10.04.2011
Tone Bender survivors since 1966
「IT MIGHT GET LOUD」、日本でも公開されましたよね。別に見なくてもいいんですけど(よほどのギター馬鹿で無い限り、得るものはあまりないって気もしてます。笑)、すでにYOUTUBEで一昨年くらいから予告編もアップされていたので、ご承知の方も多い映画かと思います。
実は映画の中身はどうでもいいんですけど、見た瞬間におもわずフンガー!と声を上げてしまった場所があります。それはジミー・ペイジ先生が作品中、レスポールを抱えて、「オーヴァードライヴを得る方法」としてTONE BENDERをポチっとONにするシーンです。ここ、かなり参考資料として使えますよね。ペイジ先生のレスポールの「素」の音、それからファズをONにした時の音、両方が聞けますし。思いのほか歪みもオープンで、カラリとしていることも判ります。そしてやっぱり重要なのは、ギターのボリュームをもの凄く気にしている点です。
そのシーンで映されているファズは、紛れもなくSOLA SOUND製のTONE BENDER PROFESSIONAL MK2なわけです。これが60年代後期に実際に彼が使用したブツかどうかはもう確認する術もありませんが(「これは90年代のリイシュー品だ」と動画のコメントに誰かが書いてますけど、それもホントかどうか判りませんしね)、やはりペイジ先生とTONE BENDERのコンビは印象深いマッチングです。この時のアンプはどうやらMARSHALL 1959っぽいんですが、ペイジ先生が「ジャラ〜ン」とやったあの音、どうやったら出せるのか、今いろいろと試行錯誤中です。
さて、今回は以下で1966年製のTONE BENDERを2〜3紹介しようと思います。これはいずれも最近eBAYにて売りに出されたもので、もちろん当方の所持物ではありません。あまりこういう場で値段のことは書きたくないんですけど、ともにハッキリ言ってメチャ高いヨありえねー、という結果でした。
まずはPROFESSIONAL MK2。もう既にこれのオリジナルが売りに出されることさえ稀になってしまったので、当方を含め世界中の人が注目してたようです。このMK2はいわゆる 「初期型」とされるもので、内部の基板の幅が短く、回路の一部が基板から外れて外に出ているパターンのものです(これをそのまま復刻したのが、D.A.M.製の青いTONE BENDER MK2、というわけですね)。電池が「PP4」という円柱の形状のもの(イギリスでは当時これがメジャーでした)の端子になっていますが、後に角形(PP3型)の9V電池でも使えるように配線が延長されています。トランジスタは英国MULLARD製のブラックキャップのOC75が3ケです。
書きたくない、とか言いながらも書いてしまいますけど(笑)、先日このMK2のオークションは3550英ポンドで終了しました。今は超円高時代なので、日本円にすると40万ほどになりますが、イギリスの市況における貨幣価値でいうならこれはおおむね70万円程に相当する価格です。ファズ1ケにそれだけお金を払える人がいるというのは羨ましい限りです。ただし、勝手ながらその要因を考えれば、オリジナル度がメチャ高いこと、それと超初期型MK2であること、が挙げられます。MK2であればなんでもかんでもこういう値段になるわけではない、と思っています。
で、次はこちらの金さん銀さんです。これは共にTONE BENDER MK1.5で、2ケセットとして出品されました。実は出品したのはアメリカ西海岸の某ギターショップでして、そのお店は(最近どうやら名前を変えたようなんですが)以前からTONE BENDER系ファズにめちゃ強いお店でした。そういうこともあり、もの凄く強気な価格設定がされていました。先に結果を書いてしまえば、オークションは落札されないまま途中で終了されたんですが、この金さん銀さんは今もその西海岸のショップで売りに出されています。ただ、値段は凄いです。ハーレー・ダヴィッドソンが買えます(笑)。
それはともかく、まず金色のほうのMK1.5ですが、実はこれは以前こちらで「珍しい!」と書いたことのあるTONE BENDER MK1.5とまったく同じものですね。昨年eBAYに出品されたものなわけですが、その現物が今回再度売りに出た、という形かと思われます。こちらもバッテリーがPP4形状になっています。トランジスタはブラックキャップのMULLARD製OC75が2ケです。どうも一部ネジや配線は変えられたクサいですが。
そしてペアのもうひとつ、銀色ハンマートーンの、つまり最も一般的な(とはいえ、オリジナルのMK1.5自体がメチャ珍しいブツなので、一般的もクソもありませんが)ルックスを持ったMK1.5です。こちらはスイッチ、バッテリースナップ、他多少の改造がされてしまったようですが、いずれも音に影響するような類いではないと思われます。上のMK2もそうですが、表がシルバー・ハンマートーン塗装のTONE BENDERは、中は黒く導電塗装がスプレーで処理さてていて、その点はイタリア製TONE BENDERとは異なります。
それよりも何よりも、問題なのはこのトランジスタです。見たところ赤いドットのついたシルバーキャップのトランジスタですが、その型番/正体は判別できません。当時OC75にはシルバーキャップのものもあったのですが、66年頃の英国製TONE BENDERでそれを使っているブツを見た事がありません(イタリア製のTONE BENDERは別ですが)。OC71? もしかしたらOC81Dかも?なんて妄想も膨らみますが、一切その詳細はわかりません。
というカンジで最近たて続けにこういうTONE BENDERが売りに出てたので、ペイジ先生と絡めてネタにしてみました。最近は日本でも、当方が取り扱いしているイギリスJMI製品や、スペインMANLAY SOUND製品に加えて、いろんなTONE BENDERクローンが多種多様に入手できる状況になりました。しかしその中身と歴史に関しては、いまだに残念ながら誤解が多いことも変わりません。当ブログの非力さももちろんあるんですが(笑)、次回からまた少し時系列でのTONE BENDERヒストリーをおさらいしようと思っています。ご期待下さい。
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