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10.07.2015

Tone Bender MK1 (1965) - early Dry Lettering era

 
 久しぶりにTONE BENDER MK1のオリジナルに関して書いてみようと思います。製品版TONE BENDERがこの世に登場したのが1965年の夏。その当時のお話です。

 以前も書きましたが、開発者ゲイリー・ハーストは、木製の試作品10ケを経て、製品版として金属のケースに入れたTONE BENDERを作ります。これはゲイリー・ハースト個人で作ったもので、それが世に出た後に「じゃあウチで売ってあげるよ」とサポートを願い出たのがSOLA SOUNDS社でした。
 さすがに何度も同じことを書くのはためらわれるので、その辺のイキサツはゲイリー・ハーストのインタビュー、もしくは「SOLA SOUNDのタイムライン」あたりのポスティングをご参照いただきたいのですが。で今回のネタは「丁度その前後で、MK1にも些細なモデルチェンジがあった」ことです。

 金属ケースに入れられて発売された最初のTONE BENDERは、ドライレター・トランスファーで文字が印字されていました。ドライレター。ええ、日本語として馴染みのない言葉ですよね。簡単にいえばインレタ(インスタント・レタリング)というやつでして、文字ひとつひとつを切り貼りしてペタペタっと貼付けるものです。ごく初期に製造・出荷されたTONE BENDER MK1はそのために「文字の位置が全然揃ってない」「文字が(今では)ほとんどはがれ落ちてしまってる」というものが多いのは、そのためです。この「インレタ仕様」のMK1には、「SOLA SOUNDS LIMITED」の文字は入っていません。

 また、インレタ時代のラベリングは書体(いわゆるフォント)にも統一性がありません。現在復刻版等で見る事の出来る、縦長で太いゴシック系書体のものが一番多いことは事実ですが、ほんの少しだけ「細い書体」のMK1も見つける事ができると思います。この「細い書体」のものは「TONE BENDER」という文字が2段に(改行されて)ラベリングされてるので、一発で違いが分かるとおもいますが、いずれもTONE BENDER MK1という製品の歴史においては「ごく初期に」作られたものであることも間違いありません。

 インレタ仕様のMK1は数ケくらいしかないと言われていますが、ネットやらなんやらで検索すると、今も数ケ現存することが確認できるので、実際には当時もう少し作られたのかも、と個人的には考えています。ここに掲載した5枚の「初期型」TONE BENDER MK1はいずれも先日eBayにて販売されたものの画像なのですが、ラベルの“食いつき”をよくするために、レタリングの下の部分だけ削ってありますよね。さすがに50年以上経過した製品なので、今となってはこんなカンジでちょっとブサイクな見た目になってしまうのですが、まあこれもまた歴史の重み、ですよね。

 その後、例の太くて縦長の書体になったMK1ですが、そこには「SOLA SOUNDS LTD.」の文字も小さく入っています。そちらは手作業のレタリングではなく、シルクスクリーン印刷になりました。つまり現在エフェクター製品でよく見る印刷方法とほぼ同じものです。上からクリアの塗装を吹くので、文字が消えにくくなっているわけですね。シルク印刷なら、小さな文字も容易く印刷できますし。

 さてさて、以下はD.A.M.のデヴィッド・メインが以前言っていたことの受け売りになりますが、まだTONE BENDER MK1の印刷方式がインレタだった時代は、その回路の数値も違っていた、という説があります。これも以前触れた事がありますが、簡単に言えばインレタ時代のものは「出力が小さい」というものです。

 実は当方はこのインレタ時代のMK1を実際に手にしたり見た事がありません。持ってる人を2人ほど知っていますが、2人とも「音が小さい」こと=回路の数値が一部異なっている、と教えてくれました。実際に回路を確認してもらって事実であることは間違いないです。しかし、その確認は2ケしかできていないので、インレタ時代が全部「音が小さい」かどうかはちょっと断言できません。

 そのひとりがPAISLEY TUBBY EFFECTSというエフェクターブランドをやっているイギリスの人なのですが、彼は自身の所持機(=出力が小さいMK1)をそのまま復刻してクローン・ペダルを発売した、というのは以前書いた通りです。

 当方が所持する65年製のオリジナルMK1はシルク・スクリーンのラベルがあるものなので、出力は普通にデカいです。「65年頃にジェフ・ベックが使ったMK1はおそらく出力の小さいもの(前期型)」「ミック・ロンソンが70年代に使ったMK1は出力が大きいもの(後期型)」というのは、その出音でしか判断できないので、説としてはかなり有力ですが、写真他の証拠がある話ではありません。でも当方も多分その説は当たってるだろうと思うのですが。

 さて、余談を2ケ程。TONE BENDER MK1の回路はもう50年も前に作られたもので、いささか、いや、確実に「時代遅れ」です(笑)。当ブログでお馴染みのMANLAY SOUND製復刻品(限定版のほう)とか、JMI〜BPCが現在も作っている復刻品は、その時代遅れの回路をそのまま現代でも踏襲しています。つまり、現代のエフェクター回路製作の常識としては危なっかしい(笑)作り方なわけで。その回路を先日某クラフトマン(アンプなんかも作る方だそうです)が見たところなんだこれはと仰天してしまった、というエピソードを聞きました。楽しいですよね(笑)。

 そして最後に、MK1を使ってる72年当時のミック・ロンソンの写真を1枚張っておきます。彼が使用したMK1がかなりズタボロなのがご確認いただけると思います(この時はまだかろうじて塗装が残っていますが)。日本公演のころ(73年春)にはもう殆ど塗装なんて残ってない、という状態になってますが、その後これをどっかから落として壊してしまい、一度全部作り直した、という話も以前書きましたよね。1973年夏以降、ロンソンがTONE BENDER MK1を使わなくなったのは、アンプを変えたことにプラスして、壊れて修理したいえども、MK1の音も構造も「もう時代遅れになったから」だろうと思われます。何と言っても上記したように、その回路の構造上、過酷なツアーとか持ち運びにはとても不向きな、危うい構造だからです。
 

10.12.2012

[SALE] JMI Tone Bender MK1 - Mick Ronson Sig.


