9.29.2011
JMI - Dallas Rangemaster Reissue
さて、RANGEMASTERに関して今回も続けます。オリジナルに関しては、中身やユーザーを含めて過去に書いてきた通り、そして当方は魔法の箱等と形容してますが、もうすでに有名なエフェクターなので、実はそれほど改めて発見したりすることはないかもしれません。随分昔からクローン製品が沢山ありましたしね。
ですが、イギリスのJMI社から、2009年にこのRANGEMASTERの復刻品が発売された時はビックリしました。中身はもちろんですが、外身、つまり筐体までオリジナルと同じように作ってあったからです。今回はその復刻品のご紹介です。
とかいいつつ、いきなりですが既に面倒臭いことに(笑)現JMIからはRANGEMASTER、もしくはTREBLE BOOSTERと呼ばれるエフェクターが今5種類もあって(笑)、全部RANGEMASTERの回路だったりもします。その辺をキチンと整理しつつ、順に見ていきたいと思います。
1. まずは一番基本となるJMI RANGEMASTER復刻品です。ご覧のように完璧に見た目が復刻されているばかりでなく、回路や箱まで(!)オリジナルと同じ様に作られました。とはいえ、今は当時と時代が違います。故に一部のパーツは違うものが使われています。
トランジスタはシルバーキャップのOC44ですが、これはMULLARD製品ではなくて、おそらくNKT製のものかと思われます。60年代のゲルマニウム・トランジスタのNOSパーツです。また。ポットは現在一般的なフツーの(笑)ポットに、そしてキャパシタもイエローキャップの新品が使われています。
ちなみに、電池の交換は後ろの真鍮色のパネルにある6角ナットをはずして簡単に行えますが、写真にあるように回路/基板部分を写真撮影しよう、と思った時には、筐体の底にあるネジを5つ外して、筐体上部分をズズズズっと滑らせて外します。正直これがスッゴイ面倒です(笑)。
オリジナルもそうですが、筐体背面から延びているアウトプット・ケーブルは、長さが40〜50cmくらいしかありません。なので、これを直でアンプに刺すためには、RANGEMASTERは当然ながらアンプの上とかそばに置かないといけませんよね。そういう所までこのリイシュー品は律儀に復刻されていますが、正直使うにはやっぱり多少の面倒さはあります。
2. 上で「基本となる」と書きましたが、それとは別に限定版として、2010年にJMIは限定で、60年代の英国MULLARD製ブラックキャップ・トランジスタを用いたRANGEMASTERを制作/発売しました(たしか20ケか25ケか、そんな数だったと思います)。しかもそれは2種類あって、ひとつはMULLARD OC44を用いたもの、もうひとつはMULLARD OC71を用いたもの、というわけです。
TONE BENDERで英国MULLARD製トランジスタを採用した時もそうでしたが、やっぱりお値段は高いです。それは純粋に英国MULLARDのトランジスタがもう殆どないから、につきます。当方でも一応このOC44、OC71版両方とも各1ケずつ仕入れましたが、今後仕入れるかどうかは決めていません。もし興味をもたれた方はお問い合わせ頂ければと思います。
3. 以上のような復刻精神に熱をいれた(笑)リイシュー品とは別に、もうちょっとコンテンポラリーな仕様のトレブル・ブースターもJMIから発売されています。
まずは、RANGEMASTERとまったく同じ回路を、TONE BENDERと同じ筐体にブっ込んでみた、という JMI TREBLE BOOSTER があります(写真左)。このエフェクターに使用されたトランジスタは一番上の「基本の」RANGEMASTERと同じ、NKT製OC44ですが、当然のように「足でオン/オフできる」というデカいメリットがある訳ですよね。この製品は価格も1.のRANGEMASTERと同じなんですが、生意気を言わせてもらえれば、それほどカッコイイとは思えません(笑。そういうわけで当方ではこの3.のトレブルブースターは取り扱いをする予定がありません)。
4. まだあります。JMIは最近、ちっちゃい筐体にRANGEMASTER回路をブッ込んだ PLAYER'S SERIES TREBLE BOOSTER を発売しました。こちらはNPN回路にするために、トランジスタにはAC127が使用されています。LEDインジケータ付き、そして9Vアダプター使用可能、そしてなにより圧倒的に小さい筐体(MXRより小さく、薄いです)に収まったこのペダル、さすがに使い勝手は最高です。こちらは新製品でもありますし、JMI製品中最もお手頃な価格ということもあって、既に取り扱いしています。
商品の紹介は以上になりますが、もちろんこの復刻版RANGEMASTERは、イギリスJMIがそのデモ動画をいくつか作成していますので、ここに2つ動画を上げてみます。
左側は、上記ナンバリングでいうところの「1.」のRANGEMASTERのデモ動画です。復刻品のノーマル版、というヤツで、トランジスタにシルバーキャップのOC44を用いたものです。ご覧のように、ギターはテレキャス、アンプはJMIのAC30/6TB復刻品を使っていますね。それと、右側のほうの動画は英国MULLARD製のブラックキャップOC71をトランジスタに用いて超限定版として制作されたもの、の動画です。こちらの動画はトランジスタの違いがどうエフェクターに反映するか、を比較できるように載せてみました。似たような音といえば似たような音ですが(どちらもRANGEMASTERですから当然ですけど。笑)、中のテロップで説明されているように、OC71のほうが「歪みはちょっと弱い、でもそのかわりエッジがより強調される」と書いてありますね。パリパリした印象があると思われます。ただし、マイキングのせいで左(OC44)の方はやや残響音が厚めに入ってしまってるので(録画した場所の問題かも)、単純に比較できませんが、言わんとしていることはお判りいただけるのではないかと思います。
さて、最後に余談をいくつか。上記した2.の「高級版」RANGEMASTERには、さらに少数限定で「イエロージャケットのMULLARD OC44トランジスタ」を用いたものもありました。限定10ケだったと思いますが、当方がJMIのディーリングを始めたときには既に全部売り切れになっており、今はもう作っていません。へー、こんなトランジスタがあったんですね。知りませんでした。
それから、以前もチョロっと書きましたが、現在のJMIは「DALLAS RANGEMASTER」を商標登録しています。なので、最初にJMIがRANGEMASTERを復刻した時に、65年のDALLAS製オリジナルとおんなじラベルも復刻できたわけです。その後この箱のラベルは無くなってしまったんですが、先日「あれ、可愛いからまたあの箱で出荷してくんないかなあ?」と本国にリクエストを出しました。「ん、わかった。検討してみる」とのことです。たかが箱、されど箱(笑)、というわけで、またピンク&白のラベルにお目にかかれると嬉しいですね。
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