの65 BENDER限定版は「オリジナルMK1と同じトランジスタ構成」と銘打ってあるので、上記したこれらはあくまでも試作品ということになります。製品として出荷するものはOC75と2G381を使ったものになります。

 ノブですが、これは結構難儀しました。というのも、最初はオリジナル同様にVOXのメタル・アンプ・ノブを使おうと思ったんです。アメリカの某所でそのノブのレプリカが売っているのですが、スゲー高いんですよ。1ケ3000円弱、というカンジです。さすがにそんな金は払えません。なので、代替品を探す必要にせまられました。
 話が逸れますが、現在イギリスのJMIではオリジナルのMK1プロトタイプの完全復刻版(ゲイリー・ハースト本人の監修)というペダルを作っているわけですけど、彼らもノブの入手に難儀しているようです。最初の数十個はオリジナル同様にVOXのアンプ・ノブを使っていたのですが、彼らもすでに手持ちがなく、結局現在はアルミ製の別なノブに変更されています。

 それと同じモノを使うのもなんだかなー、ということで別なノブ探しに迫られたわけです。一時は安直に「ストラト用のコントロール・ノブでメタルのがあるから、あれでいいんじゃね?」とか思ったのですが、実際にそれを入手し、付けてみたところ、「ダセーな」ということで当方もスペインのビルダーとも意見の一致を見ました(笑)。いろいろ検索しまくって、結果的に今回のノブを見つけたわけですが、ちょっとだけFENDER BLENDER(フェンダー社が60年代後半に発売したファズ)っぽいメタル・ノブです。これならシブいね〜、なんて話になって採用してみました。地味で無骨なウッドケースのTONE BENDERクローンですが、このノブのおかげでちょっと印象的なルックスになったかな、と思っています。もしお気に召さない、という方がいらっしゃれば、申し訳ありませんがご自身でなんかいいノブに付け替えてください(笑)。

 そして、実は現在進行形で進んでる話というのもありまして、実は今回最終的にスペインから日本に荷物が到着した際に、数個だけエフェクターのケースが破損してた、という事故が起こってしまいました。既に輸送会社との交渉も終わり、現金で補償されるという形で話のケリはついているのですが、その数ケ分のケースをこれから新しく用立てなければなりません。なんといっても苦労してカキ集めたパーツ、それからスペインのROMAN GILに無理言ってやってもらったプロジェクトですから、キッチリ奇麗に完遂させる義務が当方にはありますし。
 結構長い時間をかけたプロジェクトになった「65 BENDER限定版」ですが、既にご予約いただいた方には発送し、手元にある残りの在庫に関しても半数ほどは売却先が決定しています。もし興味を持たれた方はご連絡いただければと思います。

 なおお恥ずかしい話ですが、今回のプロジェクトは結構な赤字でして(笑)。つまり全部奇麗に売れても赤字なんです。そんなのはこちらの事情なので無意味な余談ですが、金銭的にキツいのも事実なわけで、急遽昨日手持ちのD.A.M.の1966MK2をヤフオクで売りに出しました。もしそっちのほうに興味のある方は、是非(笑)。追記:ともに販売済みとなりました。お買い上げいただいた方、有難うございました。
 

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