 さて、前回チラリと告知しましたが、英国JMIの製品のアウトレット・セールです。チマチマとやってる当ブログですし、セール、と言ってみた所で大々的にやるようなモノではないのですが(笑)。

 今回のブツは、4ケのみ限定、ということになりますが、JMIのTONE BENDER MK1リイシュー品のミック・ロンソン・モデルのアウトレット品です。2010年にリイシューが始まったMK1ミック・ロンソン・モデルですが、新品で売り出すのはこれが最後になります。つまり、もう作ってないんですよね、JMIでは。

 以前当ブログにてこのモデルの2010年版を紹介した時の仕様と比較いただければより判り易いとは思うのですが、今回のこの4ケの「何がアウトレットなのか」を以下に記します。まず大きなポイントは「木製の化粧箱がない」ことです。
 既に「ミック・ロンソン・モデルは作ってない」ことを以前にJMIから聞かされていたんですが、「だって通常版MK1はあるんだから作れるでしょう?」と質問してみました。そしたら「木箱がもうない」ていうことになってたんですよね。

 さらに、当初と違う点があります。それはトランジスタです。2010年の段階では、ブラックキャップのOC75が1ケ、それとテキサス・インストゥルメンツ製の2G381が2ケ、という合計3ケのトランジスタを使っていました。これが、今回のブツでは初段がOC75ではなく、無印(註:おそらくRCAかTEXAS INSTRUMENTS製だと思うのですが、文字が読めませんでした。ご覧のように、シルバーのTO-5ケースに入ったモノです)のゲルマ・トランジスタとなっています。後段2ケはそのまま2G381なんですが、何故初段を変更したかは理由が判りませんでした。
 基板上の他のパーツとの接触を避けるため、写真でご覧頂けるようにトランジスタの下に絶縁用のテープがペタッと貼ってあるのがわかります。今回販売するもの4ケとも、全てこうなっていますことを予めご了承下さい。

 もちろん気になるのは「音が違うのかどうか」ですが、今回の4ケ、全部試してみたところ、いつも通りのJMIのTONE BENDER MK-1の音でした。やはり、TONE BENDER MK1の回路、そしてその回路の核となる後段のトランジスタにオリジナル通りの2G381を使えば、こういう音になるんだな、とあらためて確認できました。当然当方が持っている2010年版のMK1ミック・ロンソンSIG.とも比較しましたが、音には違いがありません。以前から「JMIのMK1のサウンドは、トップエンドがややシャーシャーする」と書いてきましたが、今回の4つもその点もまったく同じです。音のクオリティーは他のJMI製品と同じです。ただし、初期のブツとはトランジスタが違うことも事実です。

 さて、この限定4ケのアウトレット品は、新品として販売するものではありますが、長いあいだJMIのファクトリーで放ったらかしになっていた鉄製ケースを使って製造したものなので、若干の塗装カケがあります。写真で撮影した部分は、今回4つあるブツの中でも一番デカい塗装カケ部分の写真です。ネジ穴の下のところがチロっと禿げている部分です。これより大きなカケはなく、他は至って新品同様ではありますが、現在の状態で既にこんなカンジであることを予めご報告させていただきました。

 そして最後の写真でご覧いただけるように、ファズ本体以外の付属品は、ミック・ロンソンの伝記本「THE SPIDER WITH THE PLATINUM HAIR」、そしてミック・ロンソンの生写真、以上になります。今回はアウトレット品なので、JMIの証明書等は付きませんが、製品シリアルをこちらで控えておきますので、勿論保証等はこれまで当サイトを通じて販売したもの同様に対処させていただきます。

 価格は40000円(送料/税込)とさせていただきます。最初にも書きましたが、4ケのみです。もしご希望の方がいらっしゃれば、こちらまで直接メールにてお問い合わせいただければと思います(ただし勝手ながら匿名でのメール/ご質問には基本的にお答えしていません。お名前の記載をよろしくお願いします)。

 限定数での販売/先着順、となりますので、売り切れの際はご了承下さい。また、JMI製品では他にもアウトレット品を用意するつもりですので、今後の続報もご期待ください。



 11月16日追記:上記のJMI TONE BENDER MK1 MICK RONSON SIGNATUREのアウトレット品は完売しました。お買い上げいただいた皆様、有難うございました。
 

3.24.2012

Manlay Sound - 65 Bender (Limited Metal Enclosure)


 以前チラリとご紹介したのですが、限定2ケ、というフザけた製造数にて(笑)つくりました、MANLAY SOUNDのMK1クローン・ファズ、65 BENDERの鉄製ケース入りです。実は既に1ケはお問い合わせいただいたショップさんに販売してしまったので、手元には1ケしかありません。今日の時点では、最後の1ケを売るかどうか決めてません。

 中身は木製ケースの65 BENDER限定版とまったく同じモノで、トランジスタはブラックキャップのOC75と、NOSパーツのテキサス・インストゥメンツ製2G381を2ケ、という構成で、ご覧頂けるように配線もオリジナルMK1と同様のタコ足配線になっています。なので、音は木製の限定版と同じです。あとは気分の問題、ですよね(笑)。

 お買い上げいただいた方ならご承知かと思いますが、限定版の65 BENDER(鉄製ケースも木製も)は、通常版のモノとは若干音が違います。それは勿論こちらで以前書いた通り、ちょっとだけ違う音を狙ったからという原因が大きいのですが、当方の所持するオリジナルの65年製のTONE BENDER MK1との比較において、やはり「どちらが近いか」と言えば限定版のほうが近いです。

 ただし、当方の所持品だけではなく、他にオリジナルのMK1を所持されている方に話を聞いたりすると、やはり個体差ってのが大きいらしく、「もっとダーク」な印象のものとか、「もっと歪まない」モノ、なんていう個体もあるようです。それに加えて、一部回路の差異が確認できている例の「初期型」の中には、音量も(おおげさに言えば)半分以下程しかない、というブツもあったりするので、「これが完璧なMK1クローンだ」等ということはできません。ただ、65 BENDERの限定版のほうの音は、当方の所持するオリジナルMK1に近い、ということは確かです。

 写真にもあるように、新品のマスタード・キャパシタを使用しているのは「正確な数値」を求めたためです。NOSパーツ(たとえばムラードのマスタード・キャパシタとか、本ブログでは既にお馴染みのHUNTSのキャパシタとか)を使うとリーケイジ(漏れ)の差が激しくて、音が安定しません。実はトランジスタに関しても全く同様のことが言えますが、そこは「オリジナルと同じ銘柄」にこだわったので、NOSパーツを使用しました。

 鉄製の筐体ですが、製造工場は不明です。当方がこれを入手したのはイギリスのPIGEON FXに「MK1のケースがあるよ。いる?」と言われたので「いるいる」と答えて2ケだけ購入したのですが、採算があわなかったのかなんなのか不明ですけどその後は販売していないようです(もうないの?と追加で聞いた所、確認してみるわ、と返事があったきり長らく音沙汰もないですし。笑)

 さて、スペインのMANLAY SOUNDでは、今回を機に通常版の65 BENDERにも小さな仕様変更を加えてあります。それは塗装の色です。いままでかなり黄色の強いゴールド・ハンマートーン塗装だったのですが、よりメタリックなイメージに近づけたかったこと、更には「今までの塗料が(強度的に)弱い」ということもあり、ご覧のようなシャンパン・ゴールドのハンマートーン塗装に変更になりました。たしかに当方が所持する一番最初の65 BENDERとかは、もう塗装がハゲまくっていますね(3年も使ってるのだから当然ですが)。色に関してはもう好みの範疇でしかありませんので「いい悪い」を言っても無駄ですが、とにかく変更になりました。中身はまったく変えていませんので、音には一切影響はありません。

 余談になりますが、最近(に限らず延々と)TONE BENDERてやつのセッティングをひたすら試しまくる、という作業に没頭している筆者ではありますが、(特にハムバッカーを使われるプレイヤーの方に)是非お試しいただきたいセッティングをひとつご紹介します。それはMK1の前にMK1.5を繋げる、というセッティングです。
 MK1.5はギターのボリュームをチョイ下げして、カリンカリンの音になるようにしておき(ただしあまり歪まない程度で)、その後にMK1を接続します。すると(誤解を承知の上であえて言えば)MK1の歪みにカリンカリンなトレブル成分を足すことができるんですよね。
 何故これをオススメするかというと、小さな音で(=つまり家やスタジオのアンプで)なかなかMK1の抜けのいい音が体験できない、という場合に有効かも、と考えたからです。実際に当方も、5Wの真空管アンプ(1VOLでトーンつまみ無し)、さらにはアンプ・シミュレーターを通してのライン録音、その双方でその効果を確認してみました。ファズ2ケ直列、というセッティングではありますが、MANLAY SOUNDの「65」+「66」で試した所、それほどノイズも気にならないレベルです。好き嫌いはあるかもしれませんが、機会があればお試しいただければ幸いです。


3.19.2012

Castledine Electronics - MK One Bender


 イギリスにて「wah-wah.co.uk」というアドレスで、ワウのモディファイに関する研究をしていたサイトがあります。まだVOXのグレー・ワウとかクライド・マッコイの中身の変遷等がそれほどメジャーではなかった頃からあったサイト(2002年にスタートした模様)です。当方も以前から何度も訪れたことがあったのですが、今はすっかりオリジナル商品を販売するサイトとなっております。

 ここのサイトはスチュワート・キャッスルダインさんという方が運営してるんですが、彼はTONE BENDER他英国産のファズの研究でも有名な方で、今は自分のブランド「CASTLEDINE」でワウやファズを通販にて発売しています。商品数は多くありませんが、ヴィンテージ・ペダルを研究しまくってる人なので、レア&マニアックなラインナップは今後も少しずつ増えていくだろうと思われます。CASTLEDINEの現在のラインナップは後ほどちょっとだけ触れます。

 で、今回ご紹介するのはそのスチュワート・キャッスルダイン氏が制作した、TONE BENDER MK1クローンです。しかも、当ブログにていろいろこれまで掲載してきたMK1とはちょっとばかり違う中身となっております。その事を検証してみたいと思います。

 MK ONE BENDERと名付けられたこのクローンは、極少数だけ制作されたモデル(4ケか5ケ、だったと思います)なので、ラインナップには含まれていないカスタムメイド品なのですが、これを制作した意図や狙いを本人が以下のように説明しています。

 彼が所持しているオリジナルTONE BENDER MK1は極初期の製造品(註:本人いわく)で、ラベリング他、見た目の違いもいろいろありますが、何よりも回路のデザインが異なっています。回路基板は真っ黒に塗りつぶされており、使用トランジスタやスイッチ他のパーツも通常のMK1とは結構ことなっています。で、CASTLEDINEでこれを完全コピーしたクローン・ペダルを作ってみた、というのが今回のMKONE BENDER、ということになるのだそうです。その証拠として氏はそのオリジナルのMK1も同時に写真を公開しています。

 さてさて、今回重要なのは、この「回路が黒く塗りつぶされた」オリジナルMK1です。果たしてこれがいつどのように製造されたモノなのか、イマイチ判別はできません。パッと見て筐体上にあるロゴの文字が全然違う事が誰にでもわかると思われますが、この書体を使ったMK1は65年のオリジナルのソーラー・サウンド製のブツに実際にあります。なのでその点はいいのですが、他の点がどうもよく判りません。

 ワイヤーやスイッチを含め、かなりの部分のパーツが新しいものに変更されていること、基板上に搭載されたトランジスタがすべてブラック・キャップのOC75を使用していること(一部キャパシタは最近のものに変更されていますね)、蛇の目基板を使って回路が組まれていますが、これは65年のオリジナルTONE BENDERではなかったこと、等、他にもいろいろと不思議な点が存在します。

 本人に「その辺ドーなの?」と聞いてみたんですが「オリジナルだと思う。手に入れたときからこうだった」とのことでした。本人は「木製プロトタイプの直後に作られた、鉄製筐体版のプロトタイプじゃないか」と言ってましたが、個人的にはそうは思えません。というのも、基板は木製プロトタイプのものも金色の製品版も同じレイアウトだったからです。蛇の目基板ではなく、タコ足配線でポットに直に付けられていたという、原始的なものだったことはご承知の通りです。

 オリジナルのTONE BENDERが発売されたのが65年ですが、その翌年、SOLA SOUNDはマーシャル・ブランドのためにTONE BENDERのOEM製造をスタートさせた、という話を以前こちらで書きましたが(その結果出来上がったのが、67年に発売されたMARSHALL SUPA FUZZなわけですけど)、そのSUPA FUZZの初期プロトタイプにはMK1回路が搭載されたものがあった、ということは現在既に確認されています。その初期MK1回路ってのが、実はここで載せたOC75を3ケ使った蛇の目基板のMK1回路にそっくりなんですよね。

 66年には既にSOLA SOUNDでは自社製品としてMK1を作っていない時期にあたります。ですが他社向けOEM製造品としてわずかながら生き残っていた、ということになります。そんなこともあって、実はこのCASTLEDINE MK ONE BENDERのモトになったオリジナルのMK1は、66年かそれ以降に作られたものではないか、と推測しているのですが、いかがでしょうか。

 CASTLEDINEが制作したクローンはデモ映像がアップされています。音は例の「中域に思い切り偏った」MK1独特の歪みですね。テレキャスを使ってこれなので、かなり信号がブーストされていることもわかります。見た目やトランジスタは結構違いますが、回路はおそらく通常の(基本的な)MK1と同じもの、と思われます。

 CASTLEDINEではこの金色の筐体に入ったモデルはすでに作っていませんが、今購入できる製品ラインナップとして、VOXのグレー・ワウのクローン、VOXのクライド・マッコイ・ワウのクローン、それからTONE BENDER MK1回路をモディファイした「SUPA MK1」というファズ、シンエイUNI-VIBEのクローン・ペダル「SPURA-VIBE」、そして(ちょっと珍しい企画だと思います)ビートルズが60年代中期にレコーディングで使ったVOXのトランジスタ・アンプの音を再現するために作ったというプリアンプ「MAGICAL MYSTERY BOX」なんていうものを現在発売しています。今後もCASTLEDINEからはそういう「一風変わった」ブリティッシュ・ペダルのクローンを期待したいところですね。


1.27.2012

Tone Bender MK1 Clone by JERMS




 以前掲載したJマスシス(ダイナソーJR)インタビューで、彼が録音で実際に使用した、と言ってたTONE BENDER MK1クローン・ペダルは、BUILT TO SPILLというバンドのギタリスト、JERMSことジム・ロス氏が作ったもの、というのは、インタビュー中でも紹介した通りですが、実はつい最近、ジム・ロス氏が新しく作ったMK1クローンを本人が売りに出しました。

 当然ですがMK1フェチでもある当方はこれにすっごく興味があったので、早速ジム・ロス本人にコンタクトをとり少しだけ話を聞きました。よっしゃ買うかあ、と思ってたらeBayでこのペダルはあっという間に売れてしまい(しかも結構な高額で)、今回は見送ることになってしまったんですが、連絡を取り合っていた際に「今後MK1もMK2もMK3も作るつもり」なんて話も聞けたので、時期を見て個人的にオーダーでもしてみようかな、なんて考えてたりもします。

 さてさて、その今回売りに出されたMK1クローンをちょっと見ていきたいと思います。Jマスシスが使った四角いシンプルな筐体のモノとは見た目も中身もいろいろ違っていることが一見してわかります。筐体は65年のオリジナルTONE BENDER MK1と同じ、ゲイトフォールドで金色&黒の鉄製筐体ですね。これ、おそらくpigeonfx.com、というイギリスのエフェクター・キットを販売してるところが作ったモノ、と推察されます。
 実は当方もここでMK1の筐体を2ケだけ入手し、それはMANLAY SOUNDの65 BENDERスペシャル・エディション、もしくはなんか別なプロジェクトで使おうかな、と思ってたんですが、今のところ未定なママになってます。

 当方のことはともかく、ジム・ロス氏のMK1の続きです。トランジスタは、これもオリジナルTONE BENDER同様に、ブラックキャップのOC75と、テキサス・インストゥルメンツ製2G381が2ケ、という構成です。また、キャパシタも古いHUNTS製のデカいもの(色は赤茶のものですが)を使用していることから、ピュアにオリジナルのサウンドをクローンしようと意図したことが伺えますね。以前のJマスシスが使用したMK1クローンのときは、ムラードのマスタード・キャパシタを使用していたのですが。

 実際にこの現物の音を、製作者本人が演奏し動画をアップしてるので、ここに張っておきます。おー、やはり、というか当然ですが豪快で激歪みなMK1サウンドですね。ちょっとギターとアンプのスペックがわからないので、正確なことは書けませんけど、ATTACKのツマミが9時のあたりでもうガツガツに歪みのピークを迎えてるというあたりが御判りいただけると思います。

 それから同じこのブツを使用した動画をもうひとつ。こちらの動画は売りに出される前に pinstripeclips さん(YOUTUBEのアカウントネームです/この方は以前MK1回路のマーシャルSUPA FUZZのデモ動画をアップしていた方で、イギリスでハウやファズのハンドメイド・エフェクター・ブランドをやっている方です。いつもお世話になっております。笑)がデモ演奏を(完璧に曲に仕上げて)アップしています。彼はもうメチャクチャにTONE BENDERを持ってるし知ってるし、というコレクターさんでもあるのですが、ギターも上手いなあ(笑)。

 その pinstripeclips さんとか、さっきのジム・ロス本人のアカウント(YOUTUBEアカウントは jerms1162)の動画を他にも漁っていただければ、いろんなTONE BENDERのデモ動画を見る事ができますので、いろいろと音が聞きたい、という方は是非他にも漁ってみていただければと思います。

 今回のMK1クローンを作ったジム・ロス氏は上述したように、BUILT TO SPILLというバンドのギタリストですが、自身がステージで使うペダルはなんでも自作してしまう、というDIYな方でもあり、またファズ系のネット掲示板でもよく顔を出されて情報交換してるという有名な方なので、もしかしたら今後も面白いブツを作ってくれるかもしれませんね(てか、俺もオーダーしようかなと考えてますし)。でもバンドが忙しいであろうことも想像できるので、個人制作、という域を出てまで商品化することはないと思われますが。

 余談ですがTHE EFFECTOR BOOK編集長もJマスシス・インタビューを読んで「あ、BUILT TO SPILL? もし日本に来日してくれたら、絶対取材したいんだけどなー。あのバンド、エフェクターとか大好きなんだよね」と言ってました。つまりBUILT TO SPILLは(長いキャリアがあるのに)来日したことがないんですよね。願ってる人は結構多いんじゃないでしょうか。定かではありませんが。


8.13.2011

Manlay Sound - 65 Bender (Special Limited Walnut Edition)


 この夏、到着したばかりのMANLAY SOUNDの限定品、65 BENDER LIMITED EDITIONのお話、その続きです。まず本稿をお読みいただく前に、こちらの方からお読みいただけると助かります。

 前回はZELKOVA(ケヤキ)の筐体の写真だけを載せましたが、こちらではWALNUT(クルミ)の木の筐体の写真を掲載します。ご覧のように、焦げ茶色のシックで重厚感ある風合いになってます。
 とはいえ中身はどちらのバージョンも同じです。トランジスタはOC75と2G381、回路はオリジナルのTONE BENDER MK1を基本的に踏襲。そして配線方法も、オールドファッションなタコ足配線で組んでいます。

 筐体のやトランジスタの選定方法に関しては前回でも書いた通りですが、他の使用パーツに関してはいろいろ試行錯誤がありました。例えば以前もこちらで書いたような、いにしえのHUNTS製キャパシタは入手可能か、といったことも含まれます。
 HUNTSのキャパシタは、モノによってはまだ海外(主にイギリス)で入手可能なのですが、例えばMK1回路で使うような0.1uFの数値のモノは殆ど手に入りません。あってもいいコンディションのものは殆どない、とイギリスのヴィンテージ・パーツ屋さんに直々に言われてしまいした。ムラードのイエロー・キャップとかであれば、まだ入手可能なんですけどね。

 どうせオリジナルと同じパーツにならないのなら、ということで、数値的に完全に信用できる現行品を選択してるのはそのためです。また、「音」の面で新たに試行錯誤をするためにも、数値は誤差のないモノを使いたかった、ということもあります。
 じゃあその「音」の試行錯誤って何さ、というわけで、前回 4.で書いたことを説明させていただきます。
 ちょっと前に当方は念願の1965年製オリジナルTONE BENDER MK1を入手したわけですが、結論を先に書くと、オリジナルのMK1の音は、今まで入手したり経験したことのあるあらゆるMK1クローン(これはJMIだろうがD.A.MだろうがMANLAY SOUNDだろうがいろんな他のクローン・ビルダーものであろうが、全てに言えます)と、微妙に、ですけど音の印象が違ったんです。
 ハイエンドはシャーシャーしてないのに、中高域はやけに出っ張る、と言えばいいんでしょうか。正直今もウマい説明が出来なくて我ながらモドカシイのですが… いつも当方は「MK1の歪みは中域に偏ってる」と書きますけど、その中域が「中高域より」だ、というイメージを持っていただければと思います。
 同時に、ローエンドはそれほど出張ってはきません。MK1は大音量ファズであることは間違いありませんが、ローエンドはやや控えめに出てくる、そんなカンジです。

 実はひとつ、とても面白い記述を見つけました。以前もこちらで紹介したことのある、オリジナルのMARSHALL MAJOR「THE PIG」をお持ちだというジェイソン・クイックさんがこちらの動画でD.A.M製のMK1クローン・ファズ「HOLY ROLLER」のデモをアップロードされていて、その中でMK1サウンドの特徴を説明しているんですが、いわく「MK1のトランジスタを暖めたときの音は、奇妙なことにDALLAS RANGEMASTERのいいライバルになり得る」「MK1のトランジスタが暖まると、歪みが和らぎ、トーンのフィルターの効きが強くなる」

 これを読んで当方はピクッ!としてしまったんです(笑)。RANGEMASTERとTONE BENDER MK1は全然違うペダルですし、エフェクターとしてその音は全然似てません。が、ジェイソン・クイック氏のその表現は、まさしくナルホドと膝を叩きたくなるようなものでした。ただ、中高域の出っ張り具合、といいますか、パリっと張りのある歪み方は、ああなるほど、ライバルだよな、と思えるような音だったのです。

 話を戻します。結構ミッドローまでドカーンと出てくる傾向にあるMANLAY SOUNDの65 BENDERですが、上に書いたようなポイントを再現できないだろうか?というオーダーをしたわけです。基本はオリジナルのMK1回路、歪み方とか音量は65 BENDERのママで、でも「中高域の出っ張り具合が目立つように」というワケです。
 MANLAY SOUNDのみならず、他のメーカーのMK1クローンでも、高域がヤケに耳につくものは(これまでも紹介してきたように)いくつもありました。ただ、モノによっては「あまり歪まない」とか「歪み過ぎ」とか、「音量が小さい」とか、「シャーシャーとしたトップエンドが耳にウルサイ」とかそういう違いも発見できています。今回の65 BENDERスペシャル版は、なんとかオリジナルのTONE BENDER MK1の音で、より中高域にポイントを置けないか、という思考錯誤をしてもらったわけです。

 正直言えば、古いゲルマニウム・トランジスタ(皆様ご承知のように、温度の変化に敏感なパーツです)を3ケも使った古くさい回路です。今回出来上がった15ケ全部が完全に同じ音か、またオリジナルのTONE BENDER MK1と完全に同じ音なのか、といえばホントにビミョーな精度でやはり違いはあると思います。ですが、なんとか当方もROMAN GILも双方納得のいったサウンドが出来上がったと自負しております。

 重ねて書きますが、上では出音の比較対象の一例としてDALLAS RANGEMASTERの名を挙げていますが、エフェクターとしては全然違います。MK1はそれほどはギターのボリュームに反応しない性質ですが、RANGEMASTERはビンビンに反応します(笑)。また、今回の65 BENDERでもはやり「大音量/激歪み」であることは変わりません。なんといっても、オリジナル同様の回路/トランジスタですから。
 以上ちょっと大げさに書きましたが、基本的には音は通常の65 BENDERとほぼ同じです。若干の差がある、と思っていただければと思います。んー、ノブのこととか細かいパーツやデザインに関してもいろいろと書きたいのですが、今回はここまでにします。余談ですが、ただ今、THE EFFECTOR BOOKの制作が佳境にありまして、いつも以上に難儀しております(笑)。そちらの告知は次の機会にさせていただこうと思います。

 このMANLAY SOUND製の「65 BENDER スペシャル版」は、(ケヤキ版とクルミ版、併せて)限定15ケ、基本的にこのウェブサイトを通じてのみの販売となります。既にご予約を頂いているお店、お客さまに数ケ出荷することは決定しているので、実際の販売個数は10ケ以下になります。もし興味をお持ちの方がいれば、直接こちらまで在庫/価格のお問い合わせをいただければと思います。何とぞよろしくお願いします。(この項つづく)
 

8.12.2011

Manlay Sound - 65 Bender (Special Limited Zelkova Edition)


 お暑うございます。すっかり更新が滞ってしまって申し訳ありません。ですが前回のポスティングでもチラっと触れたように、この夏ついにスペイン・バルセロナのMANLAY SOUNDと当方の共同プロジェクトによる、究極のMK1プロジェクトを完成させました。もう既に当方の手元に荷物がドカっと到着しております。この最新のTONE BENDER MK1クローンに関して、ご紹介したいと思います。

 先に皆様に謝らなければならないことがいくつかあります。ひとつは先ほど「究極」と書きましたが、究極かどうかは本来使用者にその判断が委ねられるべきで、作った側/売る側はホントは控えめに書くべきですよね(笑)。ただ、個人的な思い入れと勢いだけで「究極」と書いちゃいました。スイマセン。
 それと、ご期待いただいているカスタマー数名の方には、ホントに長らくお待たせしてしまったこと、これは恐縮至極です。ご理解とご期待いただけたことに、何よりも感謝です。

 さて、早速ブツを見ていきたいと思いますが、とりあえずこのページでは、写真は全部黄土色の木製ペダルが並んでいますが、タイトルでも表記したとおりこちらはZELKOVA、つまり日本のケヤキの木を筐体の材料に使用したものです。

 本プロジェクトでは、同時にWALNUT、つまりクルミの木材を使用した、焦げ茶色の筐体もあります。そちらに関しては次回のポスティングで同様に写真をドバドバっと掲載しますので、もうちょっとだけお待ち下さいね。

 スペイン・バルセロナ在住のプロのギタリスト、ROMAN GILと東京在住の当方が「じゃあTONE BENDERクローン作っちまおうぜ」という話を始めたのは2009年のことです。以来MANLAY SOUNDから発売されたTONE BENDERクローン・ペダルは世界中でご好評いただいており、とても嬉しい限りです。ですが、特に当方個人がTONE BENDER「MK1」にやたらと思い入れがあるものですから、極めてパーソナルなお願い/オーダーとして、MK1クローンの究極版を作ってほしい、という無茶難題を言い続けてきました。

 当方の希望は何か。細かいことを挙げればキリがないですが、おおまかには以下のようになります。

1. 1965年のオリジナルTONE BENDER MK1と同じトランジスタ構成、ブラックキャップのOC75と、2ケの2G381を使用すること。
2. 汎用品のケースではなく、目新しくてスペシャルなケースを使用すること。
3. 音はMANLAY SOUNDの65 BENDERで完成させた路線を踏襲すること。
4. ただし音のチューニングに関しては、ひとつ当方のアイデアを試してほしい、ということ。最後の4.に関してはこれだけでも長くなりそうなので(笑)別項で触れます。

 まずトランジスタは集めるのに難儀しました。これまで本ブログでも何度も書いているように、米テキサス・インストゥルメンツ製の2G381というトランジスタは、もうOC75とかOC81Dだとか、そんなのと比べ物に成らない程入手困難なワケです。たまたまとある海外の電子パーツ屋にストックされたのを当方が見つけたのですが、これが使い物になるかどうかは全く未知数、でも価格もベラボウに(本当にベラボウに)高いのです。さあ、買うか、どうすべ?としばし悩みましたが、思い切って数十個、購入を決意しました。

 そのトランジスタが日本に到着後、早速歪み値を測定したところ、んー、やっぱり、というか、1/3以上は使い物にならないブツでした。残りも数値的にはなんとか使用範囲ではありましたが、なんつっても古いパーツですし、足が腐食してたりします。とても残った数全部が使えそうにはありませんでした。しかし、入手困難な2G381が、実際に手元にある。ここからこのプロジェクトはスタートしました。

 既に「65 BENDER」を完成させているスペインのMANLAY SOUNDでは、作ること自体は作業として可能、とのこと。ですが、ケースはどうする? 音は? という点で、上記2.と3.のリクエストを出しました。MANLAY SOUNDはケース屋ではないので(笑)、これも結局、当方が知り合いのアコースティック・ギター・ビルダーさんにお願いして、無理言って制作してもらったわけです。

 アコギ屋さんですから、木材にはメッチャ詳しい方で、いろいろと案を提示してもらいましたが、最優先は強度でした。例えば65年にゲイリー・ハーストが制作したMK1のプロトタイプ、そしてそれをマンマ復刻したJMIのウッドケースMK1は、本ペダル同様に木製の筐体ですが、アレはとても強度が確保されている、などとは思えません。正直アレを足で踏む人が実際にいるのか、と考えた場合に、もしいたとしたらよほどの蛮行好き、と思える程です。

 十分に強度を確保して、こういうゴツい筐体にした、とはいえ、今回のモノも木製であることに変わりはなく、フィニシュもクリアのラッカーを噴いているだけですので、使用に際して注意がもちろん必要です。ただ、鉄製のオリジナルにくらべたら格段に軽いことは、持ち運びを考えたとき、ちょっとだけ嬉しいですけど(笑)。

 下の画像でもお分かりいただけるように、木製でナチュラル塗装ですから、当然一個一個の木目の表情は異なります。特にケヤキの木を用いたものは顕著にそれが現れます。どうしてケヤキだったのか。種目としては東アジアに広く分布する一般的な木材ですが、日本を代表する木材だから。それだけです。

 んー、スイマセン、トランジスタと木の筐体のことを書いただけで、こんなに長くなってしまいました。以下、近々に次回のポスティングにて続けたいと思いますが、最後に予め告知させてください。このMANLAY SOUND製の「65 BENDER スペシャル版」は、(ケヤキ版とクルミ版、併せて)限定15ケ、基本的にこのウェブサイトを通じてのみの販売となります。既にご予約を頂いているお店、お客さまに数ケ出荷することは決定しているので、実際の販売個数は10ケ以下になります。当然ですが当方個人も欲しいですし(笑)。もし興味をお持ちの方がいれば、直接こちらまで在庫/価格のお問い合わせをいただければと思います。何とぞよろしくお願いします。(この項つづく)
 

7.20.2011

Skinpimp Handcrafted - Skin Bender MK1 / MK2 / MK3

 
 米テキサスにてハンドクラフトのペダルを製造しているSKINPIMPというブランドがあります。このブランドもファズばかりを手作りでリリースしている個人ブランドなわけですが(TONE BENDER系以外のラインナップは最後で軽く触れています)、ここからTONE BENDERのMK1/MK2/MK3、3つのクローン・ペダルが発売されています。日本では恐らくまだどこも扱っていないと思われますが、価格も300ドル前後というカンジです。

 まず、SKINPIMP製品全部に当てはまることですが、ご覧のようにヒジョーに強烈なルックスを持ったペダルでして、正直いってこういうのは趣味が別れるところだと思います。当方はこういうの結構好きですけど(笑)。ドロドロにB級オカルティックでレトロSF風な、いかにもアメリカのオタク好み、というカンジのデザインですよね。

 では順に商品を見てみます。「NOT OF THIS EARTH」(地球外生命体)とコピーがつけられた、SKIN BENDER MK1。余談ですが、この絵は1957年のB級SF映画「NOT OF THIS EARTH」のポスターそのまんま、なんですよね。この映画は後にトレイシー・ローズ主演でリメイクされたりしたこともあるそうです(笑)。実はこのMK1クローンに限らず、SKIMPIMP製品はよく「限定デザイン」のモデルも発売されていて、MK1クローンに関していえば、デフォルト・デザインとなる緑色の筐体の他にも、ここに掲載したようなワインレッド・カラーで(まるでスージー・スーかよ、と思わずに言われない)ゴスな少女のイラストがあしらわれたモデルも存在します。

 外見はともかく、中身をみると、回路はラグ板を用いてハンドワイアーされていますね。MK1クローンに使用された3種のトランジスタは、現行品では(なんと貴重なムラードの)OC81D、それからOC84、そして2SB175というゲルマニウム・トランジスタが用いられています。ただ、ご覧いただいても分かるように、赤い限定版のほうでは3つのトランジスタはブラックキャップのOC75と、2ケのOC78、というものが使用されていることも確認できますので、おそらく銘柄を固定していない、と思われます。

 次にSKIN BENDER MK2。ご承知のように、TONE BENDER MK2クローンです。このなにやら古代風のデザインの元ネタがなんなのか当方にはサッパリわからないのですが、なかなかに高級感のあるデザインですよね。見方によってはどこかオリエンタルな雰囲気も感じさせますし。

 MK1クローン同様、こちらのMK2クローンでも限定版がありまして、デザインもご覧のように全然違うのですが、それよりも何よりも、この限定版では「TONE」コントロールがモディファイで追加されているのが目につきます。しかもそれのみならず、筐体前面にミニスイッチも見えてます。資料によればこのミニスイッチはトーンのカラーのプリセットになっているらしく、左でヘヴィボトム、真ん中でデフォルト、右でトレブリー、となっている模様です。
 トランジタはOC81と、2ケのOC75です。通常版(2ノブ)のほうは、中面の写真が見当たらないのでトランジスタを確認することができないのですが、おそらく限定版(3ノブ)と同じ、と思われます。

 そしてSKIN BENDER MK3。こちらはMK1、MK2バージョンとはちょっと違い、デフォルトのモデルで既にノブの追加(合計4つのノブ)と、ミニ・トグルスイッチが設けられています。追加のノブは写真でも一目瞭然ですが「HI-CUT」となっています。つまり、ここでも「トーンはノブ2ケ+トグルスイッチで調節する」という構造なわけですね。

 このデフォルト・モデルのデザインは他のものに比べるとやけにシンプルに見えますが、もちろんこれはオリジナルのVOX TONE BENDER MK3のロゴマークを模して作ったデザインだと思われます。

 このMK3クローンにも、限定モデルがあります。まずはなにやらどこかキュビズムを思わせるハデな色合いのモデルは、3ノブになっていますね。それから、天使がお祈りをしているというこちらもやはりゴスロリな色合いの強い金色の4ノブ・モデル。こちらもMK3の限定版です。残念ながらMK3に関しては内部写真がないので使用トランジスタは不明なママです。

 で、その音ですが、YOUTUBEにもいくつかのデモ演奏動画(非公式)がありますが、公式HPにサンプルMP3があります。それを聞くと傾向がわかると思います。
 MK1のデモ音源ですが、サスティンの長さ、そしてミッドレンジに集中した歪み、という点ではオリジナルMK1サウンドと共通するものがありますよね。
 MK2サウンドのデモでも、MK2回路特有の飽和感はすぐに聞き取れます。ちょっとモーモーいい過ぎなところは、OC81のせいかもしれませんね。
 で、MK3です。もはやオールドスクールなファズというよりは、既に十分にオーバードライヴ的な、70年代サウンドですね(笑)。歪みのトーンとしてはドロドロにヘヴィーではなくカラリとさせたい、でもシャーシャーと耳に辛いハイエンド成分は必要ない、そんな時のために、ハイカットのツマミ、それからトグルスイッチでの調整が生きているのだと思われます。オフィシャルで聞けるMK3のデモ・サウンドでもそういったポイントが分かると思われます。

 SKINPIMPからはここに掲載したTONE BENDERクローン以外にも、FUZZ FACEクローンのFACE PLANT、バーンズBUZZROUNDクローンのBUZZAROUND、トライアングル・マフ・クローンのPLANK、そして3つのゲルマ・トランジスタ&オリジナル回路を用いてデザインされたオーバードライヴ3OD等が発売されています